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幸せ過ぎる結婚生活(2)

(実験……実験て、やっぱアレ……よね?)


 『人間との間に子供が生まれたらどちらに似るのか』、『異種族間での繁殖を試さないとは勿体ない。これはもう、私が自分で実行するしかない』。過去にレフィーが言っていた言葉を思い出し恥ずかしくなって――――次いで悲しみがやって来る。


(ああ、そっか。レフィーにとってそういう行為は『実験』なんだっけ)


 恋人の真似事はしてくれるけど、あくまで真似。欲情はするらしいけれど、私の求める恋愛感情はそこにはない……。


(……ううん、諦めてはそこでお終いだ。頑張れ、私。ロボットに心が芽生えるのに比べれば、きっと難易度は低い!)


 ロボットに心が芽生える系の話も、読者は気付いていても本人が認識するまでにはラグがあるのが常だった。レフィーだってイベリスの花を育てることに、最初は持たなかった意味を見出してくれたのだ。本人の知らないところで、もう変化があったりしないだろうか。

 長期戦、上等。私は気合いを入れ、レフィーに向き直った。


「その段階に至るには、まだレフィーとの恋愛進展度が足りないわ」

「恋愛進展度ですか」

「そう、恋愛進展度」


 私は恋愛結婚がしたい。レフィー的にはもう結婚したらしいけど、今からでもとにかく恋愛がしたい。少なくとも子供は実験の結果ではなく、愛し合った結晶として欲しい。


「ああ、それなら試してみたい漫画があったんです」

「へぇ。どれ?」


 やはり「試してみたい」という理由に引っかかりを覚えるも、私の漫画ならどれもラブストーリーだ。レフィーに恋愛を身近に感じてもらうには最適か。

 そう思いながら、私はレフィーが「これです」と見せてきた本に目を遣った。


「!?」


 そして、ピシリと固まった。


「四十七頁目までの行為なら子供はできませんので、いいですよね」

「そ、そ、その本……!」


 指差す私の手が、ぷるぷると震える。

 それはここに在ってはいけない物。ましてや「四十七頁目」なんていう、具体的な内容も語られてはいけない物。

 何故ならその本は、深夜テンションの勢いで書いてしまったハードな十八禁ラブロマンス。またの名を、私の黒歴史。

 集大成な大作にするつもり満々で、日記用のハードカバーなノートに綴ったそれ。本棚に立てられる厚みの枚数を、最終頁まで綺麗に使い切った。

 確かに前半までなら子供はできない。できないが、その漫画はストーリーよりも桃色展開重視。前半ですらギリギリもいいところの、ありとあらゆるプレイが詰まっている。ニッチな趣味も全部盛りしたといって過言ではない。


「そ、それには鍵が掛かっていたはずじゃ……」


 そう、厳重に、厳重に保管してあったはずだ。この本は世の中に出てはいけないと、描き終えた直後に我に返って封印したのだから。


「ああ、読みたかったので魔法で外しました」

「なっ」


 その言い様、これはもう初日の時点で封印が破られていたと思われ。

 うああ、何てこと。昔、手元に鍵があることが耐えきれなくて、村外れの山中に埋めたというのに。

 私は、ぷるぷるからブルブルになった両手で顔面を覆った。


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