レポート41:ドラゴンとの激戦について
啖呵を切ったその直後、火竜のブレスが襲いかかる。
「水!」
「「【アクアギア/水辺の女王】」」
シールドを展開し、水を纏わせる。
「よし…ダメージ相殺。残りチャージは…40%か。」
「まだ時間がかかるな。」
「それに…もうひとつ考えたくない…ことが。」
ドラゴンが、足に力を込める。
分析データからの解析。あの動作は…火球。
シールドを地面からはずし、体重を乗せて進路を逸らす構えを取る。かがみ気味に盾に体を預ける。視界は完全に塞がるが、盾の感覚を頼りに行動。
衝撃の瞬間に体当たり気味にインパクト。球体を逸らしながら斜めにして体当たりを…
その刹那。間違いを悟る。
盾に当たった物は実態のない火の球体ではなく、円錐型の硬質の物体。思った以上の質量体。遅れてやってきたのは風圧。想定していた中での、最悪のシナリオ。盾が砕け、爪の先端が見える。
ドラゴンが、火にこだわってくれると思っていた。
ドラゴンの最高火力がそれだからだ。
しかし、想定していたよりも、賢かった。いや僕が、侮っていた。考えてはいたが、対応できると思っていた。
近接攻撃。
「カキュウ君!」
「っ…」
砕けた盾、その進路上にあったのは、左腕。
「機械で、良かったよ。」
焼き切るようにしてえぐられた機械の腕と、砕け散った亀の盾。根元の接続用パーツはまだ生きていたため、熱が伝播しないうちに壊れた腕を取り外し投げ捨てる。
「…あとまだ3枚あるが。嫌なパターンだな。」
「あいつ、大きさの割に速いぞ。」
「見てわかった。あれは…反応するには解析を進めないとダメだな。」
「…直接触れられないのでは無かったのか?」
「熱に耐性のある素材はもうひとつある。それとウィーネ達の水纏いで相殺すれば、行ける。」
ついでに、ヘイトも買えれば一石二鳥。まあ、左腕が使えなくなったのは痛手だが…やるしかない。
「フレードは、次の攻撃のバフを貯めろ。僕の方が自由に動ける。」
【倉庫:解放】
取り出したのは火山で出会ったカエルの皮。
それをなめして何やかんやして加工したコート。
前を閉じれるようにしたため、全身を保護できる。
水を纏わせれば殆どドラゴンの体温の放熱くらいなら無効化できる。
次の攻撃。しっぽによる右方向からのなぎ払い。
跳躍によって回避し、そのまま足元に潜り込む。
チャージ確認。現在70%。残りは30%
「最近相手が遠距離ばっかりだったからな。
本領発揮だ。」
そのまま直接触れて解析を進める。
しかしまあ、相手も馬鹿では無い。
足元、言い換えれば腹の下に潜り込んだ相手への攻撃方法は…ボディプレス。
地面を押しつぶさんと迫る巨躯をギリギリで抜け出し、足の鱗を足場にして跳躍、上へと飛び乗る。
【残りチャージ20%】
「お前…上に攻撃、できないだろ。」
解析結果、ドラゴンは首や手足の可動域が狭い。また、攻撃手段のどれもが背中への攻撃範囲を持たない。
それも当然だろう。自分の背中への攻撃は自爆とほぼ同義。
「さあ、お前の全てを見せてもらうぞ。」
【残りチャージ:10%】
背中に手を触れ懐石を進める。解析の真髄は、相手限定の行動予測だけではない。
どこをどう攻撃したら相手がどう反応するのかの回答の獲得。そして…相手の弱点の把握。
「そんなところにあったのか。」
ドラゴンの絶対弱点。砕いた頬よりもより脆弱で、一撃で倒し得るひとつだけ、逆さ向きに着いた鱗。
まさしく逆鱗。首の後ろにあったそれに対竜狙撃銃を0距離で、押し当てる。
【チャージ100%】
「予測通りだ。」
引き金を引くと蓄積された魔力が純粋なエネルギー化され放出。行き場を失った膨大なエネルギーは、銃身という逃げ道に向かって走り、協力無比な光弾となって、ドラゴンの逆鱗を貫いた。




