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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第一章 転生と仲間との旅立ち
4/60

4 平和な喧騒

お楽しみください。

 お城の集合場所まで一緒に行こうという事になって、ユウマ、ハイミ、ハルオの三人で出発した。やはりハイミが一人で喋っているが、ハルオが気になって話しが入ってこない。そういえば、クラーズとは顔も違う。しかし、ハイミは相手がクラーズである様に話している。


「ん、どうした。さっきから俺の顔をチラチラ見て。顔に何か付いてるか?」


 挙動不審の俺に ハルオが尋ねてきた。何でもないと俯く。


「ユウマ、何か今日変だよね。どうしたの? 演習に緊張してるの?」


 ハイミも続く。


「いや、何でもないよ」


「そう? あっ、そういえばユウマ、明日の買い物なんだけどね……」


 ハイミが一生懸命喋っているが、話しが全く入って来ない。



 演習はルーべリア東海岸にある軍事演習場で行われた。ルーべリアは大きな島国の様だ。面積はオーストラリアの半分ぐらいかな。島の中央に首都があり、人が住む街は中央から西海岸に集まっている。東海岸は大きな軍事演習場になっている。お城に集まって東海岸の演習場まで歩いていく。四時間ぐらいの道程だ。長い行軍も訓練の一つだそうだ。俺は騎士団の制服から鎧に着替えている。暑い。重い。横ではハイミが国指定の魔術師の服を着ている。


「この服あつ〜い。汗で髪型が崩れるじゃな〜い」


 ブツブツと愚痴をいっている。うるさいから軽い気持ちで言ってみた。


「さっきのワンピースに着替えたら?」


「そうしようかな。下着から何まで汗びっしょり。もう脱ぎたい!」


 暑さでやられているのかとんでもない事を言っている。聞いてないフリをして下を向くが顔が赤くなっている俺を見てハイミがはっとする。


「もう、ユウマ! そんなにわたしの胸が見たいの? これから大事な演習なんだからシャキッとしてよね!」


「ち、違うよ! ハイミが勝手に言ったんじゃないか! 濡れ衣だよ!」


「うるさ〜い! ユウマのエッチ〜!」


 ギャーギャーと騒いでる俺達。若者は元気だな〜と周りは見ている様だ。騒いでいたせいで四時間があっという間だった。



「あー、疲れた〜」


 昼に着いて軽く食事を取ったら直ぐに地獄の訓練が始まった。近衛騎士団は黙々と訓練をこなしているが、俺達若手は死にそうだ。近衛騎士団はやっぱり凄いんだなと思う。でも、現実の俺は体が弱く学校で体育や運動会や部活はできない。こういう疲れは清々しくもあるんだな。


 座り込んでそんな事を考えていると、後ろから気配がした。ゾッとするし、ワクワクもする、変な気配だ。すると衝撃がきた。何かが後ろから抱きついて来た。


「ユウマ、お疲れ様!」


「どわー! 何だ?」


 ハイミだった。重い。疲れた体に更なるダメージだ。


「お、重いよ、ハイミ」


「なんですって〜! 失礼なことを言わないでよ!」


 さらに体重をかけてくる。ハイミの甘くて良い香りが体を癒してくれるようだが、ここは演習場だ。人も沢山いる。取り敢えず離れてもらおう。


「疲れてるんだから勘弁してよ。……ん?」


 ハイミが体を密着させている。という事はだ! 背中には勿論あの感触。


「あの、背中に当たってるんだけど。もしかしてわざとやってる?」


 えー! と言って急いで離れるハイミ。振り向くと、いつものワンピースにエプロン姿のハイミ。


「な、何、その格好?」


「な、何って、ご飯を作ってるのよ」


 あー、そういう事か。ハイミは料理も上手いからね。この演習に参加している五十人分ぐらいは簡単だろう。……そうじゃない!


「そうじゃなくて、何でワンピースの上からエプロンしてるの?」


「ま、またユウマは変な想像してるの? エッチ〜! ちょ、ちょっと胸ばかり見ないでよ!」


 両手で胸を隠しながら言う。俺がいやらしい事をしてるみたいだ。見てないよ! と言い返すが、また賑やかな騒ぎになってしまった。


「おっ、ユウマまだ元気だな。近衛騎士団に混ざってくるか?」


 シュバードが戻ってきた。疲れを知らずに騒いでいる俺達を見て笑っている。近衛騎士団はまだ訓練しているんだろう。凄い体力だなと思う。


「む、無理だよ。もう足が動かないし手も上がらないよ」


「騎士団長、連れて行って下さい。ユウマはわたしの胸を見て体力を回復しました」


 とんでもない事を言うハイミ。見てないってば〜、と言っても信じてくれないし、いっその事倒れるまで頑張ろうかなと思っていた時、この平和な喧騒を打ち消す驚くべき報告があった。


次もお楽しみに!

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