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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第一章 転生と仲間との旅立ち
7/60

7 旅立ち

お楽しみください。

 待っている間にハルオとの会話はなかった。気まずいし、何でクラーズじゃ無いんだろうという気がする。ハルオってバリバリ日本人名だし。やはり俺みたいにゲーム内に入ってきてしまったのかな? 思い切って聞いてみようかなと思っていると、シュバードとハイミが戻って来た。


 待たせたな、とシュバードが言う。ハイミを見ると目が真っ赤だが、何かを決意したように強い目をしている。


「三人ともこっちに来い」


 シュバードが歩き出した。三人が付いて行く。



 しばらく歩くと海岸線まで来た。崖になっているが、下に降りる小道があり、そこを降りて行く。


 会話は無い。一日喋りっぱなしだったハイミも大人しい。服も何かいやらしかったワンピースにエプロンから、騎士団指定の魔術師の服に着替えている。


 海岸に降りた。海岸からしばらく内陸部に向かって歩くと大きめの小屋が見えた。木で作られた簡素な小屋だ。シュバードが鍵を開けて中に入る。


 中を見て驚いた。そこには小舟があった。四、五人ぐらいは乗れるだろう。


「三人で船を外に出そう。ハイミは食料を船に積むんだ。地図やコンパスも忘れるな」


 ハイミとハルオがはい、とテキパキ作業する。俺も無言で作業する。勿論、ゲームをやっているからこの後の展開も分かっている。


 海岸に船を出した。食料もかなり詰んでいる。


「この小舟は、国で何かがあった時に王族を国外に逃がす為の物だ。この国にはこういった小舟が幾つか隠されており、国の重職者が鍵を持っている。国王は他の船で既に逃げていると思いたいな」


 さらにシュバードは懐から小袋を取り出しハイミに渡す。ハイミが小袋を開けてこれは、と驚いた。


「金貨だ。それだけあれば換金したらかなりの金額になるだろう。しばらく生活には困らないはずだ。新しい服も欲しいだろ? 露出の高い服を着てユウマをメロメロにしてやれ」


「もう、おじさん! ……ありがとう」


「ああ。お前達の役目は分かっているな? この海岸から船を出せば潮に乗って北に流されるはずだ。しっかりとコンパスで確認しろよ。大陸が見えたら漕いで上陸しろ。アリス教国ルイビンベールだ」


 役目は援軍を呼んで来るということじゃ無い。あれは俺とハイミを逃がす為にシュバードが言った嘘だ。ハイミに言った様に逃げて生き残り、幸せになる事だ。


「ハルオ、ユウマ達を頼んだぞ。ユウマ達はまだまだ強い敵には適わないかもしれない。魔族なら尚更だ。お前が守ってやってくれ」


 シュバードがハルオも残したのはこういう事だ。ゲーム内では仲間になったクラーズはクリフやハイミよりレベルが少し高かった。何と言っても騎士団長お気に入りの武術家だ。任せて下さい、とハルオは言った。


「よし、もう行くんだ。今出れば強い潮に乗って明日の昼にはルイビンベールに着くだろう。これも渡しておく。これを見せれば国王に謁見できるはずだ」


『ルーべリア騎士団長の証』を貰った。そして船に乗った。


「元気を出せ、ハイミ! お前の両親仇は私が取る! お前がそんなに落ち込んでるとユウマも元気が出ないぞ。ほらもっとくっ付け。小舟に乗っている今がチャンスだぞ」


 もう、と怒るハイミ。怒りつつもくっついてきた。ふわりと良い香りが鼻にした。照れてしまうが、ハイミはそれどころじゃ無いだろうなと思う。


 じゃあ、行って来い、とシュバードが船を強く押した。騎士団長だけあって凄い力だ。船はみるみる岸から離れて行く。シュバードは心配そうに手を振っている。するとハイミが大声で言った。


「おじさん! わたし達、絶対強くなる! そしてパパやママやおじさんやおばさんの仇を取る! 大丈夫よ、ユウマにはわたしが付いてるから! ユウマだっておじさんの息子だもん、強くなるわ! わたし達を見守っていてね!」


 ふん、俺もいるぜ、とハルオが言う。


「俺も強くなるよ、父さん! 父さんに負けないぐらい!」


 ゲームの世界に来て初めて父さんと呼んだ。凄い人だな。騎士団長としても父親としても。現実世界の父親を思い出し、涙が出てきた。いつも厳しい父さんだが、勿論尊敬してる。


「ちょ、ちょっと、何泣いてるのよ? 男の子でしょ? ……ユウマが泣くとわたしも涙が出てくるじゃない」


 ハイミは我慢していたんだろう俺にくっついたまま泣きはじめた。号泣だ。ハイミの頭を撫でて宥める。俺はすぐに涙が止まったがハイミはいつまでも泣いていた。



 そうして俺達の旅が始まった。

第一章終了です。続きもお楽しみに。

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