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レポート22:火都の収穫、お及び可能性について。

「何というか。とても賑やかだな。」

火都の商業区画。雑多に行きかう人々の喧騒。怒号に野次馬の声。がさつ、というべきか単純というべきか。ケンカは華。とでもいうかのような雰囲気。

全体的にサラマンダー族は大きく、平均身長は2mを超えることから歩いていると否応に圧を感じる。

「はぐれるんじゃないぞ。」

「君こそ、勝手に行動しないようにね。」

「マスターは問題児ですから。」

「貴様ら。」

本日の目的は、ドラゴンの攻撃により失った資源の補充。及び地理などの把握。

と言い聞かせてはいるが。

「モノリス。その手に持っているものはなんだ。」

「炎の鳥の焼き鳥だそうです。先ほど屋台で売っていまして。」

「これは...炭火の匂いとピリッとしたスパイスが肉厚な本体に良くあっている。とてもおいしいよ。」

完全に観光気分の二人に頭を抱える。だが、それと同時に気持ちもわかる。現代ではこのように他の国に来ることなど余程準備に準備を重ねて、外の情報を知っていないと生存自体が難しい世界。

なにか一つ予想外のことがあっただけでたやすく崩れ去る。そんな世界で生きて他国に訪れられたのだから、すこしくらい羽目を外しても大目に見るべきなのかもしれない。

「二人とも。僕は自分の買い物をしてくるから、好きに見て回ってきたらどうだ?」

「良いのですか?」

「僕はあまり興味がないからね。」

「そうか...何かあったらすぐに頼るんだよ?」

「はいはい。それじゃあ、また後でね。」

故に最善の選択肢は別行動。楽しみたい気持ちも理解できる以上、それも尊重すべきだろう。

そして僕もやるべきことを終わらせられるのだから一石二鳥。...ともまた違うか。まあ、良いことずくめだろう。

まず一番にやってきたのは鍛冶屋。

「失礼するよ。」

「ん...ヒューマンのお客とは珍しい。いらっしゃい、何の用だい。」

中にいたのは青いうろこの大きなサラマンダー族。こちらを見て、細めた動向とちろちろと喋るたびに動く舌。

「ものつくりもそうなんだが、このあたりで素材を下ろしているところが聞きたくてね。」

「うーむ。基本的にはノームから仕入れてるからどこというのはあまりないかな。必要ならうちの在庫から、問題ない範囲で売ろうか?」

「...何かの縁だ。お言葉に甘えようか。」

必要な素材と量をメモした紙を渡し、確認してもらっている間に適当に品物を見て回る。

剣、槍、戦斧、盾。優れた加工技術により作られた数々は実践において信頼に足りるものだろう。

その中で、目を引いたもの。

「...腕、か。」

「気になるか?まあその腕ならば無理もないか。」

奥から素材の入った箱を荷台に積んでやってきた店主がこちらに近づき品物を持ち上げる。

「これ、鍛造じゃなくて鋳造だよな。」

複雑にパーツの組み合わされた義手。他の武器たちが美しい波紋を持つ鍛造によるものなのに対してそれだけは何か、違う気配を感じた。

「こんな世界だから腕などの欠損も多くてね。最近ノームから仕入れたんだよ。まあ試験的にだからそれほど性能がいい物でもないんだが。」

「...見てもいいか。」

「ああ。好きに見てみてくれ。」

机に置かれた義手を指をつまんで動かしてみたり、分析(アナライズ)して構造を見る。

確かに拡張性はあまりなく、動作の幅も少ない。内部機構の精密性にも難あり。

しかし、それでも可能性を感じるには充分であった。

「義手は、もっと性能のいいものもあるのか?」

「あるとは思うが...ノームの国にまで行かないと厳しいかもな。」

「それが聞けただけでも十分だ。これも頼むよ。」

素材分+義手にさらに追加して代金を支払うと呆れた顔で余剰分を付き返してくる店主。

「おい。多いぞ?計算は苦手か?」

「情報量と、あと手数料だ。気にせず受け取ってくれ。」

返された分を握りなおされると少し困ったような苦笑いで懐にしまう。

「そんなお人よしだとこの先苦労するぞ?」

「相応の対価は支払う主義というだけさ。まだ、可能性が見えた。」

「...そうか。きっとまだしばらくこの国にいるんだろう?その間は懇意に頼むよ。」

「質もいいからな。今後とも色々世話になるよ。」

十分な、収穫を得て火都での第一回買い出しは終了。

あれほどの鋳造技術があるならばぜひ土都にも行ってみたいものだ。

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