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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略

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3-14  離脱者

―1―


 ずだ袋の方々がサベージキティの死体を回収していく。


 あ、魔石。うーむ、魔石が勿体ないって考えが頭を過ぎってしまった。なんだか、この世界に――冒険者って存在に馴染みすぎているよなぁ。


 俺たちもずだ袋の人たちに連れられて通路へ。

「おめでとう」

 ずだ袋の人からの祝福。うーん、余り嬉しくないよなぁ。

「中々の盛り上がりだったようですね」

 それはどーもです。


【パーティを組んでいるメンバーと離れすぎた為、メンバーが離脱します】

【ミカンさんがパーティから離脱しました】


『ふぁッ!』

 え? どういうことだ。思わず変な念話が出てしまったぞ。

「お、おい、どうしたんだぜ?」

 あ、はい、お騒がせしてすいません。うーん、距離関係あったのか。

「おいおい、死に紙と魔石を配っても大丈夫かい?」

 あ、ずだ袋さんすいません。

「……」

 重装備ゴブリンのチャッピーさんは相変わらず無言です。


 配られたのは10死に紙が2枚と魔石1個だった。20死に紙か……。自由になる為には1万死に紙だよな。うーん、遠いなぁ。まぁ欲しい物もないし、戦っていれば、そのうち嫌でも死に紙は貯まるでしょ。


『このまま団体戦を続けるのか?』

 まだ団体戦の枠はあるみたいだしな、一応聞いてみよう。

「おいおい、今勝ったところだぜ? 今日はもう休もうぜ」

 ふむ。連戦する馬鹿は居ない……か。




―2―


 さて、どうしようか。


 俺の目標は帝都で普通に活動できるようにするコトと、この帝国にある八大迷宮の一つ

『世界の壁』の攻略だな。それにシロネさんとミカンさんとの合流が加わったわけだが……現状がなぁ。


 当面の目標はこの闘技場で勝ち続け自由になることだよな。とはいえ、いざとなったら闘技場から転移で逃げることも出来るし、俺の中での危機感は薄い。まぁ、なんというかギリギリまではこの帝都での流儀に付き合うって感じだな。


 それでも無理はしない。これだけは徹底しないとな。


 食事も……今回は晩ご飯も要らないよね。


 寝よう寝よう。もう寝よう。


 大部屋の寝床について横になりながら考える。


 ミカンさんの行方も気になるよなぁ。かなり北に進んでいたから話に聞いていた北方諸国ってトコだよね。パーティから離脱してしまったから現状が分からないのは不安だよな。俺が勇者ならすぐにでも助けに行く所なんだろうけど現状では俺の方が助けに来て欲しいくらいだしな。それにミカンさんは今までソロで頑張ってきた冒険者――ミカンさん自身の実力は疑いようもないし信頼しているから大丈夫……だよな。いや、ホント、信じているからな。危険なこと、取り返しの付かないことが起きていないと信じているからな。


 後はシロネさんか。更に東に移動と。てっきり東側から帝都入りを目指しているのかと思ったら更に東に移動しているのか。うーん、こちらも何かが起こったのかなぁ。


 それでもそこまでヤバイ状況にはなっていないと思うんだよな。なんというか俺の勘でしかないんだけどさ。




―3―


 目が覚めると朝になっていた。ふむぅ、むにゃむにゃ。俺は首から提げたステータスプレート(銀)に表示されている時間を確認する。時刻は6:28か……まだまだ早い時間だな。俺の頭の上に乗ったままの小っこい羽猫も周りの闘技者達も眠ったままだ。


 よし、練習場に行くか。


 今日も闘技者は居ないな。うん、静かにこっそり練習できるのは良いことだ。


 サイドアーム・ナラカにロングソードを持たせる。ひゅんひゅん、やはり軽いなぁ。しかしッ! そこからのッ!


――《ゲイルスラスト》――


 剣が風を纏い空間を貫く。更にッ!


――《ウェポンブレイク》――


 ……って、あら? スキルは発動しているけど何も起こらないな。コレ、敵の武器に攻撃を当てる瞬間に発動させるんだろうか? それとも使っていれば次の攻撃の時に効果があるんだろうか? うーん、どっちだろう。まぁ、色々と実験してみよう。


 攻撃が軽くてもスキルが使えるようになったのは大きいよな。


 これで今後も戦っていけるかな。


 さあて、次の試合はいつだろうか。にしてもさ、試合間隔も対戦相手も主催者側の思惑次第って非常に危険な香りが……。なんというか、見世物って感じが強くて競技にまで昇華されていないよね。



 大部屋に戻るとずだ袋さん達が居た。

「今日の配給です」

 いつもお食事券の配給ありがとうございます。いつものように並んでいる闘技者の後ろにつく。

「最近、保管庫の方からカタカタと音がしているらしいな」

 俺の前に並んでいる闘技者がそんなことを言っている。

「魔獣でも入り込んでいるのか?」

 いやいや、ネズミとかじゃないんですかねぇ。

「ま、何にせよ。怖いな」

 怖いのかよ。


 そんな話を聞いてる内に俺の順番に。俺はお食事券を受け取る。

「ちょっと待ってください。あなたは今日の16:00から試合の予定が組まれていますよ」

 お、2回戦か。

『ああ、分かった』

 ずだ袋の人がうんうんと頷いている。

「期待していますよ」

 ほう、期待してくれるのか。運営側が誰か特定の個人を応援するってのは不味いと思うんだけどなぁ。

「では伝えましたからね。16:00からの試合、忘れずにお願いしますよ」

 今回は16:00ね。了解、了解。確か盛り上がる時間は17:00って言われていたよな。盛り上がる試合の前座って扱いか。


 ま、俺の心が折れるまでは頑張りますか。

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