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二人で未来を描いて(4)

「……レフィー。私はきっと……子供を持つのが怖かったの」


 唐突に話を転換した私に、レフィーが私の頭の撫でていた手を止める。

 そして彼は真剣な目を私に向けてきた。その目に、話の先を口にするよう背中を押される。


「恋愛にこだわったのは、誰かを守る前に、私が守られたかった。子供を持てば人一人分の負担が増える、だからその前に自分も守られてみたかった」


 自分の奥の方に仕舞ってあった想いの箱の蓋を、ゆっくりと開けて行く。


「けど、途中で心のどこかでこうも思っていたんだと思う。人一人分と思っていたけれど、レフィーなら半分を受け持ってくれるんじゃないかって」


 箱の中を探って、少しずつ取り出しながら、それを言葉に代えて。


「そして今、また気付いたわ。レフィーは子供だけじゃなくて、私も守ってくれるんだって。私はもう、私を一人で守らなくていいんだって。――愛する人との子供が欲しいという気持ちが、私にもちゃんと芽生えたことが、私は……本当に嬉しいの……っ」


 そうして箱が空になったとき、レフィーを映す私の視界は滲んでいた。声も、震えていた。

 レフィーがベッドの中で身じろいで、極近くまで来る。それから彼は、私の頬に唇を寄せた。その動きが、流れた涙の跡を辿ったのだとわかった。

 私の涙が乾くまで、レフィーはその行為を続けて。乾いた後は、そのキスは私の唇へと場所を移した。

 高ぶった私の気持ちを宥めるように、レフィーが触れるだけのキスを繰り返す。


「落ち着きましたか?」


 そして彼のその問いに私が頷いたのを見て、


「では選んで下さい」


 彼はそう言いながら、会話がしやすい距離まで離れた。


(うん? 「選んで」?)


 会話がしやすい位置に下がりながら会話が成立していなかった彼を見る。

 何に対し「選んで」なのか。それを尋ねる前に、レフィーが亜空間収納から私の漫画を三冊取り出す。次いで彼は、それらをトランプのカードの如く広げて持ち、私に見せてきた。


「えっと……?」

「誘惑してきたのはミアです。さあ、どれがいいですか?」

「はい!?」


 レフィーの意図がわからないと返した瞬間に何となくその意図がわかった気がして、私は改めて彼の掲げる漫画に目を遣った。


(あ、これ確定……)


 提示されていた漫画は、どれもが艶めいたシーンがあるもので。

 でもってその濃度が見事に松竹梅な『三択』になっていた。まさに「お好みのコースをお選び下さい」、である。


「……じゃあ、これで」


 回避不能と見て、私は大人しく三択の中から選択した。

 勿論、梅コースで。避けられないなら梅でお願いします。昨日の昼間でもアレだったのに、今なんて朝ですし!


「……一番シンプルなタイプですね」


 レフィーが私が指差した漫画を見て、ぽつりと呟く。

 それは安心安全第一ですので!


「腕が鳴ります」


 安心安全……!?

 レフィーの台詞に一抹の不安を感じた直後、彼が身を起こして私に覆い被さる形になる。

 漫画は既に亜空間収納に仕舞われていた。


「大丈夫です。どの方法でもミアを満足させられる自信があります」

「○▲※□★!?」


 いやそれ、私的に全然大丈夫じゃない。

 レフィーが、琥珀色の目を細めて私を見据える。

 どう考えても、私が思い描く梅コースではない予感しかしない。

 レフィーが昨夜も見せたような、舌で自身の唇を舐める動きをする。


「ああ、そうです。――おはようのキスがまだでした」


 そして彼が仕掛けてきたキスは例によって、私が先に言った「おはよう」以上に「おはよう」とは程遠いものだった……。


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