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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第一章 転生と仲間との旅立ち
6/60

6 騎士団長の願い

お楽しみください。

「ハイミ、私達はルーべリア城に戻る。敵は十万以上だ。ハイミの言う通りだ。恐らくは無事では済まない。ルーべリア最強の剣士と言われた俺でも十万は流石にキツイな。はっはっは!」


 さっきとは違うシュバードにハイミは驚いた。


「恐らく死ぬだろうな。ハイミはそれが分かっているのか? それでも俺達に着いて来るか?」


 シュバードに問われハイミは力強く答える。


「あ、当たり前です! パパとママの仇! 敵を一人でも、刺し違えても倒してやります! 命なんか惜しくありません」


「そうか。ユウマも……同じ気持ちなのかな」


 急にシュバードの口調が弱くなった事にハイミは驚く。


「と、当然です。ユウマだっておばさんの仇を取りたいはずです! そして騎士団長と最後まで国の為に戦いたいはずです!」


 シュバードはそれを聞き、溜息をはぁ、と付いて言った。


「そうか。それなら私は騎士団長失格かな。私はユウマが十七歳という若さで死ぬことが耐えられない」


 えっ? とハイミが目を大きくして驚いた。そしてハイミは気付いた。シュバードは厳しい騎士団長から優しい父親の顔に変わっていた。


「ユウマはまだ若い。これから色々な経験をするだろう。良い事や楽しい事ばかりでは無いはずだ。辛い事、苦しい事、色々あるだろう。だが、ユウマにはそういう経験をして強く大きくなってほしい」


「騎士団長……。」


 ハイミはあまり見た事が無いシュバードの様子に驚いていた。


「そして、そのユウマの側にハイミ、お前がいつもいてやって欲しい」


「えっ、騎士団長、それは……。」


 ハイミはグッとこみ上げて来るものがあった。そして……


「ユウマとお前はお互いに好いているのだろう? 息子と、娘の様に見て来た幼馴染の幸せを願ってはいけないか?」


 それを聞くとハイミがわーっと泣いた。シュバードの元に行き、シュバードの胸で泣く。そんなハイミの頭を優しく撫でるシュバード。


「おじさーん! わたし、パパやママを殺した魔族は許せない。この国も大好き。でも、ユウマとは離れたくない。ずっと一緒にいたい! ユウマと幸せになりたい。こんな状況でもそれをおじさんは許してくれるの?」


 ハイミは自分の気持ちを吐き出した。シュバードをおじさんと呼ぶのは久しぶりだ。


「勿論だ、私から頼みたいぐらいだ。息子を頼んだぞ」


「はい、任せて下さい! この役目はわたしにしか務まりませんから!」


 目を真っ赤にしながら自信満々に胸を張る。シュバードは安心した様に頷く。小さい頃は女の子なのに喧嘩でユウマを負かしたりしていたハイミ。しかし、大きくなるにつれて行動も言動もどんどん大人の女性らしくなっていった。ユウマを意識していたんだろうな、とシュバードは思う。



 ルーべリア最強の剣士と言われたシュバードの息子に産まれたユウマ。いや、この場合はゲーム内のクリフと言った方がいいか。だかクリフは母親に似たのか心優しい、どちらかというとふんわりとした子供だった。


 クリフが十三歳になった時、急にこんな事を言った。


「父さん、俺に剣術を教えてよ!」


 シュバードは飲んでいた酒を噴き出して驚いた。ゴホッゴホッと咽せ返りながら尋ねる。クリフは見るからに剣士に向いてない様に感じていた。城に仕えるなら、科学者や数学者の方が向いていそうだと思っていた。

「急にどうした? さてはまたハイミに喧嘩で負けたか?」


 ち、違うよ、と言うクリフ。母親のマリンも意外そうに言う。


「クリフも剣士になりたいの? やっぱり父さんの息子ね」


「俺だって強くなって国の為に命をかけて戦いたいんだ」


 一端の口を聞く様になったなと思うシュバード。飲んでいた酒の酔いが一気に覚めた。一日の最大の楽しみである飲酒をいつもより早く切り上げて、よーし、と言う。


「じゃあ、早速やるか! 国を守りたいんだろ? 半端な訓練じゃ国は守れないぞ〜」


「今からするの? 何時だと思ってるのよ?」


 マリンが驚いた様に言う。


「望む所だよ、父さん! 何でもこなしてやる!」


 気が大きくなっているクリフ。でも次のシュバードの言葉に驚いてしまう。


「よく言った、クリフ! じゃあ、小屋に木刀が入っているから持って来い! まずはそれで素振り一万回だ!」


「「えー!」」


 一万回という回数に驚くクリフとマリン。クリフは明らかに早くも自信を無くしかけている様だ。


「いきなりそんなに? 手が上がらなくなるよ!」


「はっはっは、ビビっているのか? 父さんは十三歳の頃はそれぐらいやっていたぞ」


 それを聞いてクリフはキリッと顔が変わった。その顔を見てマリアは、優しそうなクリフもたまにシュバードの様な剣士の顔をするのよね、と思う。


 クリフは小屋から木刀を持って来て裏庭で素振りを始めた。素人なのでフォームがバラバラだ。シュバードがアドバイスをするとどんどん様になってきた。


「こんばんは。……クリフ、何やってるの?」


 ハイミが訪ねて来た。いらっしゃい、と言うマリン。ハイミを見て恥ずかしくなったのか顔が赤くなるクリフ。でもすぐに再開する。シュバードが言う。


「ハイミ、クリフはな、剣で俺を超えるそうだ。その為の訓練だよ」


 固まるハイミ。シュバードは国内最強の剣士として既に名前が広まっている。


「クリフが? おじさんを超える?」


 ハイミは何かを考えている。


「何だよ、悪いか? ていうか父さん、父さんを超えるなんて言ってないよ!」


 そうだったかな、と笑っている。マリンも隣で笑っている。


「ううん、クリフならきっとおじさんを超えれるよ! だっておじさんの息子じゃない!」


 目をキラキラさせながらハイミは言う。微笑ましい光景だとシュバードはおもう。クリフに駆け寄って行くハイミ。


「で、クリフは何をやっているの?」


「素振り一万回!」


「えー! 一万回?」


 この反応にシュバードとマリンは大笑いする。


「よ、よーし、クリフこれを食べて頑張って! ケーキを焼いて来たよ」


 クリフはハイミが焼いたケーキが大好物だ。つい、素振りを止めてケーキに目が行く。


「ケーキ焼いてくれたの? 食べる!」


「何だもう素振りは終わりか? まだ千回にもなってないぞ」


 うっ、と止まるクリフ。するとハイミがケーキを取り上げた。


「じゃあ、素振りが終わるまでケーキはお預けね」


 そんなぁ〜、と素振りを再開する。隣でハイミ、シュバード、マリンが大笑いしている。クリフはこの時から素振り一万回を毎日欠かした事が無い。


 ハイミが魔術師の勉強をしたいと言い出したのはこのすぐ後だ。


お読みいただき、ありがとうございます。

登場人物紹介

シュバード クリフの父親でルーベリア騎士団長

マリン クリフの母親

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