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サイクロプス  作者: NEO,s
17/21

チャプター13「我が心は戦場にあり」

ビーっというブザー音と共に隊長の視観だった画面が黒いブラックスクリーンへと変わった


俺はコクピットの中で大きな溜め息を付き

椅子に深く持たれ込む

ドサッという音が鳴る、椅子のクッションの間隔が今は心地よかった

はたして試験は合格だったのだろうか


しばらくしてガチャっという音と共に

眩しい光源がコクピット内一面を照らし出した


そういえば第3ラウンドの勝負、どっちが勝ったのだろう

この試験では試合結果を通達するアナウンスが一度も流れないので

2ラウンドまでは際どい勝負がなかったために試合結果はまるで気にならなかった

そんな事を考えていた時、技術者の 「お疲れさまです」という言葉で現実の世界へと戻俺は戻って行く


俺はその声に思わず、コクピット内でフラフラと立って、外へ出ようとしたのだのだが

酷いプレッシャーと、張り詰めた緊張感に長時間さらされたためか

上手く立ち上がる事ができなかった

その行動を見かねてか技術者がまた声を掛けてくる

「大丈夫ですか?手をかしましょう」

「ええ、すみません。お願いします」

俺は一言そういうと技術者に担がれて、やっとコクピット内から外へ出る事ができた

俺を外へと出し、仕事を終えたのだろう

技術者はスタスタ歩いて奥の方へと行ってしまった


奥には大層な計測機器が山のように積み込んである

装置の周りに自衛官が1人と技術者が3人なにやら話しているみたいだ

とりあえず辺りを見回して見る

黒い卵形のコクピットが15台、綺麗に並んでいる

最大対戦数15対15でもできるのだろうか?


俺が周りを注意深く観察していた時

他のコクピットの脇から2人の男が出て来て俺に声をかけてきた


その姿を見てある事を思い出す、そうだ!

一緒に闘っていた奴らだ!!

「よう、大将」

この声は!、エレベーターに乗る時に見た事がある

この関西風の喋り方。聞き覚えがあるぞ

04号機のパイロットだ!!

04号機のパイロットにつられての隣に居る男が俺へと挨拶をする

軽く頭を下げて 「お疲れ様です」と一言の挨拶

雰囲気としてかなりの礼儀正しさを感じた

たぶん03号機のパイロットなのだろう、この男の声もやはり試合前から聞いた事があった

エレベーターに乗った時の話だ

試験に対して激しく動揺している奴が一人いた、その時は声が裏返っていたものの

良く聞いてみるとやはり同じ声なのだ


とりあえず挨拶を返す事とする

一通り挨拶を終えると

04号機のパイロットが喋りだした

「大将。名前なんていうねん?」

そういえば、さっきまで一緒に戦っていたのに

俺はその戦友の名前を全くといって知らない


オンラインゲームの世界なら、リアルの名前を知ることは無いし

別に知りたいとも思わない

でも、今さっきやったアレはゲームと言えるのだろうか

まあそんな事今考える事でもないのだが


暫くして自己紹介が始まった


04号機のパイロット

名前は川辺洋一 (カワベ ヨウイチ)と言うらしい

彼の話だと、FPS経験者でちょくちょく遊んだ事があるのだと

やたら状況把握が早かったのもその為だ

身長は高く、痩せ型の体形だ

顔は細く、鋭い目つきが印象的だ

その第一印象とは丸で間逆の大阪弁と

陽気さが回りの空気を一瞬で変えてしまう


03号機のパイロット

名前は萩原晃助 (ハギワラ コウスケ)

彼は、FPS初心者だ

身長は俺ら3人の中で1番低く

多少天然パーマ気味の髪にメガネが印象的だ


さらにこの考察が必要かどうかは分からないが

今回のこの演習はドキドキハラハラ物だたという

彼は状況に対する飲み込みが早く

演習最後の終局間際には既に銃器の射撃が3人の中で一番上達していた

トラックボールでの操作は初心者の方に多少歩があるようだ


やがて、話が盛り上がりかけた時である

奥で話し込んでいた自衛官が俺達へと声を掛けてきた

自衛官が発言する

「君達、お疲れ様でした」

自衛官は一拍の間を挟んで続けた

「君達の試験結果は後ほど通達する事とする、施設内の宿泊施設で待機しているように」

ああ、やっぱり家には帰れないのか

そんな事を考えていた時だ

俺の脇に居た川辺が自衛官へと突っかかっていった

「おい! どういうこっちゃねん。今の試験わいらの方がエライ不利やったやないか!!」

川辺は感情の気腹が激しいタイプなのだろう

さっきまで、隣で喜作に話していたのに

今は顔を真赤にして自衛官に突っかかっている

「2号機のパイロットの事もそうや、あいつは何処へいったっちゅうねん」


確かにそうだ、終わった直後は疲労からか、全く気にはならなかったし

初めから4人で戦っていたのだから今さら2号機のパイロットが出てきても対応に困る

そして今川辺はこの試験の疑問、理不尽さを自衛官にぶつけているのだ


暫く川辺の言い分を聞いていた自衛官がその重い口を開いた

「この適正試験は機械に対する適正を判断するものであり、試合に勝つことが目的では

ない。君達は私見だが、良く戦ったと私は判断している」


その言葉と共に重い空気が辺り一面に立ち込め

また自衛官が口を開いた


「だが、大変残念な事に、君達の行動を台無しにする輩が居た。 彼は今別室で明日来るであろう移送車を待っている所だ。君達も試験に落ちれば同じ道を歩む事になるだろう」


その言葉で周りが凍りつく、先ほどまで熱かった空気が一瞬で冷めていったのを感じた

そして川辺の顔から血の気が引いていくのが見て取れた


詰まる所をいうと、試験に参加しなかった02号機のパイロットは

ラウンド1終了時点で適正無しと判断されたのだろう

コクピットから排出された後、拘束されて

明日別の駐屯地へと移送されるのだという。

もし俺達の中で誰かが適正無しとされたら、02号機のパイロット同様

別の駐屯地へと移送されるのだろうか?

そうなった場合どうなるだ、、、。

本当に戦争なんて事になってしまったら


前線送り!!


もし前線に立つ事になってしまったら本当に生身で戦わなければいけなくなるのだろうか


既に皆逆らう気力を無くしていた

そんな俺達に追い討ちをかけるように一言

「今回君達の発言は報告しないものとする、不祥の事態もあった特別に大目にみよう」

自衛官が良い人で良かった

ほっと、肩を撫で下ろした時だ

演習施設の扉が開いて、2人の自衛官が中へと入ってきた


彼らは俺達を施設内の宿泊所へと案内する役目らしい

この施設内で一体どれだけの数の自衛官が働いているのだろうか

少し疑問になった


2人の自衛官に連れられて、俺達は宿泊所へと案内される

案内される途中疑問に思っている事が1つだけ残っていたので萩原に聞く事にした

「なんで、無線連絡使わなかったの?」

川辺が割り込んでくる

「そうや、みんな、連絡とりあってたんに、あんさんだけなんで使わなかったんや?」

萩原は疑問そうな顔を浮かべている

そして答えが返ってきた

「逆に聞きたいです、どうやって連絡してたんです?」


なんともいえない返事が返ってきた

そしてさらに続ける


「ほら、説明とかもちゃんと流れなかったし、皆さんどうやって気がついたんですか?」

そういわれて見ると確かにそうだ高島がそこまで詳しい説明をしたかというと疑問である

それに彼も緊張していたのだ、そんな状況下で必要最小限以外の事に手を出す人間はそういない


実際、俺もそうだ

事前に渡された資料が無ければ、無線連絡を使わなかったと思う

それに右手の説明は延々と射撃説明だけだったし、、、。

「でもさ、資料とかあったじゃん、あれに結構詳しく書いてなかったっけ?」

俺はそう言うと、萩原の顔を見た


案の定、萩原の目が泳いでいるのが確認できた

書いてあったけど、見なかったの?」

そして沈んだ表情のまま、萩原は喋りはじめる


「ああ、資料に全部書いてあったんですね」

「そうや、資料どないしたふや」

川辺がすぐさまつっこみを入れた

「えっと、あの、ホールにあるんです、座ってた席の上に置いてあるんですよ」

どうやら急に自分が呼ばれたので慌てて出て来たらしく

資料はバイプ椅子の上に置き忘れたらしいのだ


そして試験が急に始まってしまったもので

特に対応も出来ずにあんな無音君になってしまったという

その光景を見て川辺は大笑いをしていた


やがて俺達は宿泊所へと案内された

宿泊所は各2名1組の2人部屋で

思い描いていたイメージより遥に良かった

個室は番号順に振り分けられていて

1〜2 3〜4で分かれている

つまるところ、02号機がいないので俺は2人部屋を1人で使う羽目になった

簡単な挨拶をして川辺、萩原と別れて部屋へと入る

無駄に広すぎる部屋だ

その部屋に入った時、妙な寂しさに襲われた

普段から一人暮らしをしていたというのに

こんな状況で一人になると、ここまで寂しいものなのかと思った


そんな俺の寂しさを紛らわすように

部屋の隅っこにはテレビが一台置かれていた

テレビの電源をつけて無作為にチャンネルを回す

ザーザーという音だけがテレビから流れ続けていた


他のチャンネへと切り替えてみると、やはり砂嵐だ

全てのチャンネルを試して見たのだが砂嵐しが永遠と続いてた


「なんだ、こんちきしょう!!」


バチンとテレビを叩くと

ふてくされて部屋のべットに横になると

急な眠気が俺を襲う

完全な眠りに入る前に少し考え事をしていたと思う

もし、あのロボットで俺が戦場に行く事になったのなら

俺の心は何処にあるのだろうか

はたして俺は戦場にいる事になるのだろうか?


戦場では不死身と言って良いくらい頑丈なロボットがライフルを片手に動き回り

発見した敵を次々と銃撃して行く

考えただけでも恐ろしい兵器だ、、。

こんな兵器を造って何をしでかすつもりなのだろう、、、。


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