表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むいむいたん  作者: 無為無策の雪ノ葉
3  世界の壁攻略
113/999

3-1   大陸へと至る道

―1―


 大陸へと至る木で作られた自然の道。俺たち以外には、この道を通っていく人たちが居ないようだった。


 大陸とナハン大森林の行き来は余り活発ではないようだ。陸続きのようなモノなのにね。


 にしても木の道か……。


 木と木、枝と枝が絡み合い自然の道を作っている。木に包まれたトンネルのような道だ。木と木の隙間からは海も見えるが、隙間自体は余り大きくなく足を踏み外して落ちるような心配はない。


 東の大陸へと黙々と歩き、ちょうど半分ほど渡り終えたところで一度野営を挟む。


「むふー。今日はここで野宿ですねー」

 そう言ってシロネさんが足を止める。更に周囲に何か変な匂いのする粉を振りまいていく。

「この道の上で魔獣が襲ってくる心配は少ないとはいえ、皆無ではないですからねー」

 この匂いの粉、魔獣が嫌がる匂いなんだそうな。これを振りまくのが野営の基本だとか。そんな便利な物があるなんて、俺もミカンさんも知らなかったんですけど。隊商の方々も振りまいていなかったしさ……って、アレは魔獣が嫌う猫馬車があったから必要としなかったのか。魔獣が元ぽい俺的には変な匂いがするな程度なんだけどなー、どの程度の効果なんだろうなぁ。


「では、ランちゃんさん、今後の方針の再確認ですねー」

 シロネさんの言葉に俺は頷く。というか、芋虫頭を振っただけだけどさ。

「私は祖母の軌跡を辿る為に八大迷宮に、ミカンちゃんは力試しで八大迷宮へ、ランちゃんさんもそれに同行するってことで良かったですよねー」

 シロネさんが野営の準備をしながら話し出す。うむ、何にせよ八大迷宮だな。それに合わせてエンヴィーの足取りも追いたいんだけどな。

「この道を進むと大陸の入り口となる半島に着きますねー。ただ、そこは魔人族の生息地になっている為、通り抜け推奨です。集落が見えても近寄っては駄目ですねー。全てをむしり取られてぽいですよー」

 半島が生息地なのか……。って、おいおい、生息地って言い方で良いのか?

「むふー。すぐさま半島を抜けてその後の村で竜馬車を手に入れて帝国入りが良いかとー」

 うーん、俺としては魔人族が気になるから半島を探索という選択も魅力的だけどな。ただまぁ、情報を得る為に目に付く集落を次々と焼き討ちにしていくって訳にもいかないしなぁ。やはりエンヴィーと繋がりがある帝国の貴族って線を追うしかないか。


「広大な大陸ですが、まずはウドゥン帝国の帝都を目指すべきですねー」

 ふむふむ。というか、全然地理が分からないんだが、大陸って帝国だけなのか? 他の国はないのか?


「ウドゥン帝国には八大迷宮の一つ『世界の壁』がありますねー」

 俺たちがとりあえず目指している八大迷宮はソコだな。

「もう一度説明しますねー。むふー。『世界の壁』は大陸の南側の大地を封じるように立てられた防壁です。そしてそれ自体が八大迷宮の一つになっていますねー」

 南を封じるってくらいだから、この迷宮もかなり大きいんだろうなぁ。

「うむ。そして、その迷宮を攻略する準備をする為に帝都へ、と言うわけだな」

 そう、それが、これからの予定だったよな。

「はい、そうですねー。ウドゥン帝国には剣士、拳士、戦士の三士のクラスが取得出来ますしねー。装備品や魔法具も充実していますからねー」

 ミカンさんはサブクラスを持っていないし、ここで更に前衛職のサブクラスをゲットして貰って戦力増強ってのも有りなのかなぁ。




―2―


『ちなみに大陸に帝国以外の国はあるのだろうか?』

 これも一応、聞いておかないとね。

「まずは帝国、大陸の西端に位置するウドゥン帝国ですねー。それに北方諸国。更に東にある刹那の断崖を挟んでの神聖レムリアースですかねー」

 俺とミカンさんはシロネさんの説明を静かに聞いている。って、余り喋らないと思ったらミカンさんは食事に夢中なだけだった。相変わらず楽しそうに食事をする娘だな。って、俺も聞きながら食事をしよう。

『神聖レムリアースという名は初めて聞くな』

 シロネさんも自身の魔法の袋から出した果物を食べている。

「むふー。神聖レムリアースは頭のおかしな国なのでランちゃんさんやミカンちゃんは絶対に近寄ったら駄目ですねー」

 ちょ、頭がおかしいって。

「帝国と冷戦状態の国ですねー。刹那の断崖がなければ、いつ戦争になってもおかしく無い関係ですねー」

 穏やかじゃないですねー。

「帝国は力が全てって感じのお国柄なんですよねー」

 ふむふむ……何ソレ怖い。

「帝国は土地の広さに比べて痩せた大地ばかりなんですよねー。それに対して神国は豊かな大地を持っていますからねー。その上、頭がおかしいと来ていますからー、帝国としては奪いたい、滅ぼしたい国だと思いますねー」

 もぐもぐ、もしゃもしゃ。説明続けてください。

「神聖レムリアースには八大迷宮が3つも有り、騎士、魔法士、探求士という3つのクラスも取得が出来ますねー」

 それだけ聞くと是非、行きたい感じなんですけど。探求士のクラスが取得出来るのも魅力的だよね。うん? ということは探求士のクラスを持っているシロネさんは神聖レムリアースに行ったことがあるってことか?

「むふー。あそこはですねー、普人族至上主義が酷いんですよねー」

 あー、頭がおかしいってそういうことか。

「神っていう訳の分からないモノを崇めているのもそうですけど、普人族以外は殺してもよいくらいに思っていますからねー」

 何ソレ怖い。

「星獣様のランちゃんさんなんか、見つかったら即ころころされちゃいますねー」

 ころころされちゃいたくないです、はい。

「猫人族のミカンちゃんも危ないですねー。森人族の私でも、ギリギリになんとかってトコですねー」

 神聖って付いているのに野蛮な国にしか思えないんですけどー。にしても八大迷宮の攻略の為には行く必要があるのか……うーむ。

「むふー。ということで野蛮度はどっこいどっこいでも力至上主義の帝国の方がマシってことで、帝国に向かう訳なのですねー」

 な、なるほどなー。って、何気にさらっと野蛮度は同じって言われたのが気になるんですがー。ま、まぁ、なんとかなるかなぁ。


 ま、まぁ、とりあえずは魔人族の住む半島を抜けて、帝国入りを目指すのが一番ってことで。


 帝国にはソード・アハトさんって言う知り合いも居るわけだし、な、なんとかなるでしょー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ