チャプター2「日常」
「はぁ、、。」
無機質な溜息が流れる
俺は、東京の短大に通う短大生だ
実家から離れて学校の寮で一人暮らしをしている
今はというと、先ほどのゲームを切り上げて
今晩の晩飯の材料を買う為に近くのスーパーに来ている所だ
アメリカのイラン空爆以降、世界情勢はかなり混沌としていて
表向きは核軍事施設への先制攻撃という主張も、前回のイラク戦争での前科があるため
世界はアメリカを行動を冷ややかな目で見ざる負えなくなった
だからといって世界戦争なんか起きるわけがない
愚かな過ちを世界が繰り返すとは到底思えない
空爆以降、日常生活も実感できる範囲で少しだけ変わった
原油価格が高騰して、1バレル=110ドルを更新
リッターあたりの単価は180円を超えるまでになった
今も少しずつ原油価格は値上がりしている
そのせいで以前まで身近に使っていたガソリンがいきなり高級品になった
ガソリンがまだ普通に使えた時代
少し高いなって思えた時代だけど
俺は寮から学校まで原付で通っていたのに
今は歩きだ
原付でも月々のガソリン代が結構な額になる御時世
一人暮らしには堪えるので節約をしなくてはなるまい
このさい贅沢はいってられない
むしろ生活が成り立たなくなる
そんな事を考えながら俺はズボンのポケットから煙草とzippoを取り出した
カチィン ジュッ ボッ
煙草を吸い始める
正直、煙草を止めるか、原付を捨てるか迷う所だったけど
やっぱり原付を捨ててしまった
まあいいさ、ガソリンなんてその内安くなるんだからさっ、、、、。
そういえば最近やたら電気自動車のCMを見るようになったっけ
今考えるとそんな背景があったんだな〜
流石に今のままでは不味いと思ったのだろう
世界の大手自動車メーカーを始めとする、自動車会社各社は電気自動の生産をこぞって開始した
価格も今のガソリン自動車の2割増しくらいだ
最初の内は電気駆動を7割、補助用のガソリン駆動を3割というハイブリッド方式のシステムで推移するのだという
気になる電気スタンドだが、車購入時に駐車場に設置され
充電時間は約6時間
満タンでだいたい100kmを走行する事ができるのだという
長距離利用の場合以外だったら現状のシステムでも十分実用できるのだろうが
やっぱりガソリンへの拘りは捨てがたい
スーパーからの帰り道、良く通る踏切り
カン カン カン カン カン
踏切の閉まる音で足を止める
良くこの踏切には足を止められる事がある
東京都内の踏切はまさに地獄だ!!
なんたって電車の本数が多いのだから
踏切の閉まる回数ももちろん多い
よって、一般の通行人は不本意ながら足止めを食らうのだ
最近では電車の利用客も増えた、ガソリン系の運搬システムが減退してきたからなのか
環境問題のせいなのか、特に自動車は最近の若者に受けが悪い
自動車を利用する人よりも電車を利用する人の数が圧倒的に多いのだ
自動車は渋滞があるが、電車なら確実な時間に目的地につけるという話も良く耳にする
はたして本当だろうか、、、。
ガタン ゴトン ガタン ゴトン ガタン ゴトン
俺の目の前を電車が駆け抜けて行き
閉まっていた踏切が開き、足早に踏切を渡り切る
渡りきってすぐ、踏切の閉まる前の甲高い音が俺の後ろで鳴った