レポート35:谷底で落ちついて
依然として谷の底。
ドラゴンは鎮圧できたのか定かではないが、とりあえずまた底冷えするほど寒く、地面をつかむ大きなゴーレムの腕のようなデザインをした自動焚火台(適当命名)の火のみがあたりを照らし、二人の息使いすら聞こえてくる。
あたりを見回すが岩、岩、岩々。
「全くと言っていいほど何もないな。」
「ああ。一面の岩だらけ。そろそろ朝もなりそうなものだが…」
「...日が昇っても陽光が差すか怪しいか。」
上を向くもせり出した岩などの阻まれよく見えない。日が昇っていたとして曇り空なら判別は不能。まるで極夜である。
「モノリスに救援は頼んだわけだし、誰かしら来るのを期待するのもいいが...はたしてくるのやら。」
「君は、様々な機械を作っているだろう。なにか役に経つものはないのかい?」
「ないわけじゃないけど...ここがどのくらい深いのかわからん。体力使って上って届きませんでした~とはなりたくないからな。」
「賢いね。あの時のように吹っ飛ぶのは?」
「あの時?」
「水都の時のようにさ。あの時水で飛んだだろう?」
「あれはギアに無計画に魔力を流し続けた結果で...いや、案外行けるのか?反動を利用すれば...だがその移動は直線的になる。真上が開けてないと。」
「それが分かっただけでもいいじゃないか。何も手がかりがないよりは。」
「まあ、それもそうか。暗中..暗闇の中で手さぐりするよりかはましだ。」
「いつから動く?」
「朝になるまでは待ち。縦穴があればそこには光が差し込むはずだ。」
「それまでは、待つしかないと?」
「残念ながらな。文字通り光明が差すまでは辛抱強く待つしかない。」
「相変わらず難しい言葉を使うね君は。」
「...まあ。そうだね。癖みたいなものだ。」
過求が焚火のそばの岩に腰かけるとウィーネもその隣に腰かける。
「朝まであとどのくらいかはどうやって判断するんだい?」
「....どうしような。」
「無計画かい!?」
「こんな谷底に落ちるなんて計画になかったからな。縦穴があれば朝になった時そこから日が差し込むはずだからそれを待つくらい…?」
「竪穴があるタイミングで夜だったら?」
「…どの道上は火山だから溶岩とかの明かりで明るいことを願おう。」
「賭けにも程がある…が。それしかないんだよね?」
「僕が思いついてない方法があれば…別だけど多分それしか……」
「…分かった!なら、歩こう。縦穴が見つかる事を祈ってね。」
手を差し伸べると笑って過求も手を取る。
「モノリスが助けを呼んでくれる事も祈って…ね。」
「きっと呼んでくれてはいるだろうけど…ここまで深いと降り方に困ってるんじゃないかな?」
「きっとそうだろうな。さて、切り替えていこう。」
立ち上がると早足で先行していく過求に小走りで駆け寄り、となりを歩く。いつ出られるかも怪しいと言うのに、私の足は少し浮き足立っているように感じた。




