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Odd a souvenir

作者: かりねこ
掲載日:2009/03/16

こんにちは。この小説を読んでいただき、ありがとうございます。今回の小説は知人に3つのテーマを設定してもらい、「ひよこ」「海苔」「明太子」を作中に出すことを条件として書いています。

「まったく、遅いわね花鈴かりんったら」

 由紀子はそう言って、コーヒーが半分ほど入ったグラスをストローでぐるぐるとかき回した。

「まあまあ、ユキちゃん。いつものことだし」

 隣に座っている風歌ふうかがくすくすと笑う。

「いつものことだから問題なんでしょ、フウ」

 由紀子は頬杖をつき、ココアを冷ましている風歌を横目で見やった。

 二人がいるカフェは昼を回ったということもあり、外の喧騒と切り離されたような落ち着きを見せていた。人もまばらで、春の日差しがガラス越しに差し込んでくる。

 カランカラン――!

 店の入口のドアが勢い良く開かれ、その落ち着いた店内に外の喧騒が入り込む。

「ごめーん!寝坊しちゃった!」

 ドアを開いた女性が両手を合わせ、二人の座っている円形のテーブルに近づいてきた。

「おはよう、花鈴。もう二時ね」由紀子は頬杖をついたまま、皮肉たっぷりにそう言った。

「おはよー、ハナちゃん」風歌は由紀子とは対照的に、のんびりとした声で言った。「おはよう」という言葉にも皮肉っぽさが無い。

「いやー、久しぶりに家のベッドで寝たら気持ち良くってさー。つい」花鈴が笑いながら席に着く。

 風歌が分かる分かる、というように頷いている。

「それにしても寝すぎよ」

「だよねー。あ、すいません、抹茶ミルク下さい」花鈴が近くにいたウエイターに声をかける。

「あれ?めずらしいね。ハナちゃんがアイスティー以外頼むなんて」

 風歌が意外そうな顔をして尋ねる。

「旅行先で飲んだらはまっちゃってね。由紀子は相変わらずコーヒーかぁ。クールねぇ」

 花鈴はニヤニヤとした顔を由紀子に向けた。

「何よ。いいでしょ別に」

 由紀子がストローを口につける。

「ユキちゃんはすごいよねー。あたしなんて甘いのしか飲めないのに」

「うーん、私の家はみんなコーヒーだったしね。その影響かな」

「いいわねー、大人の女性って感じで。私も大人の魅力が欲しいわ」

 花鈴が憧れるようにため息をついた。

「何言ってるのよ。ほら、来たわよ、抹茶ミルク」

 お待たせいたしました、とウエイターが一礼し、抹茶ミルクが花鈴の目の前に差し出される。

「さてと」隣で抹茶ミルクの味に感激している花鈴を尻目に、由紀子が言った。「そろそろ本題に入りましょうか」

 座り直し、わざとかしこまったような口調で切り出した。

「うん。ゴールデンウィークにどこへ行ってたかおみやげで当てるんだったよね」

 風歌が身を乗り出す。

「じゃあまず私から」

 由紀子が足元から二つの袋を取り出し、二人に手渡した。

「ありがとー」

「ありがと。これは……明太子?」

 花鈴が袋の中を探ってから尋ねた。

「そ。簡単でしょ」

「わかったー。広島でしょ」

 風歌の答えに二人が崩れた。

「フウ、広島はお好み焼きとかだと思うわ」

「そうそう、普通は明太子って言ったら博多とかだよフウちゃん」せーかい、と由紀子が調子を狂わされたように呟く。

「あ、そうか」風歌が舌を出して恥ずかしそうに笑った。他の二人が小さくため息をつく。

 ちなみに保冷パックつめてあるけど早めに冷蔵庫に入れて早めに食べてね、あまり日持ちはしないから。由紀子が説明すると「わかったー」「りょーかい」と二人が答えた。

「えーと、じゃあ次、花鈴は?」

「あ、うん」

 花鈴が袋を渡す。

「ん?軽いわね」

「ほんとだ」

 袋を受け取ってそう言うと、二人は中身を確認した。

「……海苔ね」

「のりだねー」

 二人が顔を上げる。花鈴が得意げに笑った。

「これはどこに行ったか分かりづらいでしょ?」

「確かに。そうねぇ…………新潟とか?」由紀子がたっぷりと考えてから尋ねる。

「ブッブー。由紀子はずれー」

「千葉はー?」

「ブブー。フウちゃんもはずれ」

 風歌が悔しそうに口を尖らせる。

「正解は鎌倉でしたー」

「……」

 花鈴がより得意げにそう言うと、少しだけ妙な間が空いた。

「ふーん、鎌倉かぁ」

「そー、鎌倉」

「へぇ。でもさぁ、鎌倉って有名なお土産がいっぱいあるじゃない。なんで海苔なの?」

「それなんだけどね」花鈴がうつむく。「どのお土産がいいかなーって迷ってたら時間が無くなっちゃって……」

「魔が差したのね」

 由紀子が苦笑して花鈴の言葉に付け加える。

「うん……」

 先ほどの勢いが無くなり、花鈴が小さくなった。

「あ、でものりって使う機会多いよ。ほら、のりと明太子でおにぎりも作れるしー」風歌が慌ててフォローしようとする。

「ぅ、ありがと、フウちゃん」花鈴が涙を拭う真似をした。

「それにしても、花鈴も国内かぁ。フウは?海外?」

「ううん、あたしも国内だよ。あたしはユキちゃんやハナちゃんみたいに旅行じゃなくて、実家に帰ってただけなの。あ、でもちゃんとおみやげは持って来たよー」

 風歌が紙袋を取り出す。

「あたしのはねー、『ひよこ』だよ」

「へえ。分かりやすいわね」

「あれ?でも、フウちゃんの実家って東京だったっけ?」

「?ううん」花鈴の問いに、風歌は怪訝そうな顔をして答える。

「でも、『ひよこ』でしょ?お土産」

「うん、『ひよこ』だよ」

 そこまで風歌が言ったところで、

 ピョ――。

 何かの鳴き声がした。

「あ、起きたみたい」

 由紀子と花鈴が、まさか、という顔を見合わせ、それぞれの袋の中にある箱を開けた。

「もしかして、フウの実家って……」

「そ、養鶏場」

 風歌が顔を上げた二人に満面の笑みを向ける。

「かわいいでしょ」

 静かな店内に二つの大きなため息が流れた。

まず、私の小説を読んでいただいたことに最大級の感謝を申し上げます。ありがとうございました。

今回も前回の小説同様、3つのテーマを盛り込んで書く、という形式をとっています。将来、作家を目指す立場として何かアドバイス等いただけましたら、大変嬉しく思います。

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