レポート2:新世界について
「やはり!ドリルはよく削れる!」
神の時代のゴーレム。いちいち記載するのも面倒なので以下ゴッデムとする。
ゴッデムのボディにパイルバンカー、いや先端が回るからドリルバンカーと呼ぶのが相応しいか。それを突き刺し、破壊し、掘削し、破壊する。
外装を剥ぐと中にある様々なコードと見える黄金の球体。
「どうせコアなら!!」
盾を強くたたくとドリルの先が3つに分かれクローに早変わり。
「もらっていく!!」
腕を突っ込みコアを掴むと思い切り引っこ抜くとロボットは輪切りにされたかのように、いや全てのネジを引っこ抜かれたみたいにバラバラになって崩れ落ちた。
「電磁石でくっついてたのか?にしてはあまりにも強固すぎる気もするが…」
部品をかき集めて一か所に集まると外套をかぶせて手をかざす。
『分析』
急におかしなことを言いさして木でも狂ったかと思うがこれが普通なのである。
この世界の人やらサラマンダー族やらエルフやらなんやら全部ひっくるめて生物には個別に固有の能力が備わっている。同一の系統であることはあるが全く同じ能力というのは今のところ報告例がない。
そしてこれが僕の能力。分析まあ具体的には能力の機能の一つなんだがそれはおいおい。
物の材質や特徴などを分析することができる。効果対象は触れている物体だけだが、服などで包めば『包まれた~』といった風に一括で分析できる。
「なるほど?細かい部分は違うけどくそ強力な電磁石的な感じか。」
『倉庫』
外套のふくらみがなくなりどかすと先ほどまであった残骸はすでに消え失せている。
機能二つ目。ストレージ。積載量は多分無限の収納。おそらく時間は停止しているかゆっくり流れていると思われる。生き物が入らないことだけは残念だがそれ以外は何でもはいるので重宝している。これもまた触れているものしか収納できないが概念的に一つに(包まれた~のように)なっていれば一括で収納することができる。
「さて進むか。」
ビクともしなかった扉だが一つのひらめきを試してみることにした。
コアに銅線を巻き付け、その先端を先ほどゴーレムが出てきた突起物に接続すると音を立てて動き始めた。
「やはりか。この遺跡はコアで生み出されてるエネルギーと同種のエネルギーで動いてると踏んだが。
まさかこうもうまくいくとは。電圧差とかないのかね。それともあの端子が変換器だったり?」
開いた扉の先。そこはとても開けた空間だった。
直径50m程の円形の部屋。壁面は寸法がバラバラのチェス盤のような格子状の溝が刻まれており、中央には2mほどの黒い立方体が鎮座している。
触ってみれば少しヒンヤリとしており、全体的にツルッとしている。
「わかんね…石っぽいが金属のようにも感じる……とりあえず分析」
手を触れ、分析にかけた途端のこと。その立方体に異変が起きた。
触れた部分から青白い線が走り、まるでプレゼントボックスかのように、あるいは花弁が開くようにして立方体がオープン。
その中にいたのは、乙女座りで動かない全裸の女性。
「なん…だこれ?」
分析
【分析結果:不明 製造年数推定1万年以上前】
「…は?」
想定外の事態に思わず声が出る。
分析が今まで不明という結論を出したことはない。それに製造年数が1万年以上?ふざけてる。
それこそ、あり得るとしたら神々が実在していた時代の真っ只中じゃないか。
「…そもそも……人なのか?」
改めて注意深く見てみると両腕と両足は機械の物にすげ代っており、胸部には何か歯車様な物が中に見えるが今は停止している。
しかしながらそれ以外の顔や胴体などに関しては人間と大差ない。
長く伸びた髪もプラスチックやカーボンでは無い、正真正銘の有機的な髪の毛である。
「…この歯車を回せばいいのか?」
胸部のコアに手を触れるとゆっくりと回転を始め、それの加速に比例するように体から力が抜けていく。
「罠か…!?」
とっさに手を離そうとするが張り付いて離れず回転を続ける歯車。
そのまま意識は薄れていき、視界が黒く染った。