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思い出を消さないで(3)

(私の部屋……?)


 意識が戻った私の目に、最初に映ったのは見知った天井だった。

 既に「懐かしい」と感じたそれに、シクル村での私の部屋だとわかる。そしてその見慣れた景色から、私はベッドに寝かされていることを知った。


(私、どうしたんだっけ?)


 ぼんやりした視界以上にぼんやりとする頭で、記憶にある直前の出来事を思い返す。

 叔父さんの恐怖に染まった表情、青紫色の光りを纏ったレフィー。

 灰になった生け贄の装束から、灰になった叔父さんが連想されて。それで、私はレフィーを止めようとして……彼に抱き付いた。


(あ、そうか。私、多分レフィーの電気で感電したんだ)


 バチッともましてや痛いとも感じなかったが、状況的にそうなんだろう。

 私が思っていた感電のイメージは、こうビリビリ痺れて自分の意思では離れられない的なものだったけれど、こんな触った瞬間に気絶というパターンもあったのか。

 ――いや、待って。私は衝撃に『驚いて』気絶したの?


「もしかして私……死にかけた?」

「まったくもって、その通りです」


 自問自答の呟きに即座に答えが返ってきて、私は声がした方へと顔を傾けた。


「……レフィー、何? その格好」


 ベッドの傍ら、レフィーが膝立ちで私の手を握っていた。もうパリパリはしていない。しかし、その装いが異様だった。

 レフィーは黒いマントを羽織り、付属のフードを目深に被って。手には同じく黒い手袋を嵌めていた。その姿を言い表すなら、怪しいの一言に尽きる。


「絶縁素材で作ってある服飾品です。以前のデートでの失敗を踏まえて、用意してありました」

「ああ、それで私をここまで運べたのね」


 そう言えば、デート中にレフィーがパリパリした後は、しばらく手が繋げなかったっけ。

 絶縁素材というと前世で言えば、ゴム合羽にゴム手袋のようなものか。マントの前身頃は胸の下辺りまでの丈だし、これはまたお米様抱っこされたな、私。


「ミア……目が覚めて、本当によかった」


 レフィーが握った私の手を自身の額に付けようとして、それを直前で止める。そこから進路を変えて、私の手はフード越しに彼のこめかみに導かれた。

 その動きから、彼が素肌に触れさせるのを避けたのだとわかる。私の目で見る限りでは、レフィーの帯電は収まっているように見えるが、まだ若干パリパリしていたのだろうか。確かに手袋を外していないし、フードもきっちり被っているけれども……。


「レフィーの電気、もう少しで収まりそう?」

「――いえ、帯電はもうしていないのですが……」


 私の問いに、レフィーの手がピクリと動いた。

 加えて、歯切れの悪い返事。聞いて欲しくないことを聞かれた、そんな反応を見せた彼にピンとくる。


「えいっ」

「ミア!?」


 レフィーらしくない弱々しい拘束なんてすぐに抜け出せてしまって、私は自由になった手を彼の額にピタリとくっつけた。

 瞬間、レフィーが硬直する。私の手を逃がしてしまった中途半端に浮かせた手もそのままに、彼は息まで詰めていた。


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