サヨナラ、皆
この話から読めない言葉が出てくると思いますが、そのうち読み方は分かると思いますので、適当に読んで下さい。
「あー・・・突然だが、逢坂が転校することになった。
二学期から学校が変わるそうだ」
衝撃の事実から三日後、先生はその話を教室の皆に話した。
僕はまだ不安と、悲しみでいっぱいだった。
放課後。
「祐一っ。そんな落ち込んだ顔すんなよ。コレ、あるだろ?なっ」
そう言って一樹は携帯電話を指さしたが、ちょっと待て。
僕は携帯電話なんて持ってない。
それに、もし持ってたとしても、引っ越す村じゃアンテナの一本も立たない。
要するに、圏外だ。
「そうか。そういや、
祐一がケータイ持ってるなんて、聞いたことなかったな」
一樹は困ったような顔をした。
「仕方ないよ。あの村は、電話の線も通ってないんだ。
パソコンぐらいなら使えるかもしれないけど、うちにはない」
今さら思ったんだけど、
その村、
田舎どころじゃ済まなそうだな。
小学校や中学校が建ってること自体が不思議なくらいだ。
帰宅部の僕らは、
とりあえず家に帰ることにした。
「お帰り」
母親の声がした。
「ただいま」
スニーカーを脱いで、玄関に上がった。
ペタン、ペタン・・・
「祐一、そろそろ片づけをしておいてね」
夏休みまで、あと四日。
そして、その次の日、
つまり今日から五日後に引っ越しをするのだ。
その次の日からは、
めまぐるしく毎日が過ぎていった。
学校から僕のモノを全て持ち帰り、
片付けや、段ボールに詰めたり、
とにかく忙しかった。
そして、一学期・終業式の日が来る。
「祐一・・・本当に今日でバイバイなんだね」
「祐一、元気でいろよ」
なんだかんだで皆、僕のことを心配してくれた。
でも、そのせいで、余計転校したくなくなる。
「じゃあね、バイバイ」
そして僕たちは、嗣螺薙村へ行った。