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絶望

 ………………終わった。


 どう考えても人生詰んだ。


 真冬の冷たい雨に打たれながら家に帰ろうとする俺は、今までの22年間の人生で最大の絶望を味わっていた。



 俺は現在大学4年生。平凡な大学に入学し、平凡な生活を送ってきた。真面目に生きてきたつもりだ。悪いこともしてこなかった。人に優しくしてきたはずだ。


 でも天の神は俺を見放したらしい。


 今日は12月20日。大学生活最後のクリスマスを目前にして俺は未だに就職活動を終えることができていない。ほとんどの学生は早ければ5月頃、遅くても10月頃には就活を終える。こんな時期に就活をしている俺は間違いなく負け犬だ。もうろくな求人は残っちゃいない。


 そしてほんの10分前。さんざんな結果の面接を終え、家路についていたとき、去年のクリスマスから付き合い始めた人生で始めてできた彼女から電話があった。



『あなたみたいな人とはもう付き合えない。さようなら』



 これを絶望と呼ばずしてなんと呼ぶのか。まさしく人生のどん底にいた。


 就活に失敗し、彼女にフラれ、俺の手元には何が残るのか。


 友人はいる。だが3ヶ月後には彼らは立派な社会人になるのに俺はニート。恥ずかしくて顔を合わせることなんてできない。

 家族もいるがこんなみっともない息子の姿は見せたくない。




「何でこんなことになったんだろうな………」


 1人つぶやく。当然答えてくれる人は誰もいなかった。


「あっ………」


 道ばたの石につまずき、ぼーっと歩いたせいでろくに受け身も取れず胸から地面に激突する。


 惨めだな、と思った。そして胸を強くぶつけた衝撃でうまく呼吸ができない。



「っはぁ、はぁはぁ、がはっ………」


 徐々に意識が遠のいていく感覚がした。



 もしかして死ぬのかな。こんなことならもっとちゃんと頑張って生きていれば良かった。


 でも、もうどうでも良いか。




 そのまま俺は目を閉じた。


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