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1話 朝ごはんのミネストローネ

「よし、今日も頑張るぞ」


時計が午前の10時を指した。

この店の開店時間だ。

今日も彼女の仕事が始まる。

朝日奈(あさひな) (あかり)はこの料理屋、(さち)の店主だ。

両親が引退してからこの店を受け継いだ。

彼女は明るい性格で、優れた料理の才能を

持っている。

その性格と才能は両親から受け継いだものだ。

両親は常に笑顔で接客することを心がけていて、明に料理や家事の仕方など色々なことを

教えてくれた。

そんな彼女の人柄、料理の味に惹かれて来る客がいるので店は繁盛していた。

でもこの日にちと時間は平日の朝で、

仕事や学校に行く人で町は溢れている。

この時間帯は訪れる人が少なく、来るのは

定年退職をしてのんびり生活をしているお年寄りが1人か数人くらいだ。

この店は昼と夜になると忙しくなる。

昼食や夕食を食べに来る人がたくさん来るのだ。常連客ともすっかり仲良しになった。

いつものように店の仕事をし、1日を終える。

休日のときはのんびり過ごす。

明はそんな日々を送っていた。


チリンとドアにつけているベルが鳴る。


「いらっしゃいませ」


入ってきた客に明るく声をかけた。

その人は初めて見る人で黒い髪の女性だった。

その女性も笑顔で挨拶を返した。


「おはようございます……」


「おはようございます!おひとり様ですか?」


「はい」


「こちらの席へどうぞ」


明が案内したのはカウンターの席。

女性客はそこに座る。


「御注文がお決まりになりましたら、呼んでください」


客はメニューを手に取って開き指で文字を追いながら、物珍しそうにまじまじと見ていた。メニューには今日の定食、スープ、サラダ、デザートなどの文字が書かれている。

客が明に声をかけた。


「あの、今日のスープって何になりますか?」


「ミネストローネです」


「それってどんなのですか……?」


明は気づいた。

どうやらこの客はミネストローネを知らないないみたいだ。

彼女は笑顔で優しく客に説明をする。


「野菜が入ったトマトのスープです。美味しいのでおすすめですよ。トマトはお好きですか」


「はい!じゃあ、今日のスープをパンと一緒におねがいします」


「かしこまりました」


明は一例をし店の奥へと入った。


「お待たせしました。ミネストローネとパンです」


明は料理をカウンターに置く。

これは彼女にとって自慢のメニューだ。

具の野菜はキャベツ、にんじん、じゃがいも、たまねぎ、トマトを使っている。

一見赤い液体だが、これがとてつもなく美味い。

客はスプーンで1匙飲んだ。

濃厚なトマトの酸っぱさと塩味の旨味。


初めて飲んだけど、とても美味しい。

私の口が次の匙を求めてる……。

でもその前に。


皿に乗った丸いパンをちぎる。

食感がとてもふわふわしていてこれも美味い。

食べ続けていくうちにパンがなくなった。

ミネストローネをまた1匙掬って具ごと食べる。口の中で野菜が解れ旨味が溢れていく。

1匙、1匙掬っていくうちに器の中のスープもなくなった。


「ごちそうさまでした」


客は料理を完食して満足気な様子だ。

それを見て明は話しかける。


「お客様、初めて来てくださってありがとうございます。お味はどうでしたか?」


「とても美味しかったです」


客の答えを聞いて、彼女は内心ほっとし笑顔を見せる。


「喜んでもらえて良かったです……」


「あなたの作る料理の味、とても気に入りました!この店はいつ頃から開いてるんですか?」


「もうずっと昔、両親が若い頃からですね。

両親はもう引退したので私が継ぎました。

私は料理とお客様が喜んでくれる顔が大好きなんです」


こんなに素敵な店長さんがいて、

料理がとても美味しいなんて……。

客は確信した。

彼女の料理だったら、もっともっとたくさんの人に認められるはずだ。

私にできることがある。

これは最終的には本人が決めることだけど。

客は慎重に言葉を口に出した。


「もしよければですが……、私の暮らす世界で料理を振る舞っていただけませんか?」


2作目です。

よろしくおねがいします。

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