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レポート10:捜索について

副団長ことミルクさんに案内されてやってきた魔術師の部屋。

床には書籍やら資料の写しやらが大量に散乱し、脱いだ服は隅のカゴにひとかたまり。

部屋には妙な匂いが充満しており、長居したら健康に悪そうな部屋である。

「…酷いですね」

「やっぱりそう思います?」

「ここは、朝からそのままですか?」

「はい。まだ他の騎士団もこの部屋の調査はしていませんでしたから」

「…いいんです?部外者に最初に触らせて」

「内部の犯行であれば外も中も変わりませんから」

ミルクさんの監視の元、調査を始める。

床に散らばる資料をかきあつめ一つ一つ目を通す。

どうやら土壌の改善や医薬に使える魔法薬などの開発をしていたらしい。

次に床に無造作に積まれた本に目を通す。

医薬関係を研究していた為か体内からの魔法の効き目の違いや体調不良の原因となり得る呪いなどについての本が多い…

「…ここだけやけに開きくせが残ってるな」

注意深く見ればそこに書いてあったのは呪いを水に込める方法。致死性の毒や変形、硬質化するようになるとのなど多種多様。その中でも、媚薬に関してのみやけに擦れが多い。

「…ふん。下衆の考えそうなことだったか」

「あの魔術師…」

怒りのあまりミルクさんの足元の床がミシミシと音を立て始めたので一旦静止して調査を続ける。

「…あ。」

「何かありましたか?」

「いえ。飲みかけのコーヒーがありまして。汚いなと」

「…ちょっと貸してください。」

コーヒーを分析。特にカップに入れられてからどのくらい経ったのかを重点的に探る。

「…時間的には今朝の日の出前…朝の3時くらいか…」

「固有能力で調べたのですか?」

「ええ。今何時です?」

「1 1 4 0ほぼ12時です」

「となると9時間程度…水都内ならどこでも行けてしまうか。」

「…そちらの固有能力でなにか……あとの追跡などは出来ないのですか?」

「道路を解析しても通った個人の特定などはできませんし…何か1人だけの特徴などあればいいのですが。」

「難しい…ですか?

「とても…どこか隠れ家を使うにしてもそこを契約しているはずですがその資料もないですもんね…」

部屋中の資料と言う資料を漁り、犯行の動機はわかった。しかし、居場所が分からない。

「…こうなれば地道に行くしかない…ですかね。」

「流石にそれは無謀では。」

「眠っている人を運ぶのはかなり大変です。部屋の様相を見るにおそらく運動不足の引きこもり。

それこそ陸路は難しいでしょう。そう考えれば…水路の可能性が高い。」

「水路ならば…舟が残る。」

「その通り。おそらく犯人はこの城の船を使ったでしょうから…それさえ見つかれば。」

「その近くにいると。」

「希望的観測にすぎませんがね。ですが論理は通っている。」

「その筋で探してみましょう。」

従ってやってきたのは王城の船着場。水路にボートを出すための場所はいくつもあったが1番魔術師の部屋から近いのはここだった。

しかし水路は水都中に文字通り蜘蛛の巣のように張り巡らされている。ここを起点にしたとしてどこに向かったのかなど分かりやしない。

水路に出るとそのまま流れに乗り操作せずに進む。

「僕の予想が正しければ…これが正解だと思うんだがね。」

寝ている人は、ボートを操作できない。

言うまでもない事実である。故にそれが重要。

外に出る時に魔術師のみだったのであれば、ボートは水路に流されて自然に進むはずである。

その後どこで追いついたのかは分からないが、おそらくあのような部屋の魔術師が追いつく距離となるとしばらく流されたであろう。

というわけでしばらく流されてみることにする。

きっとしばらくすれば何かしら起こるであろう。

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