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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第四章 南東大陸へ
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19 新たな旅立ち

お楽しみください。

 ハルオとファイナちゃんの一時のお別れが済むと、早速お城を出た。


 そのハルオはというと、まだ顔がにやけている。ファイナちゃんからの告白を何度も思い出しているらしい。


 武術をやっていることもあり、普段は凛々しく、男勝りな所が無いわけではないファイナちゃんだが、告白した時は十五歳らしい可憐さがあり、とても可愛らしかった。


 謁見の間を出て出口に向かって城内を歩く。ハイミとキサキは二人で並んで何やら話し込んでいる。ファイナちゃんの告白の事を話している様だ。そして二人でハルオをからかっている。


「ハルオは幸せ者ね。あんな可愛い子に告白されちゃって」


 ハイミに言われて、ハルオは照れながら言う。


「ま、まぁな。ファイナには俺の男としての良さが分かってるんだろうよ。よし、グズグズしてられないな! 嫁が俺の帰りを待ってるぜ! お前ら、さっさと旅立つぜ!」


 呼び捨てになってるし、嫁にもなっている。ハルオは走り出した。早く馬車に乗って旅立ちたいんだろう。俺も追いかける。


「ちょ、ちょっと待ってよー! 城内を走っていいの!?」


 キサキが慌てて追いかけてくる。ハイミも続いている。城内の兵士達の注目を一斉に集めながらお城を出た。



 お城を出て城下町を歩く。なかなかの賑わいだ。最初に来た時はかなり人が少なかった。町中には巡回の兵士も沢山いる。初めに来た時はいなかった。聞いた話によると、前国王と前王弟が兵士を城内に縛り付けていたせいで、町中に警備兵がいなく犯罪や事件が頻発していたらしい。今は女王様が警備兵を置いている為、治安が回復したらしい。


 歩きながら店を見ると、色んな飲食店がある。食いしん坊なハイミが目を光らせながら見ている。


「せっかくだから何か食べる? ノーリアにはもうしばらく来れないかもしれないし」


「えっ、いいの!?」


 俺の提案にハイミが嬉しそうに言う。


「うん、何が食べたい?」


 俺が聞くと、ハイミは、う〜ん、と考え込んで、沢山ある飲食店を見回している。


「ん、あれ美味しそう! あれ食べよう!」


 ハイミが指差して言う。俺達が一斉にそっちを見る。看板を見ると、《3ICE CREAM》とある。これが店名だろう。現実世界の某アイスクリームチェーン店がモデルだろう。木下さんの遊び心か。キャッチフレーズは『年中美味しい冷たいアイスクリーム』らしい。


「アイスクリームか〜、うん、食べようか。行こう、ハイミ」


 うん、とハイミが元気よく返事して店に走って行く。やっぱり女の子はアイスが好きなのかなと思う。


 俺達は一番人気だという、《オリジナルアイスキャンディ》を頼んだ。よくある木の棒に刺さったアイスキャンディだ。値段は一本が五十エナだった。現実世界でいえば五十円だろうか。今時安い。


 来た時は、城門前まで馬車で来たが、今は町外れの馬車停留所に移動させてもらっている。そこに停めておけば、スタッフが馬の面倒や、馬車のメンテナンスもしてくれるらしい。馬車を止めている町外れまで食べながら歩く事にした。


「うわ〜、美味しい〜、冷た〜い」


 ハイミが美味しそうに食べている。ルーベリアではあまりアイスは食べられないらしい。幸せそうな顔だ。この笑顔を見るとほっこりする。こっちまで幸せな気分になりながら馬車置き場に着いた。



 アイスも食べ終わった。馬車に乗る前にこれからの事を話し合った。


 この世界マルスカの世界地図はアリス教総本山アリウスが中心に描かれている事が多い。そして、この世界の大陸はアリウスを中心に名前が付けられている。


 例えば、俺達は現在ノーリアにいるが、ノーリアがあるこの大陸は、アリウスの南東にあるから《南東大陸》と言われる。本当に覚えやすい。ちなみにキサキの故郷であるルイビンベールがあるのは、《北西大陸》である。


 南西大陸には四つの国が大陸をほぼ均等に四分割している。ノーリアは南東部に、ギガクは北西部にある。他には北東部にアリス教国コクシ、南西部にアリス教国モーシュがある。


「これからどうする? とにかくこの南東大陸の国を回る?」


 世界地図を見ながらの俺の提案に他の三人も異論は無いようだ。


「うん、そうね。とりあえずはそれでいいんじゃない? そして北東大陸に渡ってペテルサンクに入りましょう」


 キサキが言う。今までは国王や教皇の依頼で国を訪れていた。だが、今はそういう事がないので自由の旅だ。自由な旅もいいなと思う。


 現在の南東大陸から北東大陸に渡るなら、北東大陸の南半分を領するペテルサンクに行く事になるか。ペテルサンクはアリス教国じゃないみたいだからギガクから渡った方が良さそうだ。


 それなら道筋が決まった。ノーリア→コクシ→モーシュ→ギガクから船で北東大陸の南部に位置するペテルサンクに渡るという順序でいいだろう。


「よし、それじゃあ行こうか!」


 俺の号令に、おー! と答える三人。新しい旅の始まりだ。ハルオの約束もあるし、早めに魔王を倒した方がいいのかな? いや、焦りは禁物だ。何よりも旅を楽しみたい。


 馬車に乗り出発した。これからは自由な旅だ。楽しもう。新しい出会いや、中には別れもあるだろうか? 魔王を倒して世界を救うのが最終目的なのでそれまでは色々あるだろう。でも俺達は最後まで楽しく旅をしようと思う。


 この四人の仲間で最後まで。どんな困難も乗り越えて。


お読みいただきありがとうございました。


第4章終了です。それと第4章のタイトルを変更しました。次からは第5章の始まりの予定です。

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