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レポート13:舞踏会について

何とかモノリスの機嫌を取り無事に迎えた翌日の朝。

扉を叩く音が家に響いた。

「はいはい…今出ますよっと」

メンテナンス中の盾を1度机に置き出るとそこに居たのは騎士団長。

「団長…ウィーネさんでしたか。」

「昨日ぶりだね。例の件で伺ったのだが…いてくれて良かった。」

「立ち話もなんですし、お時間よろしければ少しお茶でも飲んでってください。」

「なら…お言葉に甘えようかな。」

「マス…兄様。そちらの方は」

「水都騎士団の団長さん。」

「…ああ。昨日はうちの兄がご迷惑をおかけしました」

「いえいえ!むしろこちらこそ感謝してもしきれないくらいで………兄?」

「はい。私はそちらの馬鹿の妹のモノリスと申します。」

「それは…なんとも」

イマイチ腑に落ちない顔でモノリスを見るウィーネさん。それもそうだろう。妹と聞いてまさか僕よりも大人びた姿であるとは思わなかったのだろう。

僕自身、かなり童顔だ。そのギャップも相まって妹というより、傍から見れば姉に近い。

というか最初はモノリスを姉という設定にしようとしたが断固として譲らなかったので妹になっているだけだし。

「しっかりした妹でしょう?」

「兄様はもっとしっかりしてください。」

「してるほうだとおもうんだがなぁ…」

「いつも無計画に動くから私がどれだけ心配したと思ってるんですか」

「それに関しては私も申し訳ないことをしたな。

つい…気が昂ってしまって、時間を考えずに手合わせをさせてしまった。」

「気にしないでください。こういう時に叱って置かないといつまで経っても治らないので」

「まあ…迷惑料と言ってはあれなんだが、その件で話に来てね。パーティの日程が決まった。」

「おお、いつになりました?」

「明後日の夜の9時から…なんだが少し国王様が話をしたいらしく…夜の8時から来てもらえるかい?」

「分かりましたが…そんな上等な服をもちあわせてませんが。」

「それはこちらで用意しよう。普段の服のまま来てもらって構わないよ。」

「…お言葉に甘えさせていただきます。」

「では…また明後日のパーティで。楽しみにしているよ。」

「こちらこそ。」

ウィーネさんが任務に戻りしばらくしてから、席にに座り直しコーヒーを飲むと横にモノリスが腰かける

「随分と、仲の良さそうでしたね。」

「そうか?普通だと思うが…まあ男同士で何があるという訳でもないんだからいいだろ」

「…なるほど。そういう事でしたか。」

「ああ。さて、明後日だが……多分、これが最初で最後の正面から王城に潜入できるチャンスだ。」

「…もしかして、マスター。連日の朝帰りは…この為に!?」

「いや何を当然のことを。」

「てっきり成り行きや気分で行動していたのかと…」

「そんなに信用無かった!?」

「悪い意味での信用です。」

「まあ、そんなことはどうでもいい。この機会に王城に潜入し、ギアを奪取。

その足で国外に出る。」

「その後は。」

「その時に話す。何があるか分からない以上、今は目先のことに集中するべきだ。」

「その通りですね。」

さて、時間は飛んで当日。

「...なれないな。」

「マスター。私、きれい?」

「きれいって答えたら口が裂けるんだろ。」

「すみませんよくわかりません。」

「旧時代の怪異だ。気にするな。」

王城につき、借りた正装に着替えて合流する。

僕は極めて一般的な特に語るところもないスーツ。対してモノリスは、純白のドレス。あまりフリルの付いたようなものではなく人魚のようなシルエットのしなやかなものだ。

「まあ、よく似合ってるよ。」

「マスター。これ、ほしいです。」

「そんなに気に入ったのか。…買い取れるか聞いてみるか?こういったときに使えるものは持っておいて困らないからな。」

「お願いします。」

「待たせたな。」

控えていた部屋に入ってきたのは声からおおむね察していたがウィーネさん。

「謁見の準備ができた。慣れないことだとは思うが、あまり気を張らなくてもいいからな。」

「失礼のないように気を付けます。」

そうして連れられてやってきた大扉。その先には玉座があり、そこには初老程度の男性が腰かけている。

「国王様。来賓の方を連れてまいりました。」

「うむ。...君たちが娘を救出してくれた方々だね。名前をおたずねしても?」

「私は過求。そして隣にいるのが私の妹のモノリスと申します。」

「カキュウさん。モノリスさん。此度の活躍、心から感謝いたします。して、すでに聞いているとは思いますが何か褒章を与えるという話でしたが...なんでも近々この国を出られるとか。」

「はい。理由は深くは語れませんが。」

「なるほど。となると爵位や土地などは貰っても困りそうだね。」

「ええ。いい方は悪いですが無用の長物になるだけかと。」

「ふむ...旅に出るということだが。備えの方はできているのかい?」

「ええ。必要とされるものの大半は。」

「そうか...困ったね。こちらも何もなしというのは心苦しい。なにか...断念したものなどはないかい?」

「モノリス。何かないか?」

「...だったら、このドレスがいいです。できるならマス...兄さまのスーツも。」

「そんなことでいいのかい?君たちの活躍ならもっと高価なものでも渡せるが。」

「どうやら妹はとてもこのドレスが気に入っているようで。」

「ならば、それらは君たちに贈るとしよう。なにか他にもあれば遠慮なくいってくれたまえ。」

「恐れ多いお言葉です。」

「では...そろそろ他の来客もいらっしゃる頃だ。ぜひ楽しんでいってくだされ。」

「ええ。心置きなく楽しませてもらいます。」


「なんて言ったんだがな。」

実際による始まってみれば、まあダンスの踊り方など知らんわけで。

パーティというよりかは舞踏会という方がふさわしい雰囲気に妙な疎外感を覚えながら壁にもたれかかり、お酒を飲んでいた。上等なものなのだろうということはわかるが評論家でもないため特にこれと言って何か言うこともない。こんな僕に特に知られることもなく飲まれるワインに少し哀れみすら覚える。

「どうだい?楽しめているかい?」

「いえ。あまりこういった空気にはなじみがないもので。」

「そうか。まあ仕方がないのかもしれないな。なら」

見かねたのか話しかけてきたウィーネさんに手を取られる。

「折角だ。私と踊らないか?」

「...ほぼ見よう見まねになりますがそれでもいいのなら。」

「構わないさ。」

手を引かれフロアの真ん中へと連れていかれると音楽に乗って動き始める。しかし、案の定というべきか、何というべきか当然のごとく踊れるはずもなく。

しかしながらウィーネさんに恥をかかせるのも忍びない。

(個人情報は見ないようにするから許してください。)

【解析】を使い、ウィーネさんの踊りの技術を解析。そのままそれをトレースして何とかついていく。

「おや。踊れるようになってきたじゃないか。」

「何とかまねしてるだけですよ。」

「真似ででそれだけできるなら十分さ。後は、動きだけじゃなくてリズムに乗れるといいな。」

「リズム、ですか。」

「ああ。動きの緩急というやつだ。こうやって、流れに身を任せてスロースロークイッククイックスローといった具合にな。」

エスコートされる動きに合わせて模倣した動きを重ねていく。緩急をつけ、音に乗り。相手の動きに合わせてこちらも動く。

「中々筋がいい。」

「ええ。これはまるで…戦闘ですね」

「……まさか同じ感想を抱くとはね。君もそう思うかい?」

「ええ。相手の動きに合わせてこちらも動く。

緩急をつけパターン化させない。音を聞いて動きや予備動作を判断する」

「案外通じるところがあるのかもしれないな」

「ええ。武と舞ともいいますから」

「…ああ、そっちか」

「え?」

「いや、なんでもない。」

そのままウィーネさんのエスコートを受けつつ段々と互いにリードし合いながら踊り続ける。

1曲、2曲、3曲。結局最後まで一緒に踊り通してしまった。

「もうおしまいか。楽しい時間は過ぎるのが早いものだね。」

「リードが上手なおかげでいい経験が出来ましたよ。」

「君の筋が良かったのもあるだろう。さて…もう遅い時間だ。折角だし泊まっていくといい。」

「いいんですか?」

「ああ。来賓の方々は基本止まっていくからね。君たちの分の部屋も用意されているよ。」

「僕としてはありがたい限りですが。モノリスは?」

「お言葉に甘えましょう。」

「意見が一致したようだね。」

渡されたカギを受け取る。見た目としては無骨な銀色の本体に赤い宝石が埋め込まれた鍵。

仕組みとしては鍵を使用した時間が記録される魔道具になっているようだ。

「では良い夜を。」

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