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二人で未来を描いて(2)

「んっ」


 まるで本当に聞こえてしまったかのように、その心臓の真下あたり、これまでとは違うチクリとした感覚を伴うキスをされる。


「――綺麗に付きました」

「ふぁっ」


 レフィーが顔を上げたかと思えば、彼は突然に私の片足を自身の肩に掛けた。

 既に私の身体に載っていただけの形だったシャツワンピースが、中央から分かたれて下着が露わになる。だがそのことに焦るよりも先に、それ以上に(ただ)ならないことを彼はやってのけた。


「私しか見ない場所なら、もっと付けてもいいですよね」

「!?」


 太股の内側、際どい場所を狙ってレフィーがまたキスをしてくる。

 同じチクリとした感覚、そして唇を離した彼の満足げな台詞……。彼が何をしたのかが否応なしに伝わり、私は怖いもの見たさでキスをされた場所に目を遣った。


(キスマーク……)


 そうではないかと思って見たはずで、しかも予想通りのものがそこにあったというのに、それでも驚いてしまう。

 正真正銘の、キスマーク。

 今世では勿論、前世でもそんなものを付けて出勤してくる同僚は生憎といなかったので、初めて目にした。

 ある種の感動すら覚えて、私はまじまじとそれを見つめた。

 普段日の当たらない箇所のため余計に肌が白く、付けられた紅いそれがくっきりと見えた。


(……待って。くっきり見える……!?)


 くっきり見える理由を遅れて理解した途端、私はピシリと固まった。

 キスマークがくっきりと見えてしまっている。何故ならそれは、今がまだ日の高い時間帯だから。先程食べたのがお洒落ディナーではなくて、小洒落たランチだったから。

 我に返ったことで、「心の準備は夜までには」と思っていた自分も帰ってきて……私は急に怖じ気づいてしまい、レフィーの服の袖を遠慮がちに引っ張った。


「レフィー。その、ほらあれ、恋愛マニュアルに『初めては静かな夜にキャンドルの灯りだけの部屋で』っていう……」


 私の緊張を見て取ったのか、次々と私の肌に紅い花を咲かせていたレフィーの不埒な動きが、ピタリと止まる。


「……」

「……」


 レフィーがじっと私を見てくる。

 次いで、彼が目だけで部屋の窓を見遣る。私も見る。

 さんさんと室内に降り注ぐ日の光。やっぱりこんな明るいところでは――と思っていたら、そこだけに突風でも吹いたかのようにカーテンが大きく揺れて勝手に閉まりました!?

 ぎょっとして、どう考えてもそれをやった張本人に目を戻す。戻して、私は悟った。「あ、これ本気の目だわ」、と。

 食物連鎖の頂点であろう竜が、私を前に舌舐めずりをする。

 そして竜は、私に宣告した。


「それは後進がいたなら伝えておきます。私は――――待てません」


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