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突然の箱詰めシチュエーション(2)

「さて、ここからが本題ですね」

「本題……とは?」


 え? この大発明が前置きなの? 貴方の日曜大工、王都の文明水準を軽く超えていますけれども?

 これを差し置いての本題とは一体。そう思っていた私の目の前に、レフィーが亜空間収納から取り出した紙袋を差し出してきた。

 なかなか大きな袋だ。私が両手で受け取ると、レフィーはもう一つ同じ袋を取り出した。

 とても重いわけではないけれど、それなりにズシッと来たこれは何だろう。


「ようやくこれを使う機会が来ました」

「使う?」


 エレベーター内で使うものなんてあっただろうか。私は王道が好きなので、奇抜な設定は描いていない。よってオフィスラブから逸脱した小道具なんてものは、出てこなかったはずなのだけれど?

 首を傾げながら、紙袋の中身を探る。


「こ、こここ、これは……っ」


 そして中身を袋から出した私は、震えた。

 思った通り、入っていたのはオフィスラブから逸脱した小道具なんかじゃなかった。


「事務服……!!」


 それどころか、ド・王道だった。

 白い長袖ブラウスに、ピンクのリボンスカーフ。グレーのタータンチェック柄のベストに、揃いのタイトスカート。シンプルな黒のパンプスまで付いている。


(あっ、この紙袋。王都にあった例の服屋の!)


 購入した私の服を入れた同じ紙袋を、レフィーがポイポイ亜空間収納に仕舞っていたのを見ている。いつの間に事務服なんて買っていたのか。というかあの店、事務服まで置いてあったとか。それって、前世でいうならレフィーが着ているようなアリストテレスな服が置いてあるようなものでしょ? そんなもの普通はオーダーでもしない限り、用意していない。


(……って、それだ。オーダーメイドだわ、これ)


 デートのとき、私が試着をしている間中、レフィーは店員と商談をしているような様子だった。あのとき私は、レフィーが店員から売り込みをかけられていると思っていた。でも実際はその逆。あれはきっと、レフィーの方が企画書を見せながら、店側にオーダーしていたのだ。

 パーフェクトエスコートにまだこんな隠し球があったとは。イケメンスキル、半端ない。そして約一ヶ月でこんな未知な服を仕上げてくれたあの店、やはり全世界に発信したい。


(このデザインは……確か高層ビルにオフィスを構えるエリート社長と、近所の会社に勤めるOLの恋愛もので描いたはず)


 左手にブラウス、右手にベストを掲げながら、元ネタになった漫画を思い返す。

 エリート社長がオフィスがあるビルの最上階に住んでいて、OLの方はテナントに入っている店のランチ目当てで毎日通っていたのよね。で、実はその店は社長の趣味でやっていたもので――とかいうコテコテな話。


(再現率が素晴らし過ぎるんですが……っ)


 この作品は雑誌の巻頭カラーのノリで、冒頭の数枚をカラーで描いていたわけだけど。そうか……あれがこうなっちゃうのか。そりゃあエレベーターが工作されるくらいだものね。きっと提出した企画書の図面と仕様書は完璧ですわ。

 エリート社長よりトンデモな夫を持ってしまった。そう思って私はその夫を見上げて――


「スーツ……!!!」


 ピシャーン

 全身が雷で打たれた。……まさにそんな表現がピッタリはまった。


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