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ファンタジー・オブ・デスティニー  作者: 一条一利
第二章 アリス教国ルイビンベール
19/60

行間2 キサキの女子力アップ作戦開始?

お楽しみください。

「よし、この船は『小型客船キサキ一号』と名付けよう!」


 完璧なネーミングだ。我ながらセンスの良さを感じる。隣りで、えー、と言っている三人。この世界ではお姫様、現実世界では学級委員長といある意味サラブレッドなあたしが数分考えて導き出したネーミングである。悪いわけがない。ルイビンベールとアリウスの片道だけの付き合いというのが勿体ない。国に戻ったら船体に大きく船名を書く様に航海士兼船長に頼んでおいた。ハイミが、航海士さん、顔が引きつってたよ、と言っていたが、どういう意味だろう。



「うわ〜、凄い料理! ど、どれから食べようかな」


「ハイミ、別に料理は逃げないからゆっくり食べたら?」


 今にもヨダレが垂れそうなハイミ。それじゃあ、と言って大きな取り皿に沢山料理を取っている。すぐに取り皿は一杯になったが、また新しい取り皿に料理を取っている。それが一杯になったら次の取り皿にはフィッシュカレーを大盛りよそって来た。


「そ、そんなに食べるの?」


 この細い体にこんなに入るのか? と思い尋ねる。


「うん、楽勝だよ。もしかしたらルイビンベールの料理はしばらく食べれないかもしれないからね」


 ユウマとハルオはいつもの事だよ、と慣れている様子だ。


 あたしな大き目の取り皿に野菜を六割、魚を三割、お肉を一割の割合で入れた。お肉はあたしの最大の敵だ。


 以前、近所にできた唐揚げ専門店にハマり、お母さんに言ってよく買って来てもらっていた事があった。その時は一ヶ月で三キロ太ってしまった。


 また、近くのスーパーにある惣菜コーナーのソース豚カツにハマったこともある。お母さんが仕事で遅い日は惣菜コーナーでソース豚カツばかり食べていた。その時も一ヶ月で三キロ太った。育ち盛りだったのかな、てへっ。


 そんな悩み多き乙女の横で、現実ではあり得ないだろうという様な絶世の美女はバクバクと食べている。


「うわー、美味しい! わっ、これも美味しい! キサキ、ちょっと聞きたい事があるんだけど」


「えっ、何?」


 料理の事だろうか? だとしたら分からない。こっちの世界に来てまだ一週間だし。


「ルイビンベール料理のレシピってコックさんに言えば教えてもらえるかな? できればここの料理全てのレシピが欲しいな」


「えっ、さぁ、それは聞いてみないと分からないわ。ハイミって料理出来るの?」

「うん、料理は大好きよ。まぁ、多分レシピを見なくても似た様にはできると思うけど、せっかくなら同じ味で作りたいじゃない」


 料理も出来るのか。完璧じゃん。


「うん、後で料理長の所に行ってみる? レシピが門外不出って事は無いと思うし」


 うん、約束ね、と言ってまた食べ始めた。



 食べ終わって調理場に行った。この船にコックは二人乗っているが、料理長は恰幅のいいおばさんだった。もう一人は料理長の娘だという、こちらも恰幅のいい女性だった。急に来たお姫様に驚いていた。


「これは、姫様。わざわざこんな所に来て下さるとは。いかがなされました?」


 深々と頭を下げる二人。すると、ハイミが聞いた。


「そんなことよりも聞きたい事があるんですが、お姫様がこの船に乗っている事には驚かないんですか?」


 料理長がハイミを見て言った。


「あら、可愛らしいお嬢さん。どこかのお姫様かしら?」


 料理長の娘が言う。


「ルーべリアのお姫様らしいよ、お母さん。ルーべリアのお姫様も可愛いですね」


 それを聞くとハイミが照れながら言う。


「そんなぁ〜、お姫様なんて。やだぁ〜。ルーべリアのお姫様はわたしとは比べ物にならない美しさでしたよ」


 両手を後ろに回して、やだぁ〜、と照れている。可愛くてずっと見ていられるが、目的を忘れてる。


「料理長、ハイミがルイビンベール料理のレシピが欲しいらしいんだけど貰えるかしら?」


 料理長は少し驚いた様にしていたが、快く了承してくれた。


「勿論いいですよ。アリウスに着くのは明日の昼の予定なので今日の夜にでもまとめておきます」


「本当ですか!? ありがとうございます! 全ての料理を食べましたが、料理長の腕の良さが分かりましたよ」


「あら、嬉しい。国王から姫様を任されたから、娘と一緒に腕を振るったのよ」

 凄〜い! と感激している。食べる時もキラキラしているが、料理の話しをしている時も物凄く楽しそうだ。


 次の日にレシピを貰っていた。どうやらルイビンベールでなければ手に入らない食材や香辛料もあるらしい。


「ハイミちゃん、この食材とこの香辛料はルイビンベールじゃないと手に入らないの。手頃な物でも代わりにはなるからそっちのレシピも付けとくわね」

「ありがとう、おばさん。でも、この香辛料は再現してみようかな。あれとあれとあれで似た感じにありそうじゃない?」


 レベルの高い話しをしている。というか、めちゃくちゃ仲良くなっている。いつの間に。


 可愛くて、痩せているけど出る所は出ていて、料理も出来る。魔術の腕もいいらしい。反則だよね、こんな娘。でも、憧れる。



 よし、この世界にいる内はハイミを研究して女子力をアップしてやるんだから!



第2章終了です。どんどん行きますよ!


初めてのキサキ主人公でした。

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