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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
129/999

3-17  前準備

―1―


 よし、団体戦に参加だ。って、確か掲示板に参加希望って書き込むんだよな……うん? 書き込む?

 俺、この世界の文字なんて書けないぞ。異能言語理解スキルで書いてある文字は読めるけど書くのなんて無理だ。詰んだ。

 前回はおっちゃんにやって貰ったんだよな。今回もやって貰うとして……次の為にどうすれば良いか聞いておくか。

『自分は文字が書けないのだが。次に参加する時の為に……』

「文字は読めるんだよな?」

 俺は頷く。スキルの効果で字幕へと変換して読むことだけは出来るんだよなぁ。

「なら俺が札を作るから、それをくっつければいいんだぜ。旦那以外にも文字が書けないのは多いから、自分の印を作ってそれを貼り付ける闘技者も多いんだぜ」

 そう言うとおっさんはそこらに落ちていた木片を拾う。そのまま掲示板の下に置いてあった木炭を使って何か文字を書き込む。そして掲示板に貼り付けた。うん? 貼り付けた? 今、どうやって貼り付けたんだ? まぁいいや。にしても印……ねぇ。文字が書けない闘技者が多いって割にはちゃんと名前が記入されているよな。もしかして代筆してくれている人でも居るのか?


 キョウのおっちゃんが作ってくれた木片を見てみる。書いてある文字はランって読めるな。このミミズがのたくったような文字が俺の名前か……。名前くらいは書けるように憶えておくべきか。今後のことを考えて異世界の文字も使えるようにならないとな。と、お礼も言っておくか。

『かたじけない』


【《念話》スキルが成長限界に達しました】

【《念話》スキルが《天啓》スキルに変異しました】

【《天啓》の開花に伴い《異能言語変換》のスキルが作成されました】


 俺のお礼に合わせたかのようにシステムメッセージが。こ、ここに来て《念話》スキルがランクアップだと。シロネさんとミカンさん、二人が居た時に結構《念話》スキルを使って会話していたからなぁ。

 にしても《天啓》か。なんだろう、俺が誰かに神の啓示でも伝えるのか? もう一つの《異能言語変換》スキルも異能言語理解スキルと何が違うのか分からないし……。これ、《念話》が無くなって会話出来ません、なんて状態になっていたら洒落にならないんですが。


 と、アレ? うん? なんだコレ。文字がおかしい。今まで字幕で表示されていた文字が全て読めるように――理解出来るようになっているぞ。もちろん字幕表示は字幕表示で継続してしっかりと表示されるな。

「おい、旦那、どうしたんだぜ?」

 うお。言葉が、言葉が聞こえるぞ。今までは字幕表示を読んで、それに合わせて会話していたのに、ちゃんと言葉が言葉として理解出来る。なんだコレ。もしかして、これが異能言語変換スキルか。スキルを憶えた瞬間に理解出来るようになるとか……いや、何というか、便利過ぎて恐ろしいんですけど。スキルで何でもなってしまう――ホント、恐ろしい世界だな。


 だってさ、この世界なら――こんなスキルを手に入れたら地道に外国語を学ぶ必要が無いんだぜ。地道な努力ってのが虚しくなる世界だよなぁ。


 ま、まぁ、とりあえず、団体戦に参加しよう。




―2―


 ずだ袋さんに案内されて団体戦に参加です。


 参加者は俺とキョウのおっちゃんに飛び入り参加のカイゼル髭さんです。横分けの髪が今にもずり落ちそうで凄く気になります。

 団体戦でも外からの参加が出来るんだね。カイゼル髭さんの武器はノーマルソードに盾といったこの国ではスタンダードな装備だ。そういえば練習場では剣と盾が多いけど、実際に他の人の試合は見たことがないんだよなぁ。観戦が出来れば、もう少し勉強になるんだろうけどさ。


「で、旦那。どうするんだぜ?」

 とりあえず、どんな魔獣が現れるか分からないけれど、前回と同じだな。

『自分が先行して相手の攻撃を集め、引っかき回す。その間に攻撃を』

 キョウのおっちゃんとカイゼル髭さんが頷く。よし、《天啓》スキルでも《念話》と同じように会話が出来るな。


 今回も舞台の中央が開き、檻がせり上がってきた。


 檻の中に居るのは10人ばかりの武装したゴブリンだった……って、今更ゴブリンかよ。数が多いとはいえ、今更ゴブリンに苦戦はしないぞ。もしかして特殊なゴブリンなのか?


 よし、鑑定してみよう。


【種族:ゴブリン】


 ああ、うん、普通にゴブリンだな。名前付き(ネームドモンスター)が居るわけでもない。と、とりあえず最初に予定したように俺が先行して引っかき回してくるか。


 俺は駆け出す。


――《魔法糸》――


 魔法糸を飛ばしゴブリンの動きを封じる。そのまま他のゴブリンに近づき剣の柄で叩き付ける。ゴブリンの動きが止まったのを確認しすぐに次のゴブリンへ。キョウのおっちゃんもカイゼル髭さんも戦線に到着。おのおのが戦い始める。

 カイゼル髭さんは俺が魔法糸で封じたゴブリンを突き刺し、次のゴブリンへ。ゴブリンからの攻撃は持っている盾を使い器用にいなしている。うーん、戦い方よりも頭の上のずり落ちそうな横分けの髪が凄い気になります。さっきから右へ左へと頭の上を滑っているのが……何だろうな、アレ。そういうファッションなんだろうか。

 目の前にゴブリンが持った剣が迫る。とと、俺も戦いに集中しないと。ゴブリンの剣を避け背後に回り剣の柄で打ち付ける。剣の柄で打ち付けるという名前の体当たりだけどな。


 ゴブリンの集団は俺たち3人によって瞬く間に崩壊していった。うん、楽勝、楽勝。今更ゴブリン程度には苦労しないよなぁ。


 戦いが終わり、ずだ袋さん達が現れる。

「お、おいランの旦那。早くするんだぜ」

 うん? 見るとキョウのおっちゃんがゴブリンから装備品を剥ぎ取っていた。

「魔石を取ったり、素材を剥ぎ取ったりするのは駄目なんだぜ。しかしっ! 身につけている物を取るのは問題ないんだぜ。後で武器屋に売ればわずかばかりの死に紙を得られるし、自分の手持ちの武器として使っても良いんだぜ。ほれ、旦那も早くするんだぜ」

 へ、へぇー。俺は慌てて武器を拾おうとするが、それよりも早くずだ袋さん達がゴブリンを回収していく。……キョウのおっちゃんよ、そういう重要なコトは最初に言っておいて欲しかったな。前回は虎の魔獣だったから武装なんてしていなかったもんなぁ。


 カイゼル髭さんは両手を挙げて観客の声援に応えていた。この人はゴブリンの武装に興味が無いようだ。そりゃね、外で自由に冒険出来るなら、こんなゴブリン程度の武装なんて漁る必要がないだろうからね。ま、こんな闘技場に参加するのなんて外の人からしたら趣味みたいなもんだろうしさ。


 ずだ袋さん達に連れられて通路へ戻る。カイゼル髭さんは俺たちとは別の道から舞台の外へ。

「武装した魔獣が出た時は臨時収入のチャンスなんだぜ」

 キョウのおっちゃんは沢山の剣を抱え込み満足そうだ。はいはい、そうなんだろうね。


「勝利おめでとう」

 ずだ袋さんからの祝福の言葉。

「受け取るといい」

 10死に紙を1枚と魔石が1個だ。ま、ゴブリン程度だとこんなもんか。でもさ、これが外なら10匹のゴブリンなんだから、本当は10個魔石が手に入るわけじゃないか。絶対に損しているよなぁ。

『外からの参加者は死に紙なぞ要らぬだろうし、何か参加することに得があるのだろうか?』

「あー、それな。やつらは勝利回数に応じて景品が貰えるらしいぜ。しかも闘技場限定の非売品が多いんだって聞いているぜ」

 ふーん。どうせなら俺もそちら側で参加したかったなぁ。




―3―


 控え室へと戻ってくる。

『連続で参加しないか?』

 今は少しでも多く団体戦をこなしたい。

「いや、止めといた方がいいぜ。余り参加し過ぎると他の連中から嫌われるんだぜ。多くても1日1回にしておくのが利口だぜ」

 む。どちらかというと参加したい人の方が多いのか。ま、それに外からの参加者も居るわけだしな。仕方ない次の団体戦は明日にするか。となると参加出来る団体戦は後2回。……2回かぁ。



 というわけで二日間しっかりと団体戦に参加し死に紙をゲットしました。最初の59死に紙に二日間の収入30死に紙を足して合計89死に紙です。こ、これで武器を、武器を……!

 今日、並んでいるグレートソードは……3本か。とりあえず鑑定だ。


【グレートソード】

【両手で持つことを前提とした巨大な鉄の板の剣】

 これが80死に紙。


【低品質なグレートソード】

【両手で持つことを前提とした巨大な鉄の板の剣。低品質の為、壊れやすい】

 こいつは64死に紙。


【上質なグレートソード】

【両手で持つことを前提とした巨大な鉄の板の剣。上質な素材と加工がされており品質が向上している】

 これは120死に紙。


 むむむ。本当は上質が欲しいんだけど死に紙が足りないしなぁ。死に紙の枚数を考えたら低品質なんだろうけど……いや、命に関わることだ、普通のを買おう。

 俺は武器屋でグレートソードを購入する。さて、どう持とうか。


 グレートソードは刃の部分だけでも俺の身長よりも大きい。とりあえず自分の手で持ってみる。……非常に重い。これ、片手で持つような武器じゃないぞ。とはいえ、俺の腕の長さだと両手持ちなんて出来ないしなぁ。サイドアーム・ナラカに持たせて使うべきなんだろうけど、それを隠している現状だと……うーむ。魔法のウェストポーチXLが没収されているから袋に入れて運ぶことも出来ないし、困ったな。


 とりあえず魔法糸を結びつけて肩から大きく斜めに傾けて背負うことにする。うーん、邪魔です。他の人にぶつからないようにしないとな。


 ま、何にせよ。これで戦う準備は整った。


 明日は、あのハイオークさんとの決戦だな。何としてでも生き延びるぜ……ま、危なくなったら転移で逃げるけどね。






 名前:ラン(氷嵐の主)


 所持金:0円

 ギルドランク:E

 GP    :216/6,400

 MSP   :29


 種族:ディアクロウラー 種族レベル:7

 種族 EXP 1,888/7,000


 クラス:狩人 クラスレベル:2

 クラスEXP12,654/16,000


 HP: 100/100

 SP: 810/810

 MP:  79/ 79


 筋力補正:8 (2)

 体力補正:6 (2)

 敏捷補正:45(4)

 器用補正:10(8)

 精神補正:4 (0)


 所持スキル :中級鑑定(叡智のモノクル)

        サイドアーム・ナラカ:-

        魔法糸:-

        天啓:- 

        毒耐性:熟練度4,800

        危険感知:-

        異能言語変換:-



 クラススキル:槍技:熟練度2,968

        スパイラルチャージ:熟練度2,032

        払い突き:熟練度936

        百花繚乱:熟練度40

        ゲイルスラスト:熟練度96

        ウェポンブレイク:熟練度72

        弓技:熟練度1,010

        チャージアロー:熟練度1,320

        集中2:熟練度176

        遠視1:-

        早弓2:-

        増加2:-

        解体1:-

 クラス   :狩人

 弓技    LV1(0/200)

 集中    LV2(0/60)

 遠視    LV1(0/40)

 早弓    LV2(0/120)

 生活    LV0(0/100)

 増加    LV2(0/60)

 解体    LV1(0/40)

 初級テイム LV0(0/40)


 サブクラス :戦士

 戦技    LV0(0/100)

 早熟    LV1(0/40)

 挑発    LV0(0/20)

 物理耐性  LV0(0/40)


 サブスキル1:浮遊4:熟練度1,520

        転移3:熟練度210

 サブスキル :飛翔ツリー

 浮遊 LV4(0/50)

 転移 LV3(0/320)

 飛翔 LV0(0/300)浮遊LV4 転移1以上

 超知覚LV0(0/100)飛翔LV1以上


 所持属性:水:熟練度670

      風:熟練度430

 所持魔法:アイスニードル:熟練度100

      アイスボール:熟練度752

      アイスウェポン:熟練度2

      アクアポンド :熟練度102

      ウォーターボール:熟練度98

      ウォーターカッター:熟練度40

 装備品:ロングソード

     グレートソード

     布

 所持品:ステータスプレート(銀)

     叡智のモノクル

     魔法の巾着(3)

6月19日追加

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「…ま、危なくなったら転移で逃げるけどね。」じゃねーよ。 かき消されて現在進行系で酷い目にあってるのに頼ってるあたり、鳥が霞むレベルの忘れようですね。
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