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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第四章 南東大陸へ
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11 ハルオの春?

お楽しみください。

 夜が明けた。


 昨晩は男子は男子で、女子は女子で集まっていた。


 ハルオは子供に懐かれ、武術を教えていた。


 俺だって剣士だ。持っている剣は最強武器の《エクスカリバー》だ。そんじょそこらの武器とは訳が違う。でも、俺には子供達は懐いてこなかった。何か初めてハルオは負けた感じだった。まぁ、いいけど。


 ファイナは完全にハイミやキサキと打ち解けて、昨晩は三人でキャーキャー騒いでいた。随分楽しそうだったが、何の話しをしていたんだろう。



 王都に行ってくると村長に報告してきた。ギガク国王の書状を届けなければならないし、ノーリア国王は噂に聞いた通りの愚王みたいだ。どうにかしなければいけない。ルーベリアとルイビンベールの俺達に何ができるか分からないが、何かしたい。


 それにこの国の村や町には自警団がいない。国王と王弟が王都で私物化しているらしい。ザラ村みたいに自警団がいなくて魔物に襲われている所があってもおかしくない。一刻を争うんじゃないだろうか。



 村長の屋敷を出るとファイナちゃんが立っていた。


「皆さん、もう発つんですね。せめて数日は滞在してくれるものだと思ってました」


 両腕を背中に回して下を向いている。寂しいのか。


「ゴメンね、ファイナちゃん。わたし達は王都に行かないといけないの」


 ハイミが言った。


「えっ、王都ですか? そうですか。急ぎの用事みたいですね」


「うん、そうなんだ。ギガク国王からの書状を届ける為に、ノーリア国王に会わなければいけないんだよ」


 俺が言うと、ファイナちゃんがノーリア国王と言う言葉に反応した。


「……国王に会うんですか? この国の国王は最悪な国王なんですよ」


 ファイナちゃんが初めて顔に怒りの表情を見せた。いつもニコニコしているから余計に怒りが分かる。


「うん、ギガク国王から聞いた。ギガク国王からの書状もあるし、あたしがルイビンベール王女としても話してくるわ」


 キサキが言った。ファイナちゃんは相変わらず下を向いていたが、顔を上げた。笑顔だ。無理矢理作ってる感じだが。


「いってらっしゃい、皆さん! 皆さんなら何かやってくれると信じてます!」


「うん、わたし達が自警団を解放して、国王と王弟を一発殴り飛ばしてくるわね!」


 ハイミが珍しく過激な発言をする。


「はい、ハイミさんやっちゃって下さい!」


「おっ、ハイミ言うわね〜。じゃあ、あたしは……」


 キサキが言いかけたところでハルオがツッコミを入れる。


「お前はやり過ぎそうだから止めとけ。一国を敵に回しちまうだろう」


「ははっ、そうだね。キサキは王女らしくおしとやかにしててよ」


 俺が続くとキサキが膨れながら言う。


「ちょっと〜、あたしにも殴らせてよね! やり過ぎそうなんて失礼ね!」


 俺とハルオの肩をバシッと叩きながら言う。


 結構痛い。ハルオが肩を摩りながらファイナちゃんに言う。


「まぁ、キサキの事も期待していいよ。やる時はやる奴だから。もしもの時は俺やユウマがフォローするよ」


「はい、ハルオさんが言うなら信じます。……ハルオさん、頑張って下さいね」


 おう、と親指を立てながら言うハルオ。


 何かファイナちゃんの顔が赤く下を向いている。


「じゃあ行ってくるよ」


「……はい」


 ファイナちゃんに向かって拳を出すハルオ。それに自分の拳をコツンと当てるファイナちゃん。左手は拳を握り胸に当てて、右手を当てている。顔は真っ赤だ。


 ……これはもしかして。ハイミとキサキを見ると、二人共ニヤニヤしながらハルオとファイナちゃんのやり取りを見ている。気持ち悪いよ。


 二人に耳打ちする。


「ねぇ、もしかしてファイナちゃんってハルオの事を?」


 俺が聞くと二人はさらにニヤッと笑って頷く。そしてキサキが言った。


「ファイナちゃんは憧れの人がいるらしいわよ。自分より強くて、ドジで、大人らしい人だって言ってた。これってハルオにピッタリハマるわよね。大人らしいかは別にして」


 キサキの言葉にビックリだ。


「ファイナちゃんはそんな事を言ってたの? ハルオは気付いて……無いよね?」


 見ると何事もなかった様にこっちに来るハルオ。


「よし、じゃあ行こうぜ」


 何も気付いてないハルオが言う。隣でため息をついているハイミとキサキ。笑いを堪えるのが必死だ。


「ん、どうしたんだ? 行こうぜ」


「うん、行こうか。じゃあ、ファイナちゃん、また来るよ。それじゃあね」


 俺が言うと、ファイナちゃんは、ぱあっと顔が明るくなって言う。


「本当ですか!? 絶対来て下さいね! ……あの、ハルオさん、また組手して下さい。次は絶対一回は当てますから!」


「ん? 分かったよ。また来る。また組手をしような」


「はい!」


 嬉しそうに笑うファイナちゃん。……何かハルオ羨ましいな。


 馬車に乗って出発した。ザラ村の人達はずっと手を振っていた。



 ノーリア王国の王都ノーリカへ向かう。


 王都に向かう途中にはかなりの数の魔族に会った。街道を走っていたのだが、それでも出会う。周辺の村は大丈夫なんだろうか。


 一応全て倒しておく。レベル上げにもなるしね。


 倒した敵は絶命した瞬間にパッと消える。ゲーム内だからね。魔族の死体がそこら中に散らばるっていう事はなくて良かった。



 王都ノーリカに着いた。異様に人が少ない街中を馬車で走る。国王が愚王な国は城下町の賑わいもない。



 ノーリア国王の事を考えながら走っていると、お城に着いた。遠くから見ていると、心なしか豪勢さが無く感じた。



 お城の門に着いた。馬車から降りると門番が妙に見てくる。何か嫌な予感がする。



 ……そして捕まった。


お読みいただきありがとうございました。

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