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レポート24:護るものについて

「本日はお忙しい中お時間を…」

「よい!気にするな!!」

サラマンディア、王城。とりあえず一人で面会の約束を取り付けに行ったらそのまま通されたと思えば玉座のまではなく応接室に通され、柔らかい椅子に腰かけ、芳ばしいお茶を啜りながら対談することになった。

「さて…恐らくあのドラゴンについてだな?」

「ええ。我々は、少々訳あってあのドラゴンを討伐しようと考えています。」

「…その腕の報復か?」

外套を外したゆえに露出した機会の腕を一瞥してドヤ顔をされるが、自信満々に外されると正直返答に困る。

「いえ、腕に関しては正直どうでもいいです。

機械になろうが生身だろうが動けばそれで。

まあ、怒りがないといえば無論嘘になりますがね。」

「正直だな!それでこそ信頼に足りるというものだ。ならなぜだ?お前たちは旅の行きずりでここに寄っただけだろう?」

「そこまでお話はできませんね。それで信頼に足りないと言われればそれまでですが。」

「…まあ人にも隠し事の一つや二つ…あるか。それで、お前らは俺様に何をして欲しいんだ?」

「戦闘に、参加して貰いたい。」

一瞬、背後の衛兵から動揺を感じる。

それもそうだ。一国の王…代理とはいえ、それをできるだけのポストにいるものを戦場に駆り出そうというのだから。反対されてとうぜ

「いいぞー。」

「まあ断る気持ちはわか…はい?」

「だから、良いぞ。ドラゴン討伐。俺様も参加しよう。むしろ参加させろ。」

「王子!!」

「別にいいだろ。見たところ…お前たちではあれの鱗は貫けないだろう。協力せずに死なせてしまってはそれこそ…サラマンダーとして失格だ。」

「それは…そうですが。」

側近…恐らくかなり近い立場のものなのだろう。が、眉間に皺を寄せ頭を抱える。正直、単純バカな王子なのかと思っていたが、案外賢いのかもしれない。

「それに。俺の技を受けてまだあいつは倒れてない!それはとてもムカつく!」

…訂正。賢い単純バカだ。

「それとあともうひとつ…熱に体制のある金属以外の素材とひたすらに頑丈な素材を探しているのですが。」

「頑丈な方は金属でいいのか?」

「…まああまり好ましくはありませんが、金属でない素材の硬さには限界もありますので。」

「なるほど…なれば金属の方はヒヒイロカネが使えるかもしれないな。」

「ヒヒイロカネ?」

「ああ。肉塊に侵食された金属の中で適応し、無害でありながら魔力を込めれば再生し、火を入れながら魔力を込めれば込めるほど固くなる。肉塊に染まった故に緋色となった金属のことだ。」

聞いた事も無い金属。いや、半ばあきらめにも近い固定観念故に見逃していたのだろうか。

有機物であれば一瞬、無機物であっても数日もすれば肉塊に飲まれ侵食される世界で、まさか例外、適応が存在するとは。

「…侵食の例外……それは、すなわち貴重ということでは?」

「その通りだ!!金属では無い熱耐性の素材に関しては…様々候補がある。1度俺様の方で色々見ておいてやろう。」

「…助かります。ヒヒイロカネに関しては、採取ポイントとかはわかっているのですか?」

「元々在った鉱石が侵食されて成るようだからな。侵食された鉱山で採取は可能ではある。だが、とんでもなく珍しい上に危険だらけだ!正直やめた方がいい!」

「…なるほど。1度行ってみることにします。」

「聞いてたか?なあなあ。俺様の言ったこと聞いてたか?」

「ええ。参考になりました。」

「ならよい!」

声がでかいが耳が慣れたのか最初よりかは小さく聞こえるが依然大きい声に思わず耳を塞ぎつつ鉱山の場所をメモする。

モノリスや、ウィーネにも伝えて手伝ってもらおうか。いや、しかし鉱山とはいえ侵食されている。閉所となれば様々な危険が伴うだろう。

まだあの二人はあまり肉塊の環境に慣れていない。多少過保護かもしれないが…

「一人で、行くか。」


肉塊は、果たして何で掘ればいいのか。

あまりにも柔らかく、湿っている。

まず、ツルハシは論外だろう。刺したところで砕けもしない。次にスコップ。まあこれはいいかもしれない。というわけで、現在数時間後ひたすらにスコップで肉塊をすくっては奥に投げていく作業を繰り返している。

しかし、ほってもほっても何も出ない。

想像はしていたが、かなりの重労働になってきた。

「ヒヒイロカネ…一体どこにあるんだよ……」

ただすくって探すというのも骨が折れるがもうひとつ。キィという鳴き声と羽ばたく音が聞こえ咄嗟に義手を振るうとなにかが地面に落ちる。確認すれば顔全体が鋭い牙になったようなコウモリ。目は著しく退化しておりおそらく見えていないがそれでも向かってこられるのは超音波云々によるものだろうか。

「肉塊に触れれば自分も肉塊に。肉塊を食えば肉塊のお仲間入り。諸行無常極まれり。」

義手に着いた肉塊を布で拭い落とし放り捨てるとコウモリを確認する。明らかな、違和感。

しかしそれがなにか分からない。

コウモリの羽。大きな口。歯に、劣化した目。体を覆う柔らかな体毛。…体毛?

「なんで体毛がある…?」

肉塊の獣はまだ種類を多く見た事はない。

だがそのどれもが骨と肉のみで構成されており、ドラゴンもその一部ならば鱗のようなものを纏う個体もいるのかもしれない。

あるとしてもあまりにも硬質化しておりもはや鎧と呼んで差し支えないほど、なのにこの個体は、通常のコウモリと同じと呼んで差し支えないほどの、柔らかな体毛をしている。

果たして、それが何を指すのか…

鉱山の奥からは依然として羽音と鳴き声がしている。

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