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むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
125/999

3-13  団体戦

―1―


 団体戦の時間となり、ずだ袋の男達が現れる。俺たちはずだ袋の男達に連れられて闘技場への通路を進む。


 そのまま闘技場へ。


 俺とキョウのおっさんともう一人。キョウのおっさんが誘っていたのは最初の時に鑑定していたゴブリンナイトのチャッピーさんだった。盾と短めの剣を持った金属鎧姿のゴブリンです。うーむ、重装備。

 そのチャッピーさんですが、凄い無口です。


 3人? で闘技場に立ち無言のまま待つ。あー、にしても今回はお客さんが多いなぁ。半分くらいは席が埋まっている。


 そのまましばらく待っていると舞台中央の床が開き何かがせり上がってきた。うん、檻か?


 檻の中に居るのは、虎……虎か? 虎っぽい魔獣が2匹。

「サベージキティが2匹か……キツいぜ」

 へぇ? でも2対3じゃん。余裕、余裕。


 檻が開き2匹の虎が躍り出てくる。そうだな、ここは素早さの高い俺が片方を受け持って二人でもう1匹を即効で倒して貰うのがベストかな。

『自分が1匹受けもとう』

「おいおい、旦那よ、1人で大丈夫か」

 任せたまえ。敏捷特化の力を見せてやる。

「……」

 相変わらずチャッピーさんは喋りません。あれ、もしかして喋ることが出来ないのか? 当たり前に喋れること前提で考えていたけど、よく考えたらチャッピーさんって魔獣だもんな。喋れないって可能性もあるのか。


 と、考えている場合じゃない。虎を引き受けないと。


 俺は2匹の虎へと駆け出す。


 さぁ、かかってこいッ!




―2―


 俺の目の前には2匹の虎が……って、ヤバイ。後続が着いてきていない。


 右からの赤い線。よし左へ回避を――と、すぐに左から赤い線が走る。2匹の虎からの連係攻撃。どうする、どうする? サイドアーム・ナラカを使うか? 取得したばかりのスキルを使うか……いや、まだ駄目だ。


――《魔法糸》――


 魔法の糸を飛ばし虎の片割れを拘束する。よし、効いた。そのまま前進し、もう一匹の虎に体当たりをぶちかます。


 ……。


 俺の体当たりは虎の巨体の前に簡単に受け止められた。ああ、芋虫ボディでの体当たりは無理があったか。いや、まだだッ! このまま突き刺すッ! 密接したこの状態なら――使えるはずだッ!


 喰らえッ!


――《ゲイルスラスト》――


 剣が風を纏い虎の肉を削り貫き深く深く肉を抉っていく。虎が大きな悲鳴を上げる。


 そこへ左から赤い線が走った。ちぃ、もう魔法糸から抜け出したか。俺はすぐさまロングソードを引き抜き、右後方へと跳ぶ。

 その赤い線が途中から途切れ、消える。

「旦那、早すぎるぜ」

 駆けつけたキョウのおっちゃんが虎の爪の間にロングソードを挟み込み防いでくれていた。

 そのままチャッピーさんが虎の懐に入り込みショートソードを振るう。切り裂かれていくサベージキティ。

 そこへ俺が先程貫いていた虎が襲いかかる。……こいつは任せろッ!


 手に持ったロングソードで迫ってくる虎の爪を打ち払おうと……、


 【《ウェポンブレイク》が開花しました】


――《ウェポンブレイク》――


 スキルが開花し、打ち払うつもりだったロングソードの刃が虎の爪を砕いていく。砕かれ破片となった虎の爪が舞い、飛び散っていく。更にッ!


――《魔法糸》――


 爪を砕かれ無力化された虎に魔法糸を放ち動きを封じる。

「任せろだぜ」

 キョウのおっちゃんが防いでいたもう一匹の虎の爪の間からロングソードを滑り降ろし、そのまま下から上へ。俺が動きを封じた虎の首に血の線が走る。虎はそのままズドンという音ともに地面に転がり落ちる。


 その防いでいたもう一匹は?


 キョウのおっちゃんが首を切っている間に、チャッピーさんに腹を切り裂かれ続けた虎が――その傷みによるものか――地面を転がり始める。


 チャッピーさんは、その転がっている虎の首目掛けて素早く盾を打ち落とす。ぐちゃりという嫌な音とともに無残な虎の死体が出来上がる。


 勝った……のか?


 ああ、勝ったか。今回も生き残ったか。


 サベージキティよ、こんな無理矢理ではなく普通に敵として戦いたかったな。

2021年5月9日修正

前へ全身しもう一匹の → 前進し、もう一匹の

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