前回とは打って変わって次期主力戦闘機の事
今回は最近決まった次期主力戦闘機F‐Xのことについて。
エッセイというよりも政治論評に近いかな。
「正義のために……」とは今回は関係ありません。
最近、やっとのことで自衛隊のF‐XがF‐35に決定した。
一部では非難もあるが、正直なところ本命のない競馬の馬券みたいなものである。
本命としていたF‐22航空支配戦闘機は日本の防諜能力の低さから禁輸をくらってしまい、おかげでこんな泥仕合になってしまった。
正直なところF‐22のポテンシャルは異常である。世界最強と言われるだけあって新兵が乗っても他機種の古参兵に勝つといわれるほどのものだ。視界外から何の前触れもなくパンチが飛んでくる上に、視界にとらえても圧倒的なスピードの挙動に追い付かないという状況を想像すれば恐ろしさは伝わるだろうか。
ただこのハイポテンシャルで犠牲になったのは経済性である。とにかく高い。アメリカがF‐15の完全置き換えをやめたというぐらい高い。圧倒的予算額のアメリカ軍がこのざまなのだ。だから作ることになったのがF‐35である。まあ、このことは当初から織り込み済みで、F‐22運用開始のずっと前から計画されていたのだが。
この計画では世界最悪クラスの不細工戦闘機も開発されたが不採用となった。採用された機体がF‐35である。
実はこのF‐35はだいぶ無理な計画だった。様々な用途の戦闘機をひとつの規格で作るのは、一度アメリカがF‐111アードバーグで試して失敗している。空軍と海軍でいるモノいらないモノが違うので、「帯に短し襷に長し」になってしまい、挙句の果てに中型爆撃機として才能を開花。戦闘機として生涯を全うしたのはオーストラリア軍の機体だけだった不運の機体です。
F‐35計画はさらに広く、中心となるアメリカ空海海兵に以下出資者であるイギリス空海軍、イスラエル航空宇宙軍、イタリア空海軍、オーストラリア空軍、オランダ軍、カナダ空軍、デンマーク空軍、トルコ空軍、ノルウェー空軍といった組織の要求にこたえないといけない。これだけの顧客のニーズにこたえることのできる製品を作れるのだろうか。いやどこかでぼろが出る。いや、もう出たのほうが正しい。
計画では空軍型で一番シンプルなA、小型空母に乗せるSTOVL(VTOL)のB、大型空母に乗せる最大型のCとなるがBが一番の鬼門で、構造が複雑すぎてどうしようもない。他の機体の値段を上げている。最悪の場合製造しないと言い出した。イタリア海軍はBに命を懸けているのですごいもめそうだ。
さて、実は今回のF‐Xでは最有力候補でありながら最も可能性の低い候補だったF‐35であったが、その理由は上述の出資である。日本は参加しておらず、不参加国への販売は参加国販売のさらに後とされていて、日本が必要となり始める時期から大きくずれ込むと考えられたからだ。しかも日本の要求とは程遠く、完成品を買うだけだ。
しかしどうもF‐35が高騰しそうな中、なりふり構わず高値で買ってくれそうな日本に目が向いたらしい。ライセンス生産させれば高性能機ならなんでも大丈夫な日本に、設計製造を受け持つロッキード・マーチンが譲歩しそうなのだ。譲歩したらしたで製造させろとうるさいイギリスが怒りそうだがそこはコストダウン戦略とか言ってはぐらかすつもりだろう。
今回のF‐Xで見えた課題は防諜網の強化と決定的な情報不足、そして大本命不在時の対策の必要性であろう。あとは戦闘機の開発能力だろうか。
なんか書きたかったから書いた。
ふう、すっきりした。




