第二話 謎の少女と真相
謎の白いフードの少女についていくのは大変だった。
この人、身体能力化け物かよ。
するりと道を抜けては、道無き道を通り、ビルとビルの間をジャンプしたりなどで肝が冷えた。
コロコロ変わる街中でついにアジトのようなところついた。
俺は必死に肩で息をしているのに、この人は顔色も変えない。何者なんだ一体。
少女はぴたりと、行き止まりのところで止まった。
「到着。私についてこれるなんて、さすがってところだね」
普通なら無理なことを大変だったができた。それが俺の体が他の人と違う証拠でもあるのだろう。
「ここが、私たちの基地よ。」
そこにはこぢんまりとした小さなドアがあった。
「あ、ちなみに他言無用よ、これは。まぁ一般人はここに辿り着くことさえできないけどね」
「納得だな。まぁ俺には話す人がもういないが。」
俺には疑問があった。俺は人を見るとその人の感情の色を見ることができるようになったようだが、
この子の色が一切見れない。
なぜだ。感情がないのか?ロボットなのか?
「さ、行きましょう。影守漣」
「そういえば、なんで俺の名前を。そしてあんたは何者なんだ?」
少女は忘れてたと言わんばかりに、自己紹介を始めた。
「ごめんなさい。名乗るのを忘れていたわね。」
少女はフードを軽く下げ、静かに微笑んだ。
表情は柔らかいのに、なぜか“色”だけが感じられない。
「私の名前は—— 宵。
ここで“EMO HUNTERS”の一員として戦ってるわ。」
「エモ…ハンター?」
「ええ。“感情を喰う化け物”と戦うための部隊よ。」
宵は淡々と話すが、言葉の端々には不思議な温度がある。
優しいのに、感情の色は一切見えない──矛盾した存在。
漣が怪訝そうに眉を寄せると、宵は小さく首を傾げた。
「ねえ、気づいてるのでしょう?
あなたの目には、私の“色”が見えていないこと。」
図星だった。
「どうしてだ? 感情が無いのか?」
宵は首を横に振り、少しだけ申し訳なさそうに笑った。
「違うわ。
私は“表層の感情”を訓練で消しているの。
そうしないと、妖怪に簡単に喰われてしまうから。」
「表層…?」
「人間の感情は二層構造になっているの。
表に出る感情と、奥底で燃えている“深層の感情”。
エモハンターは、表層を完全に静めて、
深層の感情だけを武器に変換するの。」
宵が手を開くと、空気が震え、
淡い光の刃のようなものが形を成した。
「これが、私の深層感情から生まれる“エモウェポン”。
私のは——“慈”。
優しさの深層が形になった刃ね。」
優しい姉のような声。
揺るがない静けさ。
だけど、その奥に燃えている強烈な感情だけは、
影守漣の目にもわずかに感じ取れた。
「漣くん。
あなたは“表層も深層も、むき出しのまま覚醒した”希少なタイプ。
だからこそ、私たちは貴方を必要としているの。」
宵はそう言って、優しく手を差し伸べた。
「ようこそ、エモハンターの基地へ。
これから全部、教えてあげる。」
基地はこぢんまりとしたドアと比較にならないほどの規模で、俺は思わず息を呑んだ。




