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サイクロプス  作者: NEO,s
18/21

チャプター14-1「採用通知」

心地良い眠気を裂くような、扉を叩くノック音で目が覚めた

俺は一体どれだけの時間眠っていたのだろうか

分からない

窓1つないこの室内で時間の感覚は既に奪われていた

まだ一日もたってないのだろうけど


ドン ドン ドン 


「俺や、川辺や!!」

扉の向こうに居るのは川辺だ

一体なんの要なのだろうか

まあ、このまま眠る理由も無いし、暇だし、起きるか!


そして、俺は扉のドアを開ける事にした

扉の向こうでは、先ほどまで一緒に戦っていた中間が居た

その横に自衛官が一人立っている、また見ない顔だ


自衛官が喋りだす

「正道真一、高島チーフがお呼びだ。ついて来い」

そう一言告げると、自衛官は俺の正面から向きを変え

スタスタと廊下を歩いて行った

それを追うように、川辺、萩原が後をつける

一体全体何事だろうか


去り際だった、川辺が俺に向かって言った

「なにぼさっと立っとんねん、はよ行くで」

川辺より一足先に自衛官を追う萩原から声が掛かる

「みなさん、先いきますよ〜」

間の抜けた声だ


事態の飲み込めない俺は採り合えずついて行く事にした

「ああ、ごめん。すぐ行くよ」

そういって靴を履き、彼らの後を追う

自衛官の後ろを歩きながら俺は聞いた

「なあ、一体何事なんだい?いきなり呼び出された、これから何があるっていうんだ?」

俺の質問に川辺が答える

「さあな、俺かて詳しい事は分からんのや、多分採用通告やとは思うけど」

その発言に繋げるようにして萩原がいう

「ええ、もしかしたら不採用通告かも知れませんけどね」


その発言を聞いて川辺が萩原の首に腕を回し

軽くチョークスイーパーを決めた

萩原が絶えかねて、首に回っている川辺の腕をパン、パンと3回叩いた

たぶん腕をたたくのはギブアップって事なのだろう

そして川部が萩原の首から腕を放した頃だろう


やたら長い廊下を進んでいた、俺達は施設内の応接室らしき場所へと案内された

自衛官が扉をノックをする

「失礼します、正道、萩原、川辺、以下三名をお連れしました」

自衛官の言葉を聞いて扉の向こうから声が聞こえた

「ごくろう、入れ」

自衛官は扉を開け、俺達を中へと案内した

そしてその声に誘われるように中へと入る俺達


自衛官は腕を直角にまげ水平に掌を額に付けると

敬礼して一言挨拶を継げ、外へと出て行ったしまった


俺達の目の前には3人の男女がいる

やがてソファーへ案内され腰を掛けると

2人の男性は俺ら同様反対側にある細長のソファーへと座っていた

その隣にいた女性がいたが座る事はなかった、立っているのが好きなのだろうか?

この2人は知っている

ホールの壇上で見た顔、そして演習場で聞いた声だ

だがもう一人の女性はわからない、誰だろう


髪は肩にかかる位の短めで

顔には細めのメガネをかけている

白衣を着ていてもわかるくらいスレンダーな体格で

童顔だが年齢は20代後半といった所だろう

多分俺よりは年上だと思う

仄かに香る甘い香りの香水が花を刺激し少し心地よかった

隣の男同様白衣を着ているという事は多分科学者なのだろう


そんな事を考えているとマーキスの挨拶で話が始まった

「諸君、先ほどの試験はご苦労」

マーキスの威圧的な声が俺達に圧し掛かる

「良い、データが取れたよ。まさか我々の部隊があそこまでやられるとはね」

そう言うと得意げな笑みを見せた

マーキスの笑みがどう言う意味だったかわ分からないが

米軍側はあれでもちゃんとした軍事演習だったのだろう

でも、こちら側からして見ればいい迷惑だし

どう転んでも家に帰れないというのはかなり鬱な話だ

なら、なるべく命が掛らない方を選ぶしかない


俺は心の中でそう考えると

マーキスの笑いが止んだのを見計らって、話かける事にした

「えっと、俺達は何故ここに呼び出されたんですか?」

そう言って、マーキスの顔を見つめる

マーキスの目が急に鋭くなるのが見て取れた


やはりこの軍人怖い!!


それに本来なら俺の発言の後に川辺がデシャバって来てもおかしくないのに

俺の横の2人はやけに静かだ

少しして、俺を鬼の眼で睨んでいたマーキスの口が開いた


「ふめ、確かにそうだ、日本人は前振りが嫌いと見える。だが、前振りもせず唐突に本題を話しても良いものだろうか?」

そんな言葉を吐いて、マーキスが隣の高島を見た

いや、目で合図をしたと言って良いだろう

その合図を受け取って高島が喋りだす

「良いんだよマーキス、彼らはよっぽど試験の結果が気になると見える。私達が呼び出した理由が他の事だとも知らずにね」

高島のその発言に面を食らう3人


えっ!?違うのかよ、、、。


まるで心の中を覗かれているみたいだった

「君達に合否を通達する前にまず片付けておく問題があってね」

うん、この空気、かなり不味い

そして、その重たい空気に圧倒され俺は軽く下を向いた

「今回の演習プログラムには君達の奇怪な行動が組み込まれてはいなかったからね」

高島のその発言でようやく呼び出された理由が見えてきた

俺達のゲリラ戦、特殊コマンドを使って戦った事が裏目に出たのかもしれない

「それでだね、君達の採った行動をプラスにするかマイナスにするかを先ほどマーキスと話したんだ」


頭の中身がグルグルと回っている

そして高島の話している内用の半分も理解できていない自分がそのに居た

横の2人も同じ気持ちなのだろうか

俺はこういう場面に弱い

プレッシャーに弱い体質というか

更に追い討ちをかけるかのように今度はソファーにもたれかかる、高島の目が鋭くなった

「それでだね、君達の作戦。特殊プログラムに気がついた事はプラスに採点する事にしたよ」

なにっ!! アレで良かったのかよ


内心凄いビビっていた

そして高島のその言葉を聞いて一気にぼやけていた視界が開けた

ああ、あれで良かったんだ

俺は心の中で何度も咳くと

ほっと胸を撫で下ろした

ホットしているのは他の2人も一緒だろう

肩の力が一気に抜けた

「その結果だがね、この中から既に2人採用は決定しているのだがね」

高島の一言で言葉を失った

つまり1人は不採用って事になるのか

本題ってそういう事だったの?

若干の和やかムードが一瞬で険悪になる

口籠る高島に替わりマーキスが喋り始めた

「諸君は良く戦った、作戦は真に素晴らしいものだった、だからといってそこまでの採用枠があるわけではない。残念ながらこの中の1人は適正無しと判断せざる負えなかった」

断定的なマーキスの言葉が矢のように突き刺さった

できるのなら全員採用して欲しいものなのに

前線に行く奴を尻目に喜ぶ事なんて誰が出来るんだ

いよいよマーキスがその不採用を告げるようだ

「萩原晃介といったかね、君の名前は」

そういってマーキスは鋭い目で萩原を見つめた


凍るように固まる萩原

「ふめ、何も言わなくてもいい。君は試験中もそうだったね、音信不通はチームを危険に晒すだけではない、、、、。」

そう言いかけた時だった

川辺が何時も通りの威勢で話に割り込んでくる

「そやけど、萩原のやつがおらんかったら、ワイら全員やられとったわ!!」

レイブンの目が萩原から川辺へと移動する

一触即発とはこの事をいうのだろう

一般人と軍人では勝負は目に見えている


仕方なく俺も萩原の弁解に参加する事になった

とうの本人はと言うと今も固まったままだ

「俺も、川辺さんの意見に同感です。萩原さんは喋りはしなかったものの、作戦に対して大きく貢献したのは事実です」

俺は一拍の間の後に続けるようにして言った

「それに萩原さんが通信に参加出来なかったのも、そちら側の説明不足が問題なのでは?」

こんな事をしても無駄なのかもしれない

でもできればチームを採用して欲しいものだ

「だが、君は試合中に他の仲間へ連絡をとる事ができたではないか」

もっともな意見が帰ってきた

その意見に付け加えるようにして高島がいう

「情報を読み取るのも試験の課題の1つでね」

無茶苦茶な話だ

その言葉で始めてこの試験の門の狭さを痛感した

俺達はアッパー採点されているから良い

FPSだって経験者だ

そんな俺達だって瞬殺される状況なのに

他の連中がどれくらい戦えたかなんて目に見えてるじゃないか


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