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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
144/999

3-31  骨骨骨

―1―


 真紅による突進。脆い、脆すぎるぜ。


 そして目当ての魔獣を発見。ぼろ布を纏い背を丸めた骨の姿。ぼろ布の隙間からは魔石の輝きが見え隠れする。間違いない、あれがリーダー格のスケルトンだな。

 そのまま突進しようとした俺の目の前に巨大なスケルトンが立ちふさがる。うお、急に現れるからびっくりしたぞ。幾ら暗いと言っても、このサイズを見逃すのか? うーむ。

「だ、旦那?」

『このデカブツは自分が受け持つ。キョウ殿はあの魔石を持ったスケルトンを』

 俺の言葉にキョウのおっちゃんが頷き、そのまま駆け出す。そんなキョウのおっちゃんに襲いかかろうとする巨大な骨。その手にはいつの間にか巨大な棍棒が握られていた。やらせるかよッ!


――《払い突き》――


 俺は素早く巨大な骨の正面に回り込み、ただ叩き付けるだけの巨大な棍棒の一撃を払い流す。そしてそのまま一回転、強力な突きが胴体にさくれ……突きが骨にあたり、そのまま反らされる。うーん、骨に突きはダメだなぁ。グレートソードを持ってくれば良かった。あー、でも、今、俺が使える剣のスキルって突きしかないじゃん。スキルの偏りが酷い!

 そんな間にも巨大な骨が棍棒を叩き付けてくる。真紅を触れさせる感じで攻撃を受け流し、喰らえッ!


――《ウェポンブレイク》――


 巨大棍棒に小さなヒビが入る。よし、後、3回程度、スキルを当てれば壊せそうだな。ウェポンブレイクの再使用が可能になる時間まで巨大な骨の攻撃を回避する。はっはー、そんなウスノロな攻撃なんて当たらないぜー。


 巨大棍棒を回避していると、俺の突進によって吹っ飛ばした骨が集まってきた。ちょ、数が多いのは無理です。避けきれないです。キョウのおっちゃん、早く、早く、ぼろ布スケルトンを倒してください、死んでしまいます。いや、ホント、これは数の暴力だよ。


 巨大棍棒を回避したところを後ろに居たスケルトンに殴られる。痛い、痛いって。危険感知が働かないトコロをみると致命傷になるような攻撃じゃないんだろうけど、集団で囲まれて殴られるとかヤバイって。


――《ウェポンブレイク》――


 後ろからぽかぽかと殴られながらも巨大棍棒にウェポンブレイクを当てる。まずは武器を壊さないと。

 と、視界に後ろから斬られるような感じに赤い縦線が走る。


――《魔法糸》――


 天井に魔法糸を飛ばし、空中に逃れる。その俺が居なくなった空間にスケルトンウォーリアの剣が振り下ろされる。あ、危ねぇ。いつの間にかウォーリアも来ていたのか。天井から下を見下ろすと薄暗くても分かるくらいにわさわさと大量の骨が見える。お、降りたくないなぁ。


 俺が天井に張り付いていると、下に居る骨達が自分の体から骨を取り外し、こちらに投げてきた。ちょ、危な、痛て、痛いって。空中だと上手く回避が出来ないため、何度も飛んできた骨を喰らってしまう。こ、こいつらッ! 集団殲滅スキルが欲しい。ここでこの骨共を吹き飛ばすような攻撃が――そ、そうだ、この天井から落下する勢いで地面に真紅を突きつけ、その衝撃波で吹き飛ばすとか出来ないかな? なんだか出来そうな気がする。うん、行ける、行けそうだ。モノは試しだ、やってやるぜッ!


 俺は魔法糸を解除し、空中から真紅の穂先を下に向け、そのままの勢いで落下する。喰らえッ!


【《スピアバースト》が開花しました】


――《スピアバースト》――


 真紅が赤い光に包まれ地面に突き刺さる。その瞬間、纏っていた赤い光が周囲へと弾け飛ぶ。赤い光によって骨が砕け飛び散っていく。うお、スキルとして発動するとは思わなかった。ら、らっきー。

 辺りには砕けた骨が一面に散らばっている。うん、結構な威力ですね。しかし普段使うのは難しそうなスキルだよなぁ。だってさ、まず空中に飛び上がるのが難しいもん。


 倒しきれなかった巨大骸骨も足の一部が砕かれフラフラとしている。あー、まだ生き残っていますか。よし、まずは武器を砕いておきますか。


――《ウェポンブレイク》――


 真紅が巨大骸骨が持っていた棍棒を打ち砕く。棍棒が骨になって散らばっていく。はい、これで何も出来ない。そこからの短い手で真紅を持った体を捻るような全身からの水平スイングなのだった。俺の一撃によって巨大な骨が砕け散る。はい、おしまいっと。

「旦那、やったな。こっちも倒したんだぜ」

 お、狙ったかのようなナイスタイミング。魔石持ちが倒されたからか、周囲の骨が復活してくる気配はない。よし、これでちょっと休憩ができるな。




―2―


「にしても、こんな大量の骨が襲ってくるとか聞いていないんだぜ」

 俺も聞いていないです。攻略済みじゃなかったのか?

「攻略が完了して降りることがなくなったから、それが原因で増えたのかも知れないんだぜ」

 なるほど、定期的に駆除しないと増え続けるのか……。いや、何だろう、魔獣って害虫みたいだよね。

『今日はもう帰らないか?』

 まだ後2日間あるし、急ぐ必要は無いな。まだまだ、ゆっくりと攻略出来るもんね。

「確かに。一度帰るのが正解だと思うんだぜ。攻略済みと油断して、ちょっと準備不足過ぎたんだぜ」

 だよなぁ。俺もグレートソードを持ってくるべきだった。グレートソードなら骨ごと叩っ切れるから、もうちょっと楽に駆除できたと思うんだよなぁ。


「あ!」

 そこでキョウのおっちゃんが大きな声を上げる。どったの?

「旦那、アレ!」

 キョウのおっちゃんが指差した先には黄色い大きな金属の箱があった。ももも、もしかして宝箱? 攻略済みじゃなかったの?

「めめめめ、迷宮ではこうやって宝箱が復活することがあるんだぜ」

 あー、確かにそうだったよな。わたくし、こう見えも世界樹の迷宮の攻略者でしてよ。ベテラン冒険者なんですぜ。

「よし、開けよう」

 って、ちょっと待ったー!

『まずは自分が鑑定しよう』

 罠があったらヤバイじゃないか。鑑定結果は……。


【ファイアボルト】


 おー、罠が有るじゃないか。

『ファイアボルトの罠があるようだ』

「ほう、有り難いぜ。じゃ、俺が解除を試してみるぜ」

 へ? キョウのおっちゃん、罠の解除とか出来るの?

「ああ、一応、探求士の真似事みたいなことは出来るんだぜ」

 キョウのおっちゃんは、そう言いながらもカチャカチャと黄色の箱をいじっている。あー、俺も罠の解除とか出来るようになりたいなぁ。探求士のクラスも取得したいよね。でもさ、狩人の《増加》も戦士の《早熟》も外すことが出来ないスキルだし、メインとサブで二つだけって枠が足りなさすぎるよ。


「よし、開いたんだぜ」

 さあ、中身はなんだろうね。

「グリーブだな」

 中には鈍色のグリーブが入っていた。おー、すね当てか。うーん、俺の体型だと装備できないし要らないか。よし、おっちゃんにあげるよ。


 じゃ、戻りますか。

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