レポート38:自分自身について
「…器用なものだな!ノーム達にも劣らないのではないか?」
決意を新たにしてから数日。対ドラゴン兵器の最終調整を大使館の一室でやっていたが、何故かチョロチョロとこちらを右から左から覗いては喚くフレイド。
作業しながらでも問題はないとの事なのでそのまま話を続ける。
「まだ会ったことは無いからわからんな。」
「それを使うと、ドラゴンにどのくらいのダメージが入るのだ?」
「戦闘した限りだが、鱗にヒビ入れる位はできる。上手く当たれば割れるかもな。」
「ほう!俺様の全力のメテオインパクトでも割れなかったあれをか!」
「こちらとしては、殴りだけであれだけの火力出される方が異常なんだがな。」
「む?ああ!あれは俺様の能力で威力を上げているだけだ。」
「能力…お前もやっぱ固有はあるのか。」
「うむ!俺様の能力は【チャージ】!!
構える時間が長いほど放つ威力が高くなるのだ!」
「最初のあれはどのくらい溜めてたんだ。」
「メテオインパクトか!あれは5分近く溜めていたか…?」
「長いな。いや…ドラゴンは外れ値か。普通に考えれば便利…なのか?」
「色々不便でもあるのだ。剣や槍では同じ構えをずっとり続ける必要がある。だが拳は握りしめて置くだけでいいからな!!結果的に拳でしかつかなかったのだ。」
「なるほど。」
...ペラペラとよくしゃべる。隠し事という概念がないのだろうか。
いや、それだけ信頼を置かれていると考えるべきか。
「さあ!俺様は話したぞ。次は、貴様の番だ。」
「…なるほどな。お前...さては結構賢いか。」
「それほどでもない!だが、まあ、腐っても王族ということだ。」
「なるほどな。」
自分から情報を開示し、こちらも話さなければいけないような空気にする。かなりリスキーではあるが、そこで答えないような相手は信用ならない...ということか。
「僕の能力について聞きたいの?」
一度、工具を置き、フレードと向き合う。
「ああ。ヒュマリアの姫から多少のことか聞いているが、どうにもそれだけに思えん。」
「...なるほどね。どこまで聞いてる?」
「何処からともなく物を取りだすこと。敵の行動を予測できること。」
「...まあ当たらずとも遠からず。より具体的に言えば、触れた物体の情報の大半を閲覧可能な能力。」
「ほう...だがそれだけか?」
「正直その程度だが、期待外れか?」
「...うーむ。やはり納得がいかん。」
「何がだよ。」
「ものの情報が分かるのは分かった。しかし、なぜそれを有効活用できる?」
「それは解析でその特性が分かればおのずと...」
「そうではない。特性が分かり、その使い道を考えたとして...その技術はどうする。」
「...」
眼から鱗。とはこういったときに使うのだろう。確かに不可解だ。モノの性質を理解したとして、それを加工、組み立てて形にできるものがどの程度いようか。
つまり、この能力には。
「...僕の知らない能力がまだあるってことか...?」
「まあ、そういう者も少なくない。気にするほどでもなかろう。」
「まあ、そうか。そうだな。」
自分の手を握り、解析を発動。しかし、何もわからない。
僕は、僕のことを何も知らない。




