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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第三章 真実と使命
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5 平和な喧騒3

お楽しみください。

 やっとキサキの説教が終わった。この辺はさすがは学級委員長だ。説得力がある。ハルオが愚痴る様に小声で言う。


「くそう、キサキが一番この世界を満喫してるくせに」


 キサキは地獄耳だ。


「はぁ、何か言った!?」


「いえ、すみません」


 ハルオは素直に謝る。


「でも、キサキちゃんはこの世界に来て変わったな。垢抜けて可愛くなったぞ。明るくもなったしな。何かあったのか?」


 妙にニヤニヤしている木下さん。ハルオもだ。何かチラチラこっちを見ている。何か言った方がいいのかな。


「キサキってさ、今の方がいいと思うよ。学校の真面目な感じより」


 ふんっ、と後ろを向いて言う。


「ユウマは胸の大きい今のあたしの方がいいって事? ユウマとは小学一年から一緒だけど、巨乳好きとは意外ね」


 巨乳好きになってしまった。逆効果だったか? ヤバイ、助けてとハルオに視線を送ると、キサキが後ろを向いていてる為、ハルオが素早く来て耳打ちしてきた。


「いいぞ、もっと褒めろ。グラついてるぞ」


 言う通りにする。もうヤケだ。


「お、俺はキサキとずっと同じクラスで良かったと思ってるよ。優しいし。絶対眼鏡を取ったら、か、可愛いと思ってたし」


 するとキサキの口調が変わった。


「ふん、ユウマは眼鏡を掛けたあたしは可愛くないっていうの? いいもん、その通りだし」


 隣ではハルオが親指を立てている。木下さんも頷いている。


「キサキちゃん、もういいか? そろそろ次に進みたいんだが」


 キサキがこっちを向いて、どうぞ、と促す。ようやく話が進む。



「君達は世界中の国を廻って魔族の侵攻を防いでくれ。なにもその国の騎士団に混じって敵を向かい打て、という訳じゃない。そこはRPGだ。色んなイベントやクエストも準備してるよ。楽しみたまえ」


 頷く俺達三人。気になる事もある。


「でも、楽しむって言ってもこっちで時間が過ぎれば、現実も時間が過ぎますよね。僕やキサキは一応受験生だし、ハルオは大学四年生なら就職活動があるよね。あまりゆっくりは出来ないです」


 そうそう、と木下さんが思い出した様に言う。


「多分、君達がこの世界を廻って魔王の元に辿り着いて、魔王を倒すまで一年ぐらい掛かると思う。でも、こっちの一年は向こうの一ヶ月だ。君達は今夏休みだろう? 思い出を作ると思って楽しみたまえ」


「うん、楽しもうかな。せっかくだしね」


 キサキが言う。


 すると、木下さんが言った。


「最後になんだが、死んだら生き返らせたり出来るが、できれば死なないでくれ」

 何を言い出すんだろうと思う。


「と、当然ですよ。生き返れると分かっていても死ぬのは嫌ですからね」


 木下さんが首を横に振って言う。


「違うんだ、ハイミの事なんだ。彼女はこの世界の住人だ。当然戦いで死んだら生き返れるという概念はない。君達はゲームの中だから蘇生アイテムや呪文は当然だろうが、ハイミからしたら死人が生き返るのは仲間と言っても精神的ショックが大きいだろう。生き返らせるのは止む無くと言う時だけにしてくれ」


 分かりました、と言い三人で頷く。俺達の顔を見て安心したのか笑顔で言った。


「そろそろハイミが恋しくなってきただろうからな。この真っ白な空間は君達三人でも右手を頭の横で指パッチンすれば来れる。でも、ハイミに怪しまれるかもしれないからあまりやるなよ。


 あと、元に戻ったらアリウス教皇として接してくれよ」


 はい、と返事すると木下さんが指パッチンをして周りがアリウス教皇の私室に戻った。



 元に戻ると木下さんはアリウス教皇として、俺達はルーべリアから報告に来た若者として話した。


 ハイミは全くさっきの出来事には気付いてないらしい。普通に俺達に接している。


 教皇に、ルーべリアが魔族に襲われて滅亡する所から、世界を救う為に、宗教の枠を越えて協力するという願いをルイビンベール国王から共感を得て船まで出してもらってここに来た事を伝えた。


 すると、教皇は非アリス教国に紹介状を書いてくれる事を約束してくれた。

 横でハイミが喜んでいるが、口を開いた。


「君達はルーべリアの紋章が入った鎧や魔術師の服を着ているだろう? 永世中立国なら門前払いってこともないだろう」


 そうなんですか? と首を傾げるハイミ。可愛さが半端ない。

「それなら、わたし達だけでも行けたのかな〜」


「でもハイミ、ルーべリアからの小舟でここまで来るのは辛かったんじゃない? ルーべリアからルイビンベールまでは潮の流れで行けたんだよね」


 何かハイミと話すのは久しぶりな気がして嬉しくなる。


「ルイビンベールに来てくれないと、あたしも合流出来なかったしね」


 キサキが言う。


「あ、そうだね! 優秀な治癒術師の加入だったね! ……ルイビンベール料理も美味しかった〜。ユウマ、いつか絶対作ってあげるね」


 何かハイミのペースだ。話しを進めようと思ったのか教国が言う。


「早速ここから東南にある非アリス教国のギガクに行ってくれ。一番近い非アリス教国だ。勿論船はアリウスが出そう。明日の昼ぐらいには準備が出来ると思うから今日はゆっくりして行ってくれ」



 一頻りアリウス教皇と旅の若者らしい話をしてお開きになり、客間に案内された。一人一部屋だ。まぁ、豪華ではないが十分である。


 とりあえずは旅の疲れを癒す為に部屋で休もうという事になり、部屋のベッドで横になる。夕食まで寝るのもいいけどもったいないかな? と考えながら天井を見る。


お読みいただきありがとうございます。

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