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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第四章 南東大陸へ
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3 占神国ギガク王国

お楽しみください。

 使者は翌日の朝に戻ってきた来た。行きは馬に乗って行ったんだが、帰りは馬車だった。行きの馬は馬車の横に付いてきている。


 すぐに村長に報告があったようだ。そして、朝食を食べ終わってくつろいでいた俺達が客間に呼ばれた。


 客間には村長が座っており、向かいに俺達が四人で座る。


「皆さん、ワシ宛に国王から直々に書状が届きました。今すぐに城へお迎えするそうです。馬車が来ておりますのでお乗り下さい。御用は全て馬車の御者にお申し付け下さい」


 村長の言葉にとりあえず安心する。まぁ、お城に行かないと話しが進まないので当然と言えば当然か。


「それなら沢山のご飯を準備して下さい。できればギガク名物を」


 ハイミが言う。食い物かよ、と笑うハルオ。他に何があるの? と首を傾げるハイミ。いつもの光景に笑う俺とキサキだった。



 準備をして馬車に乗った。物凄くいい馬車だ。乗り心地も良さそうだ。馬も良い。毛並みがよく黒々としている。


「さぁ、お乗り下さい。我が国最高の馬車です。普通の馬車の半分の時間で着きます」


 御者が言う。


 村の入り口には村長、エリナちゃんと数人の村人が送りに来てくれている。


「剣士のお兄ちゃん、次に来たら剣術を教えて下さい!」


 エリナちゃんが言う。俺が返事に困っていると村長が助けてくれた。


「こら、ユウマ殿達は国王に呼ばれて行くんだぞ。失礼な事を言うでない」


 村長にコツンと叩かれたエリナちゃん。痛っ、と頭を押さえて涙目で村長を見上げる。


「それでは行ってらっしゃいませ。お気を付けて」


 村長が頭を下げる。冒険者から国王直々の客人に変わったのだ。少し照れてしまう。エリナちゃんも頭を押さえたまま頭を下げている。


「村長からの許可が出たら教えてあげるよ」


 念の為にフォローを入れて手を振る。ぱあっと顔が明るくなり元気に手を振るエリナちゃん。余計な事を言ったかも。明日から村長が大変かもな。


 それじゃ行きますよ、と御者が言う。出発した。



 馬車のスピードは早く、昼過ぎには城下町に着いた。城下町らしい人並みの間を抜けて城に着いた。俺達は馬車を降りて大きな城を見渡していた。


 馬車が戻って来るのを見てか、城門が開き一人の老人が出て来た。老人といっても六十歳ぐらいか。国の重役なんだろう、体から醸し出す迫力が凄い。


「ようこそいらっしゃいましたな。私はこの国の大臣を務めておる者です。さぁ、国王がお待ちです。こちらへどうぞ。」


 城門を通り、場内へ入る。豪華な場内を歩き、謁見の間に到着した。



「よく来たな、ルーべリアの騎士とルイビンベールの王女よ」


 黒い髭を蓄えたいかにも王様といった感じの風貌だ。年齢は五十歳ぐらいか。俺達は跪き、頭を下げる。


 キサキが代表で話し出す。


「ルイビンベール王女のキサキです。謁見を感謝します。わたくし達は世界の危機を感じ、アリウスから参りました。書状は読んで頂けたでしょうか?」


 頷きながら国王が言う。


「ああ、読んだとも。ルーべリアの事は残念だったな」


「はい、お気遣いありがとうございます。でも俺は、いつかルーべリアに戻って国を再興したいと思ってます!」


 俺が言う。


「……ユウマ……うん、そうだね!」


 嬉しそうに笑うハイミ。そういえばハイミは普段、全然ルーべリアの事を話さない。やはりずっと考えない様にしていたんだろう。生まれ故郷の滅亡はかなりのショックだったはずだが、ずっと明るく振舞っていた。


「はっはっは、じゃあ本題をいいかね?」


 俺達のやり取りを見て言った。話しを折ってしまった。すみません、と言うとギガク国王が続けた。


「このマルスカ南西大陸には四つの国があるんだ。大陸の北西に占神国ギガク、南西にノーリア、北東にアリス教国コクシ、南西にアリス教国モーシュだ。この四国がほぼ均等に大陸を四分割している。実は一年前までこの四国で戦争中だったのだ。戦争と言っても小競り合いをして、撤退をして国境を固めて、の繰り返しだったのだがな」


 そういえば、カルボ村の村長がここ数年で色々あったと言っていたが、戦争中だったのか。


「我が国は占神国という名の通り、年に二回の占いが国の大切な政治の決定権になるんだ。その占いでかなり悪い結果が出たのだ。かつてないぐらい悪い占い結果に、他国と戦争している場合じゃ無いとすぐに講和を申し込んだのだ」


 占いか。それはまた古臭いと思う。


「だからそなたらの書状を見た時は驚いたぞ。そもそもカルボ村からの使者なんて滅多に来ないから何か嫌な予感がして、すぐに書状を見たんだ。中身を見て我が国の占いの正確さを再確認出来たんだ。占いは国王の私でも逆らえない事があるからな」


 満足気に言う国王。キサキが続けた。


「そうですか。わたくし達が少しでも役に立てたなら良かったです。ルイビンベールはもう既に魔族を迎え討つ準備をしています。アリウスもです。貴国も早急な準備をお願いします」


「ああ。今日の夕方には国境に兵士を派遣する。どこから来ても対応出来る様にな。そなた達は今日は城に泊まって行きたまえ。疲れを癒すがよい」


 ありがとうございます、とキサキが言い、兵士に連れられて謁見の間を出た。



 客室に案内されると、また夕食までは自由行動だ。俺はいつも通り剣の特訓、今回はハルオも一人で特訓しているらしい。誘えば良かったかな。ハイミとキサキは城下に買い物に行ったらしい。金貨を一枚換金もすると言っていた。金貨はまだ八枚も残っている。城や屋敷に泊まるからいつも宿代がタダなのだ。


 今日もハイミが夕食を作るのだという。今回はキサキが料理を習うそうだ。買い物にも付いて行った。



 夕食後は風呂に入った後に俺の部屋に皆集まり、話しをした。三時間は話したんじゃないだろうか。


 キサキはアリス教国なので、非アリス教国に入るのは不安があった。さらにアリウスの船である。捕まって牢に入れらても不思議じゃないと思っていた。


 それは占いのおかげで免れた。国王も話しが分かる人だった。名君か? でも、何故戦争なんかやっていたんだろう? 政治の事は分からない。聞いてみていいだろうか。



 約三時間喋った後に各自部屋に戻って寝た。



 翌朝、報告が来た。国の西海岸に魔族が現れたと。



お読みいただきありがとうございます。

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