世界樹攻略編エピローグ
―1―
スイロウの里のホワイトさん、冒険者ギルドのちびっ娘、ソフィアに別れを告げる。
「作った武器、大事にしろよぉ。ちゃんと手入れはしろよ」
おうさ。と言ってもすぐに《転移》スキルで戻ってくると思うけどね。
「む。虫、別れは必要無い」
ちびっ娘はそんな連れないことを言っている。まったく、それなりに顔なじみになって仲良くなったつもりだったのに、寂しいものだよ。
後は……換金所のお姉さんや宿屋のおばさん、そしてそのぽっちゃりな娘さん、いつも愛用していた串焼き屋台のお兄さん等々、別れの挨拶をしたかった人たち――皆にも別れを告げたかったんだけどなぁ。まぁ、永久の別れじゃない、冒険者みたいな流れ者が挨拶に来ても迷惑になるだけだろう。それに俺は《転移》で、すぐ戻ってくることが出来るからね。
別れを告げて次の日に戻ってきたら気まずいもんな。そういう意味ではホワイトさんとちびっ娘にだけ大陸へ向かうことを伝えたのは正解か。
「むふー。こっちなのです」
「ラン殿、行こう」
スイロウの里の門ではミカンさんとシロネさんが待っていた。
……。
彼女たちはいつまでも里の方を見ている俺を何も言わず待ってくれている。
『行こう』
大陸へ渡るため、次の八大迷宮に向かうため、東にあるフウユウの里に向かう必要があるそうだ。そこから大陸に渡れるとか。船でも出ているのかなぁ。
俺たちは新しい旅に出る。
何日もかけて、色々な里にお邪魔し、俺の姿に驚かれ、それでも仲良くなって、東へ、東へと旅を続ける。
そんなある日のことだった。
「むふー。もうすぐ浜辺の村なんですよー」
シロネさんが、そんなことを言いだした。村? なんだ。里じゃないだ、と。ちょっと気になるな。
「シロネ殿、以前、フウアの里に向かった時は北側を通った故、浜辺の村のことを知らないのだが、何があるのだろうか?」
ミカンさんも気になるのか頭の上の猫耳をピクピクと動かしている。俺の頭の上のエミリオは寝たままだな。こいつはやる気があるんだか、ないんだか。寝たままなのは親の羽猫とそっくりだ。
「むふー。むふー。行けばわかります」
俺たちは、その日のうちに浜辺の村に到着した。そして、その景色を見て、シロネさんが言っていた意味を理解した。
旅籠のような建物や大きな橋が建ち並ぶ中、石を積み上げ囲んだ中に暖かい水がわき出ていた。湯気で視界が曇りそうなくらいの光景だ。
……。
温泉宿だー、コレ!
「大陸に渡る前に疲れを癒やすのですよー」
シロネさんは上機嫌だ。逆にミカンさんは温泉のお湯を見て怯えているようだ。手を恐る恐るお湯に浸けて、ひぃと可愛い悲鳴を上げて手を引っ込めていた。猫だなぁ。こうしてみると猫だ。
「水が、水が、おかしいです」
口調が素に戻ってますよ。
「むふー。こちらなのですー」
シロネさんのオススメで大きな宿に案内される。お金、大丈夫でしょうか。ま、まぁ、シロネさん、スイロウの里のお嬢様だし、大丈夫かな?
広めの部屋を取り、美味しい海鮮料理に舌鼓を打ち(これはミカンさんもとろけるような顔をしていた)いざ、温泉に入るという段になった。
「わ、わたしは、私はいいです……」
ミカンさんはかなり怯えているようだ。猫だなぁ。それをまぁ、まぁ、となだめながらシロネさんが引っ張っていく。
で、俺はどうすればいいんでしょうか。
「ランちゃんさんも一緒に入りますかー?」
え? い、いい、いいんですか? えーっと、俺、一緒に入っていいんですか?
「ラン殿は、その……男じゃないのか?」
「星獣様に性別はないと思いますよー」
ど、どうなんだろう。これはいいのか? 行っていいのか?
どうする、どうする?
考えろ、考えるんだ、俺!
『いや、男湯の方に入ろう』
へたれた俺、俺、へたれたよッ!
「むふー。ランちゃんさんは、そういう趣味なんですねー」
……。
何か嫌な誤解をされた気がする。あー、そうだ、確か、個室の湯が。
『すまぬ、言い間違えた。個室の湯にて一人でゆっくりしようと思う』
そうそう、そうだよ!
俺は一人が好きなの!
……。
そして俺は一人、とぼとぼと個室の湯に入った。
色々と妄想する所ではあるけれど、あるけれど! それに油断すると会話のログが見えてやばいけども、やばいけども!
「にゃ、にゃ、にゃー」
頭の上のちっこい羽猫は温泉に手を入れてはすぐに上げ、その温かさを楽しんでいるようだ。もう一人の猫とは反応が大違いだな。
って、お前、俺の頭から落ちたら大変なことになるぞ。
温泉に浸かる芋虫。
あー、お湯に耐性がないのか、自分の青い体皮がうっすらと赤く変色してきてる。これ、ヤバいかなー。ヤバいのかなー。
そんなこんなで浜辺の村での平和な一日は過ぎていった。平和なのは良いよね!
―2―
俺たちは今、フウユウの里に居る。
ここから大陸に渡ることが出来るからだ。
ミカンさんはレッドカノンを倒す力を付ける為に大陸へ。
「私はもっともっと力を付ける為にっ!」
シロネさんは祖母が死んだということが信じられず他の八大迷宮攻略の為に大陸へ。
「むふー。あそこにあったのはマントだけ。あれくらいでおばあちゃんが死んだなんて信じられないんですよねー」
俺は魔石とステータスプレートを取り戻し、残りの八大迷宮を攻略する為に。
結局、なんだかんだでミカンさんもシロネさんも俺に付いてきてくれた。てっきり俺は一人で大陸に向かうことになると思っていたからなぁ。この里までも色々なことがあったけどさ、温泉とか温泉とか温泉とか。ホント、一人じゃないのが、こんなにも旅を楽しくしてくれるとは思わなかったよ。
「ランちゃんさん、見えてきましたねー」
シロネさんが指差す方向。地平線の見える海岸線。そこに木で出来た道があった。
海を貫き木が生えている――そう、無数の木々が海を割り道を作っていた。
「む。こ、これは……?」
ミカンさんが驚いている。いや、俺も驚くぜ。
「むふー。二人とも初めてでしたかー。大陸までこの木の上を通っていけますねー」
ま、まさか海の上を歩いて渡ることになるとは思わなかったよ。てっきり船か何かで大陸に渡ると思っていた。こんな、海を割って生えている木で自然の橋が出来ているとは……。
「さ、大陸へですねー」
「ああ、行こう」
ああ、そうだな。
『行こう、大陸へ』
いざ、大陸へ。
名前:ラン(氷嵐の主)
所持金:44808円
ギルドランク:E
GP :196/6400
MSP :36
種族:ディアクロウラー 種族レベル:7
種族 EXP 1112/7000
クラス:狩人 クラスレベル:2
クラスEXP11878/16000
HP: 100/100
SP: 810/810
MP: 78/ 78
筋力補正:8 (2)
体力補正:6 (2)
敏捷補正:45(4)+8
器用補正:10(8)
精神補正:4 (0)
所持スキル :中級鑑定(叡智のモノクル)
サイドアーム・ナラカ:-
魔法糸:-
念話:熟練度8736
毒耐性:熟練度4800
危険感知:-
グロウス2
クラススキル:槍技:熟練度2968
スパイラルチャージ:熟練度2032
払い突き:熟練度936
百花繚乱:熟練度40
弓技:熟練度1010
チャージアロー:熟練度1320
集中1:熟練度176
遠視1:-
早弓2:-
増加2:-
クラス :狩人
弓技 LV1(0/200)
集中 LV2(0/60)
遠視 LV1(0/40)
早弓 LV2(0/120)
生活 LV0(0/100)
増加 LV2(0/60)
解体 LV1(0/40)
初級テイム LV0(0/40)
サブクラス :侍
侍技 LV0(0/100)
心眼 LV0(0/20)
陣 LV0(0/20)
刀マスタリィLV0(0/40)
サブスキル1:浮遊3:熟練度1520
転移3:熟練度200
サブスキル :飛翔ツリー
浮遊 LV4(0/50)
転移 LV3(0/320)
飛翔 LV0(0/300)浮遊LV4 転移1以上
超知覚LV0(0/100)飛翔LV1以上
所持属性:水:熟練度670
風:熟練度430
所持魔法:アイスニードル:熟練度100
アイスボール:熟練度752
アイスウェポン:熟練度2
アクアポンド :熟練度102
ウォーターボール:熟練度98
ウォーターカッター:熟練度40
装備品:風槍眼―真紅―
コンポジットボウ
切断のナイフ
魔法の矢筒(32)
鉄の矢32本
麻のベスト
夜のクローク
夢幻のスカーフ
樹星の大盾
所持品:ステータスプレート(銀)
叡智のモノクル
魔法のポーチS(魚醤)
魔法のウェストポーチXL(3)
ショルダーバッグ
皮の水袋
皮の背負い袋
古びた指輪
6月19日追加
ステータスを追加しました
2019年12月10日
余韻が残るようなエピローグに変更