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レポート20:ドラゴンについて

ドラゴンの無限にも思える火炎放射をひたすら盾や素材を壁にして受け続けて一体どれ程の時間が経ったのだろうか。実際計ってみれば3分も経っていないのだろうか。ついに最後の盾替わりの鉄板も赤熱し炎が貫通するかという時、それは起きた。

唐突なブレスの停止。ドラゴンいえど生き物。絶対にブレスを吐き続ければ起こり得る自称。

すなわち、息切れ。

「やっと隙を見せたか、ドラゴンめ。」

息切れと言われる自称はもうひとつある。詰まるところの、リソース切れ。

僕の倉庫にはもう素材はなく作った武器も多くない。

見るに、鱗を貫き攻撃するには最初の1発レベルのダメージしか通らないだろうがそんなものない。

もしてモノリスも盾に水を貼り続けた故にかなり消耗している。ウィーネも蒸発する水を元に戻し盾に戻すという中々のことをやってのけた。故に、満身創痍の惨状。互いに均衡した状態でそれは唐突に現れた。例えるならば、隕石。赤く輝く何かがドラゴンに空より突撃そのまま爆発と共に着弾する。

「がーっはっは!!どうだ!俺様のメテオインパクトは!!」

煙の晴れた中ドラゴンの背中で高笑いするのは、両手に鱗の生えた拳と長く大きなしっぽ。頭にはひび割れた溶岩のような黒く曲がったツノ。お手本のようなサラマンダー属の特徴をもった10代後半程度の言葉通りの快活な青年。

重力と本人の推進力による不意打ちを食らったドラゴンは大きく羽ばたき青年を振り落とすと地面に火炎弾を放ち煙幕とともに飛び立つ。

「あっ…くそ!にげるなぁ!!」

喚く青年、それを裏腹に飛び立つドラゴン。

その胸部で紅く輝く、ひとつの歯車。

「ギア!!?」

「マスター!」

「っ…だめだ。深追いするな。」

「ですが!」

「ここで反撃されたら、もう防げない。1度立て直すための時間が必要だ。」

「君は…こんな時でも冷静か。」

飛び去るドラゴンと喚く、サラマンダーの青年。満身創痍のモノリスとウィーネ。

そこで記録は途切れている。

次に認識したものは、熱気と喧騒。

目を開けるとそこは石造りの部屋の中。これまた石造りのベッドの上に寝かされていた。

辺りを見回すが誰もいない。正面と左手側に扉があり外の吹き抜けの窓を見れば景色は正常を保っている。

「とりあえず、安全圏ではあるのか。」

起き上がろうと手をつこうとして何故かバランスを崩しベッド倒れる。…なにか違和感。

「…んあ?」

右腕を見る。ある。動く。

左手を見る。ない。動かない。

1度、大きく息を吸う。吐く。

「…腕、なくなったか……。」

空を見上げる。遠くから聞こえるのは人の喧騒。遠く透き通った青に壁のような紅。

これだけで済んで良かった。と思うべきなのだろう。

そうだ。本来なら全滅の可能性もあった。

腕1本で済んで良かったのだ。右手1本で何とか立ち上がり外をのぞきこんでみると見える範囲内にはサラマンダー族ばかり。建物も木と石を切り出したレンガ造りが主だったのに対して、砂岩や石などがメインになっている。つまるところここは…

「火都サラマンディア…の中か。一体いつの間に。」

何も分からない。モノリス達はどうなったのか。

あのドラゴンはなんなのか。なぜギアが胸にあったのかエトセトラエトセトラ。

もはや何も分からない今は、とりあえず命の危険はないと信じて…もう一眠りしよう。案外、悪い夢かもしれない。

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