表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイクロプス  作者: NEO,s
7/21

チャプター6「マーキスの拳銃*高島のトランシーバー」

今バスは目的地も告げずに走っている


そして


バス内の空気は異様だった

後ろの席からはイビキがちょくちょく聞こえる

こんな状況の中、眠れる奴はうらやましい


異様な空気の原因が、このクラシック音楽のせいなのか

それともこの状況下で静か過ぎる事が異様なのかは良く分からない


自衛軍が気を利かせてくれたのだろう

俺は今トロトロと走るバスにゆられ、少しは聞いた事のあるクラシック音楽を聴いている

そんな状況が出発してからはや一時間異常も続いていたのだ


次の曲がり角も分からない状況なので、無防備な状態を遠心力にやられ

自分の首の耐久力は徐々に減っていく、首にはシートベルトはないのだ

そんな事を考えている内にバスは止まった


軍の重要施設へは1時間半くらいの道のりだっただろうか


近くに設けられているのがかなり意外ではある

暫くして上官から命令、否、説明があった

「もう、目隠しをとってもいいぞ」

そういわれ目隠しを取ったとき、おのずと疲れた溜め息が出てきた

バス内中から溜息が聞こえる



そして目を開けここが何処なのか咄嵯に外を確認する

だが外に太陽の光はなかった

あるのは頭上から降り注ぐオレンジの証明と

バスでも簡単に運搬するほどの大型のエレベーターだけだ

四方を巨大な壁で囲まれて

徐々に下へと下向していく


東京都内から1時間半の場所にこんな施設があったとは

下向していくエレベーターは地獄の淵へと俺達を運んでいるのかと見間違うほどに出かかった

10分くらい下向してやがてエレベーターが止まり

前方の扉が開く、いつもな浴びなれた蛍光灯の証明がバス全体を照らした

だが、まだ到着ではないらしい

そこから15分くらい曲線を描く二車線道路を走り

やがてバスが駐車場らしき場所へと到着した


駐車場から外を覗くと、外には巨大な建造物が姿を現した


よくもまあこんな巨大な施設を建設できたものだなぁと

内心呆れを覚えたくらいだ。


それにしても、ここは何処なのだろうか

エレベーターは10分近く降りていただろう

たぶん地中にいるのだろうけど

地中だとしてどれくらい深くにいるのだろうか

エレベーターの速度はあまり早くなかったと思うのだが


バスを降りた俺達を待ち受けていたのは


円形状の軍用施設だ

(施設はドーナツ状に作られており、中心部分に大型のホールが設けられている)


唖然と立ち尽くす俺達を

自衛官が一列に整列させ奥のホールへと誘導する

その誘導の合図に逆らう事もせず、学生はみな中央のホールへと歩いて行った

やがて俺は視野でホール内を確認できる所まで来ると

すぐ様にホール内の空気が俺達を包んだ


その空気はザワザワしていて


中からはヒソヒソ話、メソメソ話がそこらじゅうから聞こえてきた


まあ無理もないのだろう

急に徴兵をになって、今までが静かすぎたのだから


そんな事を考えながら、俺はホール内を見まわした

良く見ると女性も結構居るみたいだ


そういえば今回の徴兵、男だけじゃなかったらしい

朝わかっていた事なのだが、今の自衛軍とやらは女すら戦力に使うみたいだ


奥のホールはかなり広く、二階建てのドーム状に作られていた

中はかなり広くできており、1万人以上の人間が今ホール内に収容されている

そんな中で俺は列になって中央付近で立っているのだ


やがて誘導が終り、自分の席へと案内されると、正面のパイプ椅子へと腰をかけた


今俺の正面25メーターくらい先には壇上がある

その中心に演台が設けられていて、演台の上にはマイクが設置されていた


壇上の右端には黒い布で覆われた1m80〜1mg0くらいの大きさの置物が置い

てある

生憎、置物には布がかぶせられていて、それが何かはわからないようになっていた

良く見てみると人の形をしているようにも見えるが

それはありえないか、、、。


壇上から25メーターくらい、自分の後ろには100人近い人の烈が有り

四万を2階まで人で囲まれていた

俺は最前列から大体18、9人くらいの場所にあるパイプ椅子に腰を掛けている


それにしてもあの置物はかなり気になるな

いったいなんなのだろうか


暫くして2人の足音と共に

ざわめきが消えた


足音は重量感のあるドシ、ドシとした音ともう片方は、小柄な男性特有の軽い音だ

やがてその足音の正体が壇上へと姿を現した

今壇上には2人の男の姿がある


どうやらこの二人がこれから何かをはじめるらしい

これでこの施設へと運ばれてきた理由がわかるだろう


イスへ腰を掛けている俺はやがて2人の男性へと目を向けた

2人とも50才前後といった所だろう、一人は白衣を着ている

その隣の男はというと、外人だ、たぶんアメリカ人だろう

白人と黒人のハーフといった感じで肌は少し黒く、髪は軽めのリーゼントがかかっている

びしっと着こなしている軍服が特徴的で

腰のあたりに拳銃のホルスターが見えた


中身は入っているのだろうか


一方の白衣を着ているほうはというと

着ている白衣はヨレヨレで、髪は少し白髪交じり、髪型は天然アフロと言った感じだ

気になるアフロの大きさなのだが、大体13ミリといった所だろう


壇上に立っている男の格好は対照的で、ハーフは身長がでかく、白衣を着ている方はというと、やはり小柄だった


やがてハーフが、ビシッと決めた軍服を靡かせて

演台の中央へ立つと、マイクを握り絞めて

いきなり喋りだした


「諸君!!おはよう、そして始めまして」。

司会者はいないのだろうか、、、。

いきなりの大声に鼓膜が破れそうになった


そして少し冷静になって考えてみる


あれ?あの人外国人だよね?


そう、彼は壇上に立ち、俺達に語りかけている

それも、普通の日本人とまるで変わらない口調で


「入隊おめでとう、と、言うべきかな」

壇上でいきなり始まった演説に終止唖然としている俺たちを尻目に

25メートル先の外国人は淡々とスピーチをしている


「私の名前はマーキス、マーキス中将だ」

外国人はマーキスという名前らしい、そして階級は中将だという

「この中でここへ呼ばれた理由を知っているものはいるかな?」

一声に「はあ〜つ?」と、いう空気が辺りに立ち込めただろう

目の前の外国人は何を言っているのだろうか


ホール内の空気は臨界点付近まで沸騰してきているだろう

いっそこのまま、暴動が起きてしまうのではと思ったくらいだ


そんな中俺は冷静になって辺りを見回していた


ホール内の出入口は1階2階合わせて16あり

出入口に格2名ずつ、自衛軍、アメリカ軍兵士が取り囲んでいた


アメリカの軍兵士はMI6A1を肩から下げていて

日本軍も良く見慣れないライフルを肩から下げていた、多分第86式小銃だろう


まあこんな重火器を構えた連中を前に騒ぎ出そうという度胸を持ったツワモノは一人も

いないだろうけど。

壇上ではマーキスの演説が今だ続いている

「諸君、君たちの国は腐敗しきっていた」

マーキスは一拍の間の後に続けて言った

「諸君の国家日本は巨額の負債を抱えていた。そんな中、我が国家が多額の資金援助を約束したら、見事に君達を軍隊へ一時的に預けると約束してくれたよ」


詰る所、負債で苦しくなった日本の国会がアメリカの多額の資金援助に目がくらみ

アメリカが主催した徴兵令に強制参加させられる羽目になったのか


「恨むのなら我々を恨むよりも、この国の政治化を恨みたまえ民主主義とは良い物だな諸君!」

マーキスはそう発言すると、いきなり高笑いをはじめた


そんな高笑いが癇に障ったのだろう

1人の学生からヤジが飛ぶ

「好い加減な事を言うなー!! お前達がやっている事はれっきとした人権侵害だぞ、、」

その学生に続くよう「そうだー、そうだー!!」と初めに立ちあがった学生を皮切りにそこら中からヤジが飛ぶ


やがてざわめきは頂点に達し、ホール内に居る学生全員が一声に大ブーイングだ

もう、マーキスの演説といった所ではなくなってしまった


壇上のマーキスが何を言っているのかも聞き取れないくらいに騒がしくなった時

マーキス中将は深い溜息と共に黙りこむと

腰に掛けているホルスターから拳銃を取り出して天井目掛け勢い良く引き金を引いた


ズダァ--------ン


続けざまに二発、ホールの上空目掛け発砲した

ホールという構造上、発砲音は反響し四方から爆発音が耳へと返ってくる

鼓膜が破れるくらいの発砲音はやがて収まり

あたりは一瞬にして静まり返った


やがて効果覿面といった具合にマーキスはニヤケルと先ほどの演説を再開した


それにしても、本物の銃声ってこうも重たいものなのか

ゲームとは比べ物にならない。


「いいかね諸君、諸君の国は我が国家に守られている事を忘れてはならない

世界でも有数の軍事大国を眼下に諸君らは恐怖を覚えないのかね?平和ボケも大概にしてもらいたい!」

壇上ではマーキス中将がビシッと着こなした軍服をなびかせ

ウロウロと歩きながら喋っている

「そこで、我々は考えたのだ。決してこれ以上国土を脅かされない方法を

世界への軍事的抑止力、核兵器以上のものを我々は考えたのだよ」

少し間を置いてマーキスがまた喋りだす

「詳しくは高島に説明してもらおうか」

そう言うと、マーキスは自分が先ほどまで使っていた演台の席を明け渡した


白衣を来た男、名は高島というらしい

「あ〜、君達、遠方からはるばるいらっしゃって、歓迎するよ」

高島という男性の声はモゴモゴとした低い声で、マイク越しでも聞き取りづらかった

「私の名前は高島、高島現三だ、ここの実験施設の責任者をしている」

先ほどまでマーキスという軍人が責任者だと思っていたのだが

どうやら責任者はこの高島という男らしい


高島が喋りだすと、マーキスは壇上の右端に置いてある大きな置物の前まで歩を進めていた

「マーキスが過ぎた事を言った事をお詫びすがね、私は君達がこの施設に来てくれて感謝しているよ、選ばれた兵士としてね」

兵士、、、、

その一言でホール内に同様が走る、

また一層とざわざわしだすホール内

俺達は兵士なんかではない、れっきとした学生なのだ


ざわめき出す俺たちを見かねてか

高島が自分の腰に掛けていたであろうトランシーバーを手に取ると

マーキスへ一言

「マーキスもういいだろう、これ以上の演説は無駄だ」

高島がマーキスへと合図を出し

マーキスは置物の布へと手を駆ける

マーキスの行動を見て高島が無線でなにやら喋っているようだ

「鈴木君、いいだろう、動かしてくれたまえ」

その言葉を聞いてマーキスが置物にかぶせてある布を勢い良く取り払った


バツ、と布が宙を舞う音を聞いた

やがて黒い布は地面へと落ちると

布の中から姿をあらわしたのは、人間と大差ないくらいの「人型の置物?」だった

「なんだ!?あれ、、。」

見た目の肩幅も、大きささも人間と大差ない

四肢もまったく人間と変わらない

特に特徴的なのは四肢の奥だろう、人間でいう所の筋肉が普通に見えるのだが

その部分には無数の黒いチューブらしき物が確認できた

そして頭部はというと大きな一つ目の目玉 (カメラ)がアクリル状の仮面に保護されている


あたりがまた少しざわざわとしてきただろうか

まさかこんな物を見せるために俺たちをワザワザ呼び寄せたんか?

少し不安を覚えている学生を尻目に

人型の置物が動きだす

壇上に設けられている階段をゆっくり下りる人型を直視する学生達

やがて階段をおりきり中央の通路へとゆっくり移動し


また止まる


ホール内から驚きの声が上がる

そんな俺も驚きを隠せない学生の一人だった

壇上の人型の動きはゆっくりではあったがとてもなめらかで

中に人が入っているのではないかと見紛ったくらいだ

「まさか、あれ動くのかよ」

「なんだあのロボット」

「おいおい、これから何が始まるんだ」

あちこちでヒソヒソ話が聞こえる

壇上では高島が無線で合図をだしていた

「鈴木君、昨日の段取り通り頼むよ」

高島の合図を聞きロボットがまた、ゆっくりと、ゆらりと動き始めた

初めゆっくりと歩いていたロボットは

だんだんと地面を蹴る力が増していき、どんどん歩く速度が速くなっていく

やがて先ほどまで歩いていたロボットは気が付けば猛スピードでホール内の一本道を走っていた


シュタッ、シュタッ、シュタッ


ここのホール内は壇上から正面の出入口までの距離が約100メートルくらいある

そして俺の目の前のロボットは50メートルの距離を5秒で走り抜けていった

そして60メートルくらい走った辺りで勢い良くジャンプをし

3メートルくらい上空で1回転、宙を舞う

やがて空中を舞う人型はズダンという音と共に大地へと帰ってきた


勢い良く着地を決めると、ロボットは暫く動かなくなる

そんな、ロボットを熱心に見詰める学生へと自衛軍の隊員が俺達に配ったのは、この施設内の資料だった


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ