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こうして俺は、異世界に向かった。  作者: 永野亜留
第一章 二人の主人公
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もう一人の主役

 私は目覚めた。


 ……え? ここは、どこ?


 なぜこんなところにいるのか?そんなのわかりもせず私は見覚えのない部屋の質素なベッドに寝かされていた。


 うーん。昨日の記憶が思い出せない。なんか昨日は色々あった気がするけど全く思い出せない。ということは私は昨日ここに来てこの場所で記憶を失ったってことなのか。


 ……なんにせよ学校もあるしはやく家に帰らなければ。この家の人にお礼を言ってはやく東京に帰ろう。


 後ろから呻き声……というか喋ってるの? 何言ってるのか全然分からない。日本語じゃない。英語でもないな。何語なんだこれは。ってじゃあどこなのよここ。まさか帰るのに飛行機使う系?!


 いや、冷静に考えよう。私は一昨日は確かに東京にいた。

 いや待て待て。記憶を失っていた期間が一日とは限らない。でも、体感では、一日。記憶を失うとそんなもんなのかな? 


 でも確かに私は東京にいたしこんなところにきた覚えはないし、目の前にいる真っ赤な髪の毛の目の大きい優しそうな男と同じく真っ赤な髪の毛の長髪の女だって完全に初見。


 そんなことを考えながら混乱した頭を抱えていると男がミルクみたいなのをさしだしてきた。


 ……え、なめてんの?


 とりあえず手を伸ばして自分の手を見て驚愕した。赤ちゃんの手だ。驚きながらミルクを口にする。

 ん、おいしい。お腹すいてたからなのかなんか美味しく感じる。


 それにしても一体私はなんでこんな……

 もしかして私、転生でもした?てことは一回死んだ?


 いや冗談じゃない。死んでない死んでない。私には元の生活がある。かわいくない生意気な妹もいるし。


 ……まぁ、JKだし、もちろん好きな人だってね。彼氏じゃないんだけど。


 自慢じゃないけど私はなかなか身長があり胸はC、顔もそれなりに可愛いと思う。

 高校生になって一年、数多の男を振ってきて、ようやく自分から好きになれた人を見つけたところだってのに。


 だから、私はこんな所で赤ん坊として暮らすのは嫌だ。帰りたい。でもどうやって?


 来ることができたなら帰ることもできるはず。とりあえずここでお世話になって色々探してみよう。私は絶対に帰ってみせる。



 それから五年が経った。


 私はこの五年でたくさんのことを覚えた。

 まず、私について。私はカルム・ユーリスとキャロン・ユーリスの間に生まれた女の子。


 そして、この世界の言語、メタヤ語。基本の構造は日本語と同じで、主語のあとに述語が並ぶ。やってみると簡単で私はもうこの言語をほぼマスターした。


 次に、この世界の大まかな地形とか民族とか。この世界は大きな大陸が三つあって一つがミルコ大陸、もう一つがマルーナ大陸、そして今私がいるメタヤ大陸。


 メタヤ大陸は三大陸のなかで一番小さく公用語もメタヤ語一つだけのようだ。


 そしてもっとも大事な点。この世界の人間は大きく二つに分けられる。

 

 魔法を扱える者と、扱えない者。(地域によって魔法の質は異なるらしい)


 ちなみに私は扱える者だった。どうやら親が二人とも魔法使いの血筋らしい。


 カルムは私のことを

「言葉もすぐ覚えるし、この年で魔法も使える。ユイはセンスがあるんだね。」

 と評価する。


 あぁ、ちなみに私の元の名前は優里。ユイじゃない。前の名前と似てて覚えやすい。


 そして、私は五歳の誕生日に杖を買ってもらった。先端にルビーのような赤い宝石のついた、美しい杖。


 私は家にある魔法書を読みあさり魔法に魅せられた。

 その結果、私は五歳にしてこの魔法の国「シャネルマッド王国」中に知れ渡る天才魔法使いになっていた。


 二年後には国内最大の魔述大学への進学が決まっていた。


 正直に感想を述べると、

「私普通に凄くない?」

 しか出てこない。


 うん、この世界も悪くないね。帰る方法については今でも探してる途中。この世界がどんなに素晴らしくても私はそれでも帰りたい。


 ……という感じで五年、私はなかなか楽しくやっている。私の才能に、感謝。







 



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