オルト-ortho-
幸幸人は高校生である。
今、彼の目には奇妙な生物が映っている。
体長はちょうど八十cm。小さな頭に釣り合わない程大きな腕、足そして胴体。そこから伸びる巨大な尾。
目は大きくその中にまた目が。嘴があるがこの生物が鳥類なのか爬虫類なのかも分からない。
だが、彼には一つだけ分かることがある。
目に映ったソレは
自分だということーーー
先に挙げた通り、幸幸人は高校生である。
日本の東京、M区に住んでいる。友人は多い方で成績は上の下運動はそこそこ出来る。生まれてから約十六年間大きな怪我をしたことは無い。
故に人生に面白味が無いとなげいてい。
いつも同じ十九時四十二分発の電車に乗り家に帰る。家と駅の丁度中程にあるコンビニへ寄る。買う物は大体決まっている。基本的には夜食用の炭酸飲料と菓子類である。
まあ、今日は水曜日なので彼の愛読の週刊少年誌の発売日と言うことでそちらも手に取りレジへと向かう。
家には自分以外誰も居ない。父親である幸伸二は仕事で家を開けることが多い。母である幸優子はキャビンアテンダントで今日明日は家に帰って来ない。彼が中学に上がった頃から彼ら家族のすれ違いが多くなった。
まあ、彼は淋しく無いようで、一人の家を満喫している。
まあ、部活動を行ってない彼にとっては結構自由に出来るらしく好きな様に生活している。
彼は昔から学校以外の場所では無口な方で家では余り両親と話したりしなかったーーまあ、友人と遊んでいる時とかは話すがーー。
コンビニから家に帰る。住宅地ーーと言っても殆どはビルばっかりーーにある一軒家。父親がローンで買った家だ。
彼がいつも通りポストに目をやる。入っていたのはゆうパック。 大きさはそこそこ、結構厚い。
幸 幸人様ーーーー
何か買ったっけ? そう思いながら家のドア鍵を開けて中に入る。リビングのソファに座りテレビの電源をオン。
とりあえずながらテレビをしながらゆうパックを開封する。
差し出し人はアルベロ・コスミコ・コーポレーション。
「聞いたことの無い会社だな……」
そう言いながらブレザーからスマホを取り出し、とりあえずそれの写真を撮る。
「カッターどこやったっけな」
そう言いながら部屋中を見回すけっきょくカッターは見つからなかったようで、はさみを持って戻ってきた。
中身を傷つけないように慎重に切る。中から出てきた物。
「スマホ……? 」
そう、中から出てきた物は黒色のスマートフォン。背面にはリンゴのマーク。
こ、これはついこの間出たばかりの新作か? かっこいいな。
数十年しか生きていない彼にとってはこれが精一杯の感想だった。
「いたっ‼︎」
電源を入れる為にボタンに触れた。その際に何かが指先に当たった。否、刺さった、の方が正しいかもしれない。彼がその場所を見てみたが、唯の黒い長方形が有るだけだ。
無造作に広げられた説明書の山から一枚だけ赤い色をしているのが目に入った。如何にもこれだけは必ず読んでくれと言いたげな派手な紙にはこう書かれていた。開封後には洗面所へゆうパックを持って行ってください。
とりあえず、書かれていた通り持って行くのだが、なぜか手から水が垂れ始めてきた。彼が急いで洗面所へ持って行ったが依然水が止まる気配は無い。むしろ酷くなる一方だ。
物の十秒で完全にソレは液体となり、排水溝の奥へと消えて行った。
まず、疑問が思い浮かぶ、なぜアレは水となって消えたのか。だが、彼にはそんなことを考えている暇と言う時間は無かった。リビングの方から大音量でアラームの様な音が聞こえたからだ。
彼は基本アラームを使うことは無い、考えられるのはあのスマホ。だが、先ほど彼が電源を入れようとし、失敗したーー入れようと試みたが指を痛めたため放置した。の方がただしいかーー
なぜ、電源が入っているのか? これが疑問である。
「なぜ、電源が入っている? いや、そんなことはどうでもいい。我が家のリビングはあんなにも、あんなにも明るかったか? まるで、いつもと違う」
彼は部屋の方を見ながら呟いた。戻ってみるとそこには、蒼色に包まれた部屋ただそれだけがあるだけだった。
はじめまして、胡麻味噌醤油です。
今回アヴァター・O/7は、三人称で話が進むのですが、自分ちょっと苦手で拙いかもしれませんすいません。
投稿はゆっくりペースです。