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サイクロプス  作者: NEO,s
9/21

チャプター7「適正試験」

俺は一通りサイクロプスの説明を読むと

次のページへと資料をめくる

次のページには送信者側の説明が書いてあった

つまりコクピット側の説明である

そして説明文を読もうとした時だっただろうか

マーキス中将が喋りだした

「どうだね?我が国家と諸君らの国家が協同開発したサイクロプスは」

ガヤガヤとした空気が一瞬にして静まりかえる

「これから諸君には適正試験を受けてもらう」

試験?俺はすぐさまその言葉に反応していた

「な〜に対した事ではない、このサイクロプスを各自、動かしてもらうだけの事」


適正試験とは俺達がサイクロプスを動かす事らしい

そしてこの施設はサイクロプスの開発、研究する施設だという事が書いてあった

施設の名前は「メルトダウン」

マーキスが壇上で試験についての話をしようとした時だっただろうか

1人の勇気ある少女が勢い良く手を上げる、そして一言

「質問があります!!」

「ふめ、何かね」

手を上げた少女がマーキスの合図と共に喋りだす

「この大規模な軍事施設ありますけど、軍隊だけじゃこのロボット動かせなかったんで

しょうか」

マーキスが少女の質問に答えようとした時だっただろうか

高島が演台へ割り込んで行きマイクを取りあげた

「いい質問だ、君の名前を伺っておこうかね」

少女は名前を聞かれた事と、高島という男の言葉に安堵をおぼえたのだろう

その顔はほっとしていた

「私の名前は草加、草加雅美っていいます」

少女の名前を聞いて、高島の顔が少し綻びを見せると

高島は演台で喋りはじめた

「最近の機械は複雑になりすぎている、サイクロプスも同様だ

乱雑なパラメーターを逐一設定し動かすには今の自衛官ではおいつかないのだよ

君達みたいに新鮮な学生の頭脳でなければ

そう、天性の者が必要なのだよ!

ここへ集められた君たちは電算系だと聞いているよ

そこで君達のゲーム脳を活用させてもらう事にしたのだ」


電算系=ゲームオタという考えはいただけないが

心の奥底では高島の発言には一理あるとも思っていた

内心、小さい頃からロボットが好きだったし

目の前で動いているサイクロプスを見て、苛立ちの中に踊る何かを感じていた


やがて高島が少女に質疑をおえ、草加が席へとつく

次は1人の学生が手を挙げる

「ヒッ、質問を1つ良いですか?」

先ほどの少女に比べ声は裏返って

その学生はかなり落ち着かないイメージだった

高島が学生に答える

「なんだね?」

「テッ、適正試験って言いましたけど、試験に落ちる事もあるんですか? 落ちた場合どうなっちゃうんですか、、、。」

今度はマーキスが演台に割り込んでくると、高島の代わりに答える

見慣れない外国人の姿に学生は身を竦め、膝はガクガクと震えていた


「いい質問だ!!」


マーキスが待ってました!! とばかりの威勢で話を始める

「もちろん試験に落ちる事はある、その場合は自衛軍の格軍隊へ適正を再度判断した上で配属される、その場合殆どが戦場最前線というわけだ、覚悟しておきたまえ」

ザワザワとした空気がまた流れる

学生が少し落胆した表情で席につこうとした時だっただろうか

マーキスがまた喋りだした

「名前を聞いていなかったな、名前を聞いておこう」

少年は表情を曇らせながら答えた

「いっ、いえっ、結構です、、」

「そうかね」

そんな学生の姿を見ながら俺はある事を考えていた

適正試験の事である

もし適正試験に落ちた場合は最前線送り、良くても駐屯地で雑用をやらされるだろう

どちらにせよ、家に帰れないのならなるべくこの施設にかかわっていく方が得策か

ならば適正試験はなんとしても合格しなければならない

どんな形であっても


高島達が壇上から姿を消してから暫くして適正試験が始まった


この研究施設に集められた1万人近い学生は次々とホールから姿を消して行く

1回の誘導で4人という少数、 そして試験開始してから30分後、自分の番が来た

自衛官の支持に従い、パイプ椅子を離れ激動のホール内を後にした


俺を先頭に初めて顔を見る学生が3人後に付いて歩いてくる

1人は服に付いているフードを頭に深く被り陰気な雰囲気を漂わせている

その後ろを小柄な青年が続く、顔の表情は青ざめて終始地面を見つめながら歩いていた

最後に長身の男が付いてくる、少し猫背に体を曲げ、ズボンのポケットに両手を入れると周りをキョロキョと見まわしていた

顎の不精ひげが印象的だ


ホールを出ると自衛官がエレベーターへと誘導して、さらに地下へと俺達を案内する

やがて5人を乗せたエレベーターが下降を始めた

「こんな地下にある施設なのに、まだ地下があるなんて」

俺の後ろで誰かが喋っただろう、その声はエレベーターの下降していく音にかき消され

虚無の闇へと姿を消していく

たぶん小柄な青年がいった言葉だろう

「なんやっちゅうねん、せっかく内定が決まったちゅうに」

落胆した表情で俺の隣にいる長身の男が言った

男は暗い関西弁で喋っていた、大阪出身だろうか?

「私語は慎まないか!!」

秩序が乱れかけているのだと思ったのだろう

自衛官が俺達に激を入れる

その言葉を聞いてエレベーター内の学生をみな身を竦めた

小さくなる俺らを尻目に数秒後エレベーターは止まる

やがて、自衛官が先頭を歩いて行き

暗い通路の先にある第3演習場という所で足を止めた

恐る恐る中に入る俺達を置いて自衛官はドンドン中へと入っていった


中の証明はついておらず視界はほぼゼロと言っていいだろう

自衛官はなにやら無線で話をしているようだ

「こちら第3演習場、証明の点灯をよろしく、どうぞー」

無線から「了解」という声が聞こえると、しばらくして証明が灯された

ぼんやりしている視野が次第に鮮明になる

俺の目に入ってきたのは黒い卵型の機械だった


それも1つではない

結構な数存在している

大きさの幅は1メートル、高さは3メートルといった所だろうか

それが第3演習場の中だけでも15台は存在していたのだ

俺は恐る恐る自衛官へと質問した

「この機械何んですか?」

先ほどとは全く違う表情を見せ自衛官は快く答えてくれた

「ああこれね、サイクロプスの無線送信装置だよ、つまりはコクピットっていうやつだね」

その言葉を聞いて口元が少し綻びを見せる

やわらかい表情、少しニヤケルていたと思う

そんな綻びを見せた俺に自衛官が言った

「さっき渡した資料あったよね、それに書いてあったと思うんだけど」

自衛官のその言葉を聞いて手元にある資料を見る3人



俺達が設定資料に目を通している間に

技術者らしき人が3人くらい中に入ってきた

自衛官は技術者に挨拶をし

技術者は卵型の機械 (以後コクピット)の設定に入る

あれこれ、設定している姿を横目で確認する


コクピットの外面には製造番号らしきものが大きく書かかれていた

第3演習場にはTSS一301〜315までの型番を持つ

黒い卵型の機械、コクピットが15台存在する

今回技術者達はTSS一301〜304までのコクピットの設定をしているようだ

俺らが今現在4名なので、4番目までのコクピットの設定というわけだ


しばらくして、技術者が設定と確認を終えたらしい

俺達に声をかけてきた

「それじゃー、乗ってもらおうかな、そこの君こっちへ来て」

そういうと、技術者の一人がコクピットのハッチを空けて、俺へと合図する

番号順というわけで案の定俺は一番最初に呼ばれたわけだ

呼ばれて前へと出た俺をコクピットまで技術者が誘導する

俺は状況をあまり良く把握できず、その場に居る技術者に説明を求めるように質問した

「あの〜、操作説明とか他にも色々と説明する事があるんじゃないですか?」

俺の質問を受けた技術者は、暫く空を見るような仕草をした後

俺の質問に答えてくれた

「詳しい説明はアナウンスで流れるから心配しなくてもいいと思うよ」

そういわれ半ば押し込まれるような感じで俺は黒い卵型の機械、通称コクピットへと入

る事となった


コクピットのハッチが閉まる間際だっただろうか

先ほどの技術者が俺に声をかけてきて一言

「試験始まるまで少し時間があるから資料に目を通しておけば大体分かると思うよ」

そういわれ俺は読みかけの資料をまた手にとり読み返す事とする

コクピットの外に居る技術者が軽い挨拶を終えた所で

いよいよ俺の乗っているコクピットのハッチは閉ざされてしまった

閉ざされたコクピット内は真っ暗で資料を読むどころではなかった、、、。


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