レポート28:適正素材集めについて
「次に考えるべきは、やはり防具か。」
「あの火力に耐えられる防具なんてあるのかいささか疑問だけれどね。」
完全に解けた以前の大盾や鎧などを思い出し、過求は義手を握ったり開いたりする。
「前回の戦闘での壁の消耗具合から考えると...まず金属は避けるべきだな。溶解しかねない。」
「となると皮などの溶解しない素材の使用が最も適切でしょうか。」
「その他にもあるだろうが、それが理想だな。」
「となると基準をどうしようね。生半可なものでは意味がないだろう?」
「理想は完全な熱のカット。あいつの炎の熱を推定2000度とすると...50度程度まで下げられれば及第点。
つまるところ2.5%まで落としこむ必要がある。」
「前回やったように私やウィーネで水を纏わせる方法はどうでしょう。」
「...確かにその方法も用いれば...具体的な計算は置いといて概算で70か80%くらいのカットで済むかもな。あくまで目安にしかならないが。」
「とりあえずは、まずは素材について聞き込みが先決かと。」
「聞き込みが出来そうなところ。やはりそういったことを生業にしている鍛冶屋などか?」
「後は王道だが酒場や交流所などもかな。」
「あとは王子であれば国内の情報にも詳しいかと。」
「大きく三つか。なら僕が酒場に行く。二人は鍛冶屋と王族の方を頼んだ。」
「ただお酒を飲みたいだけじゃないのかい?」
「そんなことはないさ。」
「どちらかといえば王族に会いたくないだけでは。」
「さあ。真実は神のみぞしるということでね。僕は行くよ。」
コートをつかみ、大使館を出る。スイングドアを押し開け入ると、空気が震えるほどの喧騒の響く場所。昼も夜も関係がないようで活気に満ち溢れている酒場がそこにあった。
入口に近いカウンターの席に座るとやや恰幅のいいサラマンダー族のバーテンが出迎えてくれる。
「ヒューマンとは珍しい。ご注文は?」
「とりあえず、お勧めの奴で。」
「大丈夫か?かなり強い酒だが。」
「問題ない。毒物ってわけでもないんだろう?」
「酒も飲みすぎれば体に毒だよ。」
出されたのは褐色をしたお酒。机に置かれた状態でも強力なアルコールが漂ってくる。
周りを見ると同様のものを飲んでいる人が多くいる当たりいびりでもなんでもなく、本当に人気の品らしい。木のカップを掴むと一気に飲み干す。
「おっ…兄ちゃんいい飲みっぷりだね!」
「こういうもんはちびちび飲んでも面白くないだろ?」
掴みは上等。もう1杯、今度はゆっくり飲めるようなものとブロック肉のスパイス焼きを注文。
「兄ちゃんあれだろ。最近、火都に来たっていう…ドラゴン退治の。」
「退治はしてないさ。退けただけだ。…まあ倒す気はあるがな。」
「ほう!!?あれを倒すってのかい!!
生半可なことじゃないだろう?」
「ああ。そのための準備中だ。…まあ素材探しに難航してるんだがな。」
苦笑しながらカップをかたむける。
「何を探してるんだ?なにか役に立つ情報があるかもしれん。」
「そうだな…防具に使える……熱をカットする金属じゃない素材。出来れば皮や鱗だな。」
「なるほど…どのくらいのがいいんだ?」
「可能なら完全な断熱。そうでなくとも8,9割はカットしたいかな。」
「ふーーん…確か近くの火山に炎が効かないカエルがいると聞いたことがあるが。」
「カエル?」
「ああ。なんでも、どんなに高熱の炎を浴びせてもピンピンしてるらしい。」
「面白い生物もいるものだな。」
「そんなところかな。そこまで役に立てなくて済まないね。」
「0が1になった。ありがたい限りだよ。」
チップを支払い席を立つ。
「気をつけるんだよ。火山には危険な生物が多くいると聞く。」
「今更さ。時間があったらまた来るよ。」
「期待して待っておくよ。」
スイングドアを開くと空は若干青みを帯びており、出発するには少し早い。
「一旦、合流するとするか。」




