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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第一章 転生と仲間との旅立ち
3/60

3 お城への出発と新しい仲間

お楽しみください。

 家を出てハイミと二人でお城へ向かう。朝にも関わらずハイミはハイテンションだ。


「見て、このワンピース。昨日ユウマが選んでくれたから早速着てみたよ! 似合う?」


 勿論、俺は選んでない。今日の朝起きたらこの世界にいたのだから。クリフが選んだんだろう。


「でも、胸空きすぎじゃない? 谷間見えてるよね? まさか、ユウマこれが狙いだったの?」


「えー! ち、違うよ。本当に似合うと思うよ」


「ふふふ、冗談よ。ユウマ、そんなに焦らなくてもいいのに」


 もう、心臓に悪い。選んだのは厳密に言えば俺じゃない。いや、俺と言えば俺なんだが、違うと言えば違う。クリフはエロ主人公だったのか? と言うか、今から軍事演習に行くのに、こんな私服で来るハイミって……。


 ところでさ、とハイミが言ってきた。何とハイミを見ると、手を後ろに組んで俯いてモジモジしてる。仕草が可愛らしいし、この角度だとハイミの胸の谷間が丸見えだ。ハイミより背が高くてよかった。……な、何を考えてるんだ俺は。


「演習が終わったら暇? また買い物に付き合って欲しいんだけど」


 今度は上目使いで囁く様に言ってくる。恥ずかしがっている? ハイミの顔で早瀬沙織の声で。こんなに幸せな事はない。


「う、うん、いいよ。演習が終わったら一旦家に帰ってハイミの家に迎えに行くよ」


 テンパっている割には気が利いた事が言える俺。演習は今日の午後から明日の正午まである。明日の夕方には帰って来れるみたいだから大丈夫だろう。するとハイミの顔がパアッと明るくなり、


「うん、ありがとう! 楽しみにしてるね!」


 そう言って俺の右腕に抱きついて来た。


「……ギャー!」


 驚いて奇声と共に飛び上がってしまった。何があったかを説明しよう。視覚がゼロ距離でハイミの顔を捉えた。老眼じゃ無くて良かった。嗅覚が甘い匂いを吸い込んだ。風邪ひいてなくて良かった。そして、次が一番の問題だ。右腕の触覚がとんでもない物を捉えた。健全な中学生には刺激が強過ぎる。


「ど、どうしたの? 大きい声を出して」


 逆にビックリした様にキョトンとする。


「い、いや、右腕に、その……」


 心臓がバクバクで過呼吸になりそうだ。現実の俺なら意識を失っている。


「右腕? ちょっと〜、はっきりしなさいよ」


「右腕に、右腕に、その、柔らかいものが当たって……」


 柔らかいもの? と下を向くハイミ。その瞬間、顔がみるみる赤くなっていく。


「ゆ、ユウマのエッチ〜! 何考えてんのよ!」


 と言いつつ、さらに強く右腕を抱いてくる。


「ギャー! 右腕に柔らかいものが〜! ハイミって良い匂いするんだね……。

ギャー、ごめんなさい!」


「うるさーい! ユウマのエッチ〜!」


「ギャー、これ以上抱きしめないで〜」


 こんなやり取りがしばらく続いた。



「よっ、二人共相変わらず仲が良いな」


 このやり取りはこの声で終わりを迎えた。もう既に昇天寸前だった俺は我に帰りゲームのワンシーンを思い出した。途中で新しいパーティーメンバーが合流するんだった。戦いですごく頼りになる武術家。名前はクラーズ。するとハイミが、


「おはようございます、ハルオさん!」


 えっ、ハルオ? 人違いか? もう一度目の前の人物を見る。スラッとした長身にガッチリとした体型。いかにも武術家といった服装。やはりゲームのクラーズと一致する。新キャラか? 俺が一人で思案していると更にハイミが言った。


「ハルオさんも今日の近衛騎士団演習に参加するんですよね? 騎士団長からの直々の推薦でしょ? 」


「ああ。ユウマ、お前の親父さんには感謝してるよ。俺なんかを側付に選んでくれて演習にも誘ってくれたんだからな」


 側付とは常に騎士団長の側にいて身の回りの世話をしたり、色々な勉強をさせてもらえる。将来有望な若手がよく選ばれる。まさにゲームではクラーズが側付をしていた。常に父親の側にいる為、クリフとも仲が良く、兄の様に慕っていた。やっぱりクラーズなのか? もしかして俺みたいに現実の世界から来たのかな? 頭が混乱していた。


ユウマ羨ましい。

登場人物紹介

クラーズ ファンタジー・オブ・デスティニー5の武術家

ハルオ クラーズそっくりの男

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