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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第三章 真実と使命
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4 プレゼント

お楽しみください。

 エクスカリバーと経験値というRPGとしては十分なプレゼントを貰ったが、まだあると木下さんは言った。さらに、すでに貰っている様だ。三人で顔を見合わせ首を傾げ、首を横に振る。



「俺達はすでに頂いてるんですか? すみません、気付きませんでした」

「そうか、人見君。君のが一番いいと思うが。まぁいいか。宮尾君から教えようか」


「えっ、俺ですか? 俺にも何かあるんですか? ユウマはその鎧かと思いました」


 確かにそう思った。


「あるとも。君を観察していて分かったんだ。君へのプレゼントは……身長だ! 180cmだ!」


「「えー!」」


 俺とキサキが驚く。ハルオは口をあんぐり開けて固まっている。


「私は気付いていたよ。君は大学で一人の女の子をいつも目で追いかけていたな」


 キサキがニヤニヤし始めた。嫌な予感がする。


「へぇ〜、ハルオにもそんな人がいたんだ〜。ねぇ、木下さん、それってどんな人ですかぁ」


 木下さんが乗ってきた。


「知りたいか、キサキちゃん?」


 何故かちゃん付け。いきなり馴れ馴れしくなる。そんな事を気にせず、ひっひっひ、と笑いながら横目でハルオを見る。


「知りたい、知りたい」


「よーし、教えよう。すらっとしていて背が高い。165cmはあるな。長い黒髪が特徴だ。顔はかなりの美人だぞ。芸能人みたいだ」


「ふ〜ん、見てみたいな〜。……ん? ところで、ハルオは現実で何センチなの?」


 俯いて小さな声で答えた。


「……160cm」


「あっちゃ〜、叶わぬ恋かな?」


 キサキが腕を組み、うんうん、と頷きながら言う。うるさいな、と怒るハルオ。そこで俺は気付いた。


「あれ、でもこの世界で背が高くても意味が無いんじゃない?」


 皆が確かに、と頷く。木下さんも今気付いた様だ。


「まぁ、いいじゃないか。そう言う人見君は気付いているのかい?」


 俺は全く心当たりが無い。いや、一つだけ。


「……俺は、体が丈夫って事ですか?」


 現実では薬を飲まない日なんてあり得ない。肉だってこの世界での数日で、今までの一生分は食べた気がする。数時間歩く事や、乗り物にも乗る事も考えられない。


 だが木下さんは、いや、と首を横に振った。


「君は主人公という大役を任せたんでな、大サービスだ! 羨ましいな、少年!」


 うーん、と考えていると、ハルオが言った。


「もしかして、女ですか? ユウマは目を話すと、すぐ女の子に囲まれてますね」


「正解だ。人見君、ハイミや他の女の子にベタベタされる気分はどうだい?」


 思い掛けない言葉にビックリした。確かにハイミは俺にすぐくっついて来る。でも、それは幼馴染としての親密さだと思っていた。


「えー、そんな事なんですか!?」


 俺の言葉に何故かハルオが怒る。


「こら、お前は何贅沢な事を言ってるんだ! そういう事だったのか。羨ましいぜ。というか、お前はハイミにベタベタされてデレデレしてたじゃないか」


 何怒ってるんだ、と思いながら反論する。


「そ、そりゃあ、ハイミみたいに可愛い娘にあんなに事をされたら照れちゃうよ! 妙に胸を当ててくるし」


 ぐわー、羨ましい、と悶絶しているハルオ。そこで木下さんが冷静に言った。


「でも、良かっただろう?」


「……はい」


 木下さんとハルオがゲラゲラ笑う。しまった、反射的に。


 すると、隣で唯一笑ってないキサキに気付いた。


「……ユウマ、何考えてるの?」


 冷たく言われて、言い訳を考えていた俺に木下さんがフォローをくれた。


「まぁまぁ、いいじゃないか。勿論里宮君にもプレゼントがあるんだ。気付いてくれたか? というか、今の話しの流れで気付いたんじゃないか?」


 うっ、と後退りして言った。


「あ、あたしの事はいいです」


 遠慮気味に言う。せっかくだから何を貰ったか聞きたい。


「いいじゃん、教えてよ」


「ユウマは黙ってて!」


 怒られた。すると、ハルオが何かを木下さんに耳打ちした。


「ちょっとそこの二人、何をコソコソしてるの!?」


 二人でクスクスと笑っている。


「ユウマ、教えてやろうか?」


「え、ハルオ知ってるの?」


「よしユウマ、キサキの口を抑えとけ!」


 分かった、と素早くキサキの口を抑えた。


「ん〜ん! んんんんんん!」


 ちょっと! 何すんのよ、と言っているんだろう。激しく抵抗しているが、所詮は治癒術師の女の子の力だ。俺でも十分に抑えられる。そしてハルオの言葉を待つ。すると口を開いた。


「お前は胸を大きくしてもらったんだよな?」


 キサキの抵抗が止まった。俺の力も弱まった。キサキを後ろから抑えていたが、そんな事を聞くと、つい目がいってしまう。俺からの視線を感じたのか、キサキが素早く俺から離れ、両手で自分を抱く様に体に回し、赤い顔でこっちを見ている。


 そこでふと、思い出した。この世界で初めてキサキに会った時の違和感だ。


「そう言えば、この世界で初めてキサキに会った時に何か違和感を感じたんだ。眼鏡や髪型かなと思ったけど違ったんだよね。でも、今分かったよ! 胸が大きいね、この世界では」


 木下さんが自慢げに言う。


「ああ、Dカップにしておいた。ハイミと同じだ」


 ワナワナし始めたキサキに気付かずにハルオが続ける。


「ハイミはDカップなのか? もっとあるかと思ったぜ」


 それはね、と木下さんが答える。


「ハイミはよく食べるだろう? 食べた分は胸に優先的に付くんだ。もう、かなり育ったのかな? だからかなり体型は太りにくいと思うよ」


「という事は、ハイミはユウマを喜ばせる為に、よく食べているのかもしれないな」


 とんでもない事を言うハルオ。


「そ、そんな訳ないよ。ハイミは食べるのが好きなだけだよ」


「でも、ハイミはお前といる時は、よく胸や肩が開いたワンピースを着てるよな。あんな服でくっつかれたら堪らないんじゃないか?」


 木下さんも畳み掛けてきた。


「ん、人見君は積極的な女の子は嫌いか? ハイミは君に一生懸命尽くしてるんじゃないか?」


「そ、そうかな。そりゃ、嫌な気はしないよ。あんなに可愛い娘がくっついてくるんだから」


 周りが見えなくなってきた俺。ハルオが面白がって言う言葉に、横で震えてるキサキに気付かずに答えた。


「で、ハイミの胸はどうだ?」


「うん、すっごい柔らかいんだよ。服の上からでも分かるぐらい」


 そこで、キサキの何かが切れる音が聞こえた……様な気がした。


「ちょっとあんた達、そこに座れ!」


 ビクッとビビる俺、ハルオ、木下さん。黙って言う事を聞く。


 キサキの説教が始まった。だいたいあんた達、とかなり長い説教だ。でも、キサキの説教の中身は、ハイミの胸の話をするな、ハイミの胸を見るな。たまに、あたしの胸だって負けてない、と言う様な事も言ってる気がする。


お読みいただきありがとうございます。

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