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プロローグ

私ーーアシュリーは学院の廊下を走っていた。淑女として恥ずかしい行為だけど、私はあまりのショックな光景を見てしまったのだ。私が放課後、帰宅するために学院の門までの道を歩いて来たとき、たまたま道脇にある茂みの方からもの音が聞こえてその茂みの中を見たのだ。すると私の婚約者であるクリフォード様がセシリアと抱きついていたのだ。それにクリフォード様はなんだか楽しそうな表情でセシリアを見ていた。私の前ではいつも硬派な感じで振る舞っているのに……。そして、セシリアはというと顔を赤らめて恥ずかしがるような仕草をしているのだ。その姿は恋人同士が愛の囁きをしているような情景だった。私は声が漏れてしまった。


 するとその音に気づいたのかクリフォード様がこちらに向き私を見た。少しの沈黙が流れた。私はすぐにその場の空気に耐えきれず、校舎の方に向かってひたすら走った。そして校舎に入ってよく分からずさらに走った。そして、ある程度行ったところで私は後ろを振り向いた。しかし、クリフォード様がこちらに向かってくる気配はなかった。私はその事実にショックを受けた。クリフォード様にとって私はただの政略結婚の相手でしかなかったようだ。


 私はクリフォード様を愛していたが、クリフォード様はそうでなかったらしい。婚約して以来、手紙のやり取りを頻繁にしてお互いに仲良くなったと私は思っていたし、会うたびに少し硬かったが私を気遣ってくれていた。確かに少し意地悪で素直じゃないところがあると感じていたけど、それは照れ隠しだと思っていた。しかし、それは私の勘違いだったようだ。何だか涙が溢れて来た。今までのクリフォード様との思い出が頭を巡ったのだ。どの思い出をとっても私にとっては大事なものあったが、クリフォード様にとってはどれも人生の些細な一コマに過ぎなかったと思うと私のクリフォード様との大切な思い出達の上に砂が降りかかりそれらが埋れていくように感じられた。全ては私の勝手な思い込みだったのだ。


 空き教室だらけような人気のない場所まで来て、私は走り疲れて立ち止まった。段々何だか笑いが溢れ出した。感情がおかしくなってしまったのだろうか? それとも自分の滑稽さに自嘲が出てしまったのだろうか。頭がぐちゃぐちゃで頭が回らない。視界も涙でボヤけて周りがどうなっているかすら分からない。私は廊下に座り込んでしまった。どうしたらいいかが分からないのだ。私はボーと先の見えずずっと続く廊下を見た。来たことのない場所だった。私は頭をがっくりと下に向けた。すると何やらポスターがあったのだ。そのポスターにはこう書かれていた。


 恋煩いは病の一つです。独りで抱え込まないで専門医に相談して、しっかりとした治療を受けましょう。

 もし恋煩いにかかっているなら、今すぐ最寄りの保健室へGO!!


 今まで見たことのない変わった謳い文句がだと思いながらそのポスターを見た。私はすることもないので試しに行ってみようと思った。今の気持ちを吐かせてもらえるだけでも気持ちはスッキリするんじゃないかと思ったのだ。よく雑誌に書いてあった。思いを吐き出すとスッキリすると。そうして、私はポスターの地図に従いその保健室に向かうのだった。



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