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恋情と愛情(1)

 結局、私は(たわら)なまま自宅の玄関まで運ばれた。

 俵の次は小さな子供かはたまた猫か、両脇を持たれてぷらんと空中に吊された後、足からふわりと降ろされる。成人女性を「すとん」ではなく「ふわり」なのだから、レフィーは相当力持ちなようだ。減速せずにここまで来て、まったく息も上がっていないようだし。

 ふんふんと感心していて、だから私は身構えるのが遅れた。


「キスの時間です」

「! んむ……っ」


 決して乱暴ではないが、ガッという感じで両頬を掴まれたと思えば既にレフィーの唇はゼロ距離。さすがに一月以上こんな調子なので、多少は慣れた。が、今回の私は身構えていなかったせいでよろけてしまった。

 トンッと壁に背が当たる。半歩片足を下げたせいで空いた脚の隙間に、まさに隙を見逃さずレフィーの脚が侵入してくる。加えて、上体を斜めにした私にピッタリ同じ斜めの角度で、身を寄せてくる。

 私が体勢を崩したのをいいことに、レフィーはいつも以上に深く口づけてきた。


(気持ち良くて……ぼぅっとする……)


 キスの時間を始めた頃は、ゾクゾクとして溶かされる感覚があった。けれど最近は、見た目の激しさに反して、緩やかに(とろ)けるようなキスに変わってきている。

 きっと私の反応を見て、合わせていっているのだろう。今もまた、私が「気持ちいい」と思っているのが筒抜けなのだろう……うぅ、恥ずかしい。


「ミア。おかえりなさい」

「ん……ただいま。レフィー、おかえりなさい」

「ええ、ただいま戻りました」


 キスの合間に、取って付けたように挨拶の言葉を口にするレフィー。それに返す私。

 レフィーとのキスは好きだ。しかし、何度でも言わせて欲しい、これは『挨拶のキス』ではないと。

 今日なんて場所が場所だけに、このまま「ベッドまで待てない」とかいって、なだれ込むラブシーンに近――


「ひゃぁっ」


 キスが口から頬に移って油断したところを、耳を甘噛みされて肩が跳ねる。

 そうだね、こんなことしてたね、玄関で。どれかの漫画で描いた覚えがあるよ。でもって、それやっぱり「ベッドまで待てない」のパターンに入った奴だったと思う!


「ミア。うやむやになっていた恋愛進展度を補いたいです」

「ままま、待ってレフィー。私は、軽め。もっと軽めを希望!」


 とうとうその場に座り込んでしまった私。またも私に合わせて座ったレフィー。

 同じく座ってはいても、くたりとしている私に対し、レフィーは片膝を立てたピシッとした姿勢でいる。こちらに覆い被さるように距離を詰めた彼の上体が、私の視界を埋めていた。


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