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恋と服従は紙一重  作者: こけし
恋と服従のプロローグ
1/1

00 恋と服従の中間地点

内容をすこーーーーし修正してます

察してください。

もうすぐ高校が始まって1ヶ月が経つ

最初は静かだった教室も徐々に騒がしくなってきて

みんなもクラスの雰囲気に慣れてきているようだ


さて。


突然だが、俺には今好きな人が居る。


この1ヶ月、ずっと彼女に片思いを続けてきた。

彼女の席が俺の右斜め上にあるせいで、授業中もチラチラと視界に入って

一向に授業に集中できない。このままじゃ勉強が手につかず成績的に危ない・・・


高校生活1ヶ月目 あくまで"クラスメイト"として知っている彼女の事。

まず、彼女の名前は霧生(きりゅう) (あかね) 右利き。

血液型はO型で 身長157.5cm 勉強はかなりできるが 運動に疎い

あくまで"クラスメイト"として最低限の情報だ ストーカーじゃない。


ちなみに、一目惚れだ。


一目惚れとか最後にしたのいつだっけ・・・小1の時の綾乃ちゃんかな

なつかしいなぁ、パンツは白の日が多かったよ・・・。



ということで、彼女に告白しようと思っているわけだ。

いやなにもいきなり告白して彼女にしようというわけではない そんなことできるわけが無いからな・・・

成功を目的に告白するわけじゃなく。一度想いを伝えて相手に自分を

認識させることがあくまで目的なのだ。


中学の時の友達に


「お前ってくだらないことにばっかり頭まわすよな」


とか言われたが、まったくもってその通りだ


自分で言うのも何だが、こういうことに関しては行動力もかなりあると

自分でも思っている。まぁ例えばだが、もうすでに彼女の机に

ラブレターなるものを入れているあたりとかな・・・。


祐介はドヤ顔で天井を見上げている




       -放課後-



うむ、告白の場は無難に教室と思ったが 狙い通り、今日は誰も教室に残っていない。


無論、彼女・・・霧生さんも居ない。


一応呼び出した時間まであと5分くらいあるけど、さすがの俺も緊張してきた。



時間まで3分を切った


「ま、まぁこれくらいは想定内だ・・・」


しかし彼女は一向に姿を見せず 時間が刻一刻と迫ってきた


え、バックレとか結構落ち込むんだけど・・・告白するとか以前に

元から嫌われてんの・・・?



(ガラッ)


教室のドアがいきなり開いた。


ビックリしすぎて心臓が止まるかと思ったが、同時に安心した・・・

来てくれたのか、よかった・・・。俺は下心を出さないようにあくまでクールに

後ろを振り向いた


「あれ。祐介なにやってんの?」



・・・・・・・・・。


そこには呼び出した人とは違う女の子が立っていた



「え、ちょっと無視??ねぇ!!」



・・・・・・・・・・・・・・・。


なんども呼びかけるが 祐介は固まったまま動かない

すこし沈黙してから 祐介が口を開いた


「恵、なにやってんの・・・?」


神崎(かんざき) (めぐみ)。俺の幼馴染であって同じクラスの女子だ。

なぜかコイツとは小学校からずーっと同じクラスとかいう記録を

達成しているくらいの腐れ縁だ。


「いや、お・・・わ、忘れ物だし!?」


キョドりすぎだろ俺!!!もっと冷静になれ冷静に!!


そーなんだ。と恵は興味なさげに自分の机からプリントを取り出し 雑にバッグの中に押し込む


「じゃ、あたし帰るね あんたも早く帰りなよー」


おう。と恵を見送って 時計に目をやると時間は5時半を指していた

もう来ないだろうな・・・。


「帰るかぁ・・・」


日を改めることにしよう。霧生さんも何か用事だったかもしれない

うん、そうに違いない そういうことにしよう。














あぁ、ビックリした。

恵はそんなことを思いながら教室を去る。


忘れ物を取りに教室に戻ったら、まさか祐介が居るなんて・・・

しかもあの焦り方は普通じゃないよね・・・。


まさか、クラスの不良グループに呼び出されたとか・・・?

あいつ昔からひょろっとしててひ弱だったからなー。あとちょっと変態だった。

でも、それにしては一人なのはおかしいし、争った後とかもなかったよね。

じゃあ何で?逆に誰か呼び出したとか?でも祐介が不良を呼び出すのもあり得ないし。・・・・・・あ。

恵はピタりと立ち止まる。


まさか・・・告白・・・?






あー、無いな。あるわけがない。祐介に女の子呼び出して告白する勇気とか

あるわけないじゃん。そんなん小さい頃からずっと一緒だった私が一番しってるし。あー何だったんだろ・・・気になるなぁ


そういえば、祐介とは高校生になってからあまり話をしなくなったかも。

話し出せば今まで通りに会話できるけど 積極的に話しかける事は少なくなった気がする


「ちょっと・・・寂しいかも。」


って何言っちゃってんだあたし!!落ち着け!!!

あぁぁあああ!!!何一人で物思いに耽ってるんだ!!!!


その時だった

赤面しながらジタバタしていた恵に何か小さい物体が直撃した。

"それ"はやや動きがひるむものの すぐに体制を立て直した。


「あっ、ごめんなさい!大丈夫ですか・・・?」


恵は慌てて謝る。


「大丈夫だ、心配ない。」


少女のあまりに冷静な返答に恵は あっ、すみません。 と、つい敬語になってしまった



ハッと我に帰ると少女の姿は無かった。なんだったんだ・・・。

しかし恵は、その少女に少しだけ見覚えがある事に気づいた


「あれ?今の女の子って確か・・・」












祐介はまだ教室に残って悶えていた。


はぁ・・・。霧生さん、何で来てくれなかったんだろう・・・。

そりゃ、絶対来てくれるとは思ってないけど 手紙まで出したんだ・・・期待するだろ普通!!!


それに恵だ!!!期待させやがって・・・おかげでテンションガタ落ちだ・・・。


そういえば、恵とはずいぶん久しぶりに会話をした気がするな。

挨拶とかはしてたけど 中学の時みたいにずーっと話してるわけじゃないし。

高校に入ってから、心なしか距離が遠くなった気がする。

幼馴染の女の子とかすっげーステータスだから大事にしたいんだけどなぁ

普通にうらやましがられるし、自慢とかできるじゃん。


ま、恵のことは置いといて。


問題なのは霧生さんの事だ。今日、教室に来てくれなかった事が

そもそもの計算を狂わせてしまった・・・

この場合も想定しておくべきだったか。

いや、もし来なかったらどうしようと思ったものの

来たときの事を考えたらもうそんな事考えられるはずもなく、結局今に至ってしまったわけだ。



手紙、読んでないのか・・・?俺はとっさに霧生さんの机に目をやる。


・・・・・・。違うんだ。これは下心とかそういうんじゃなくて

確認だ、あくまでも彼女が俺の手紙を読んでくれたのかどうかの手がかりを探すだけなんだ。

決して、何かおもしろい戦利品を期待しているわけじゃない。本当だ。一応。たぶん。


誰もいないとはいえ、他人の それも自分の好きな人の机の中を漁るという行為に、心の中は罪悪感に満ちていた。

体感的には小学生が好きな女子のリコーダーを舐めちゃうアレに近いドキドキだ。


俺は霧生さんの机の中をそっと覗き込む。











う~ん無いなぁ。

霧生さんに宛てた手紙は彼女の机の中では見あたらなかった。

やはり読んだのだろうか。内容を把握した上で今日のバックレを決め込んだのか。やっぱり帰ろうかなぁ、もう6時回っちゃってるし。


そう思った祐介は、ふと さっきガサ入れした彼女の机に目をやり

ゴクリと唾を飲む。


・・・いや、違うんだ。これは下心とかそんなんじゃない。

俺の、男しての。男子高校生としての使命感がそうさせるのだ。

女子の座っていた椅子に座ってみたいという些細な男子の願いを

今、この手で叶えて、誰が俺を恨むだろうか。


俺は霧生さんの椅子に手をかけた。


(ガラッ!)


教室のドアが開いた。


あえてもう一度言おう、教室のドアが開いた。



あ・・・ありのまま 今 起こった事を話すぜ!


『俺は、霧生さんの椅子に座ろうとして椅子に手をかけたら 教室のドアがいきなり開いて そこには霧生さんが立っていた。』


な・・・何を言っているのかわからねーと思うが 

俺も何がなんだかさっぱりわからなかった・・・。




いやいやいやいやいや!!!!


ちょっと状況の整理ができない!!!

何がなんだか本当にわかんないぞ!?!?

でもこれだけは知ってる!!!俺、今すっげぇピンチだ!!!!


でも、まぁとりあえず 椅子に座る前でよかった。マジでよかった。

今ならまだなんとかごまかせる。がんばるんだ俺!!!!



「あ、こんにちは。」


そうだ、あくまで自然に話題を逸らせ!!!




霧生さんは少し黙ってこう言い放った


「何でお前は私の椅子に座ろうとしている?」


・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・。


バ、バレてる!!!!!!!!

やべぇバレちゃってるよ!!!そりゃそうだよ!!!!!

この姿見たら誰だってそー思うよ!!!俺がバカだったよ!!!



「え?い、いや なに言って・・・これは・・・その・・・」


お、おおお 落ち着け俺・・・冷静になるんだ。

今までお前はこんなピンチには何度も直面したじゃないか。

小学校の時に体育の授業前に女子更衣室へ強行突破を試みたときだって

中学生の時に水泳の授業中に抜け出して女子の下着を盗もうとしたときだって


結局バレて殺されかけたけど こうやって生きているじゃないか!!!

乗り切れる、乗り切れるぞ!!!


「えっと、その 席間違えちゃったんだよ?」


「嘘をつけ、さっきからずっと私の椅子の前をウロウロしていたじゃないか」


やっべぇ。まさかずっと見ていたのか、入るタイミングを見計らっていたのか!

霧生さん、俺の今までの人生の中で出会った女子の誰よりも

洞察力がズバぬけてやがる・・・。


「そ、そうだっけ。いやぁ最近物忘れがね?うん。」


霧生さん完全に呆れてるよ・・・。


「あくまでシラを切るつもりだな・・・。まぁいいだろう」


やったぞ なんか知らんが許してもらえた!!!


「で、お前が西園祐介だな?」


思い出したが、たぶんこの物語が始まって初めて俺の名字が晒された。

そんな事は今はどうだっていい!!!


「そうだけど、俺に何か用?」


霧生さんはきょとんとしていたが 一瞬で表情を変えてまた話始めた


「はぁ?お前が手紙を寄越したんじゃないのか?」


そうだったーーー!!!!いろいろ衝撃的で忘れとったわ。


「そ、そういえばそうだったよ!!あははは!!!」


祐介はバカ笑いしてその場をごまかそうとした


「そうか、すまないな。少々時間に遅れてしまった。」


あぶねぇ・・・帰らなくてよかったわ・・・俺天才かも。



「あ、あぁ 気にしないでくれ」


霧生さんはデフォルトの無表情からあまり表情を変えることがない

だが、俺はこの1ヶ月で最低限の彼女の表情のわずかな違いを把握している

変態じゃあない。観察力があるだけだ。


「ところで、お前は私に用があって呼び出したんじゃないのか?それとも、お前が私の机に座るところを見せつけたかったのか?」


ご覧の通り霧生さんのしゃべり方は なんだがお嬢様って感じがする

金色でサラサラの髪の毛がそのイメージをさらに膨らませる

なによりこの偉そうな態度が実にそそる。


とにかく、ここまで来たからには 予定通りに任務を遂行しなければ

あくまでフェイクの告白なんだ 緊張することはない。

俺の輝く高校生活の第一歩じゃ!



でも好きって気持ちが本当な以上 すこし照れくさいな・・・。



「そ、そうなんだよ 霧生さんに伝えたいことが・・・」



「なんだ?私も予定があるんでな 手身近に頼むぞ」




あーヤッベ ドキドキしてきた。 今まで女子に告白は何回かしてきたけど、こんなにドキドキしたのは初めてかも知れない。


ちなみに、全部フラれた。



「霧生さん、あのさ」



ん?と霧生さんが少し距離を積める。

近い近い!!!やめて霧生さん!!!!!


あー はやくしろ!!言え!!言うんだ俺・・・!!



「あ・・・お、俺と 付き合ってくれないか?」


決まった。シンプルに、霧生さんが好きだと伝えられる魔法の呪文!!!


「・・・。」


霧生さんは動かない。


「あの、霧生さん・・・?」


するとやっと霧生さんが口を開く


「それはつまり私が好きだということか??私がか?」


「は、はい」


つい敬語になってしまった


そうやって聞き返されるの 結構恥ずかしいんだけど・・・


霧生さんは何か考えてるようだが いったい何を考えてるのかは

さすがの俺でもわからない。

5秒くらい沈黙したあとで、霧生さんは顔をこちらに向ける

明らかに何かひらめいた時の顔だが そんなことはこの際どうでもいい。


「いいぞ 付き合っても」


・・・・・・。


・・・・・・・・・・・はぁ?


え、えっ ちょ、は???


「え!?!?」


ヤバい、声に出た。


「なんでお前が驚くんだ?」


「あ、いやごめん ・・・本当にいいのか?」


「だからいいと言っているじゃあないか。」


「いや、だって 彼女になってくれってことだよ!??俺の!!!」


わかっている。と霧生さんは頷く


や、やった・・・なんか知らんがやったぞ!!


「ありがとう霧生さん!」


「あぁ、これからよろしくな」


どうしよう 今すぐにでも窓から飛び降りたい気分だけど

ドン引かれたらいやだから我慢しよう


「じゃあこれからはお前のこと 祐介って呼ぶからな」


いきなり名前呼び!?!?なに、俺ってもしかして霧生さんに好かれてたの???違うか・・・



「お、おう。よろしく、霧生さん」



「"霧生さん"って呼び方はやめろ 茜でいい」


「あ、あぁ よろしく、茜ちゃん!」


「”ちゃん”?・・・まぁいいだろう」





アカネは教室の時計に目をやり

時間がないからと言って教室を出ていった。



「・・・とにかく帰ろう・・・」

俺は喜びをかみしめながらガッツボーズをとって教室をあとにした




この時の俺はなぜあんなに簡単に告白を受け入れてくれたのかを

謎に思わなかったんだろう。








♪♪









やっぱりおかしい。




そんなことを思いながら、祐介は通学路を歩いていた。


普通に考えて絶対おかしいだろ!同じクラスとはいえ話したこともない男子の告白を

普通一発目でOKするのか!?

俺って勝ち組やん!?

いやいやまて、最近の女の子はそれが普通なのかも・・・

いやでもさすがにこんな・・・絶対なんかありそうだし・・・でも・・・やったぜ!!!!


不可解なことはともあれ、祐介は浮かれていた。

頭の中は既に彼女のことでいっぱいだった。


というか、昨日本人に茜って呼べって言われたけど 

さすがにそんなすぐに呼び捨ては普通にアレなんだよなぁ個人的に

お、いろいろ考えてたら学校が見えてきたぞ。









      -教室-




「オッス祐介!」


一人の男が祐介に掴みかかってきた。


「なんだ英二かよ。」


こいつの名前は五十沢(いがさわ) 英二(えいじ)

身長174cm  高校で初めて出来た友達で、なかなか話の分かるイイ奴だ。

どちらかと言うとやんちゃしてるくせにテストとかの点数が良いし

なんか結構女子にモテモテだからいつかシバく予定



なんだとはなんだ!俺じゃ不満か!!と、英二が飛びついてきた。祐介はそれをかわして席に向かう。


英二は誰とかまわず、しかも男女問わず抱きついたりする癖があるけど

本人曰く友情を育むためのスキンシップらしい。だからと言って

女子に飛びついても もう、英二くんの変態! とかで済むからマジで一回死ねばいいと思う。



「なんだよ祐介、つれないなぁ」



英二はとぼとぼ自分の席に戻っていく



ふぅ、あいつは朝から騒がしい奴だ あんなのがモテるとかもう許せない。

いや、まぁ英二とか今はどうでもいい。



「おはよ、茜ちゃん」


祐介は彼女の机に手をかける

やっぱ呼び捨てはやめておこう


「・・・遅い。」


「へ?」


「遅いぞ祐介、もっと早く来たらどうだ?」


やっぱこの口調は変わんないかぁ だが、それがいい!


「ご、ごめん・・・茜ちゃんは何時くらいに来てるんだ?」


ってなんで俺があやまるんだ・・・?


「8時には教室に入るようにしている」


はえぇなオイ、いつも俺が朝ごはん食べながらしま○ろう見てる時間じゃねぇか!

しま○ろうは中2の頃、朝たまたまTVで見かけて結構おもしろかったので

それからは毎朝見ているくらい好きだ。って今はしま○ろうの話じゃない!


「そ、そっか・・・じゃあ俺もそのくらいに来るようにするよ」


うむ。彼女は頷く


「ところで祐介、呼び方についてだが・・・」


あ、やっぱツッコんじゃいます?


「いやー・・・いきなり呼び捨てはちょっとあれかなー。なんて」


「昨日もそうだが、そんなことに気を使わなくてもいい。まぁ、祐介がそれでいいならそれでいいが」


あ、いいんだ。


「じゃあこれからも茜ちゃんって呼ぶよ?」


「あまり連呼するな・・・皆に聞こえるだろう」


俺が茜ちゃんって呼んでるの聞かれるのって、何かマズいのか・・・?

呼び捨てのほうがよっぽどマズい気がするけど






朝のホームルームのチャイムが鳴り、担任が教室に駆け込んできた。


「うぃーっす、元気かお前らー」


「元気でーっすアサミちゃん!!!」


クラスの男子が声をあげる。ん・・・?ありゃ英二か。


「アサミちゃんはやめろっつってんだろ五十沢。先生をつけろ先生を!」


「はーい、アサミちゃん先生!」


「お前なぁ・・・」



高坂(こうさか) 麻美(あさみ)先生。

俺たちのクラスの担任教師だ。正直こんな適当なのが教師で、しかも担任なのが不思議でならない

いったいどんなコネを使ったのか分かったもんじゃないよ・・・

でもまぁ、生徒との絡みは結構多くて クラスにもすぐに馴染んでいったし

俺も教師面を除いていい人だと思ってる。ただ少し元ヤンっぽいのが気になるが

そこそこ見た目もいいからクラスの男子に人気なんだよなぁ、俺の好みではないけどな!!!


「お前ら、なんか来週から委員会活動始まるから、ここに書いてる委員会から適当に振り分けといてくれよ。おい山田、これみんなに配ってくれ。」


あー、またこの人は適当なことを・・・!!


「じゃ、ホームルームはこれで終わりだから もう解散していいぞ。


あ、そうだ。と麻美先生は続けた


「学級委員長とかいうのも決めとけって上に言われてるから、それも決めといてくれよ。学校始まって1ヶ月たつのに決めてないのかって怒られちったよまったく・・・。」


いやいや、そんなの俺たち初耳だし!!話し切り出さなかったのどこのどいつだよ!!!


「あの、先生。学級委員長の話ですが、その話は今初めて聞きました。分かっていたならばもっと早く生徒に告知するべきではないですか?」


一人の男子生徒が立ち上がり、麻美先生にそう論議した。山田だ。


山田とは特に話したこともないし、それほど興味もないから特に知ってることはない。


麻美先生は山田に歩み寄って、肩を軽く叩く。


「お前まじめだなぁ・・・よし、お前学級委員長な!」


麻美先生、満面の笑みでとんでもないこと言いやがった!!さすがに適当すぎんだろ!!

しかし麻美先生のそんな適当な判断にクラスメイトは いいんじゃないかな、山田だし。

みたいな雰囲気になってきた。 しかも本人もやる気だ。まぁそれならいいんだけど・・・


「わ、わかりました・・・僕がやりましょう。」


よし、今日から山田が学級委員長だ。 麻美先生がそういうとクラスメイトが拍手を始めた。

やれやれ、大丈夫なのかこのクラス・・・。











        -昼休み-





ふぅ・・・やっと午前の授業を乗り切ったぜ・・・

睡眠時間とか関係なく、授業中はなぜか眠くなる。

教師たちの眠りの呪文は某RPGに出てくる催眠呪文並みに強力だろう。

しかしはらへったなぁ・・・


祐介は茜の前に立つ。


「茜ちゃん、一緒にご飯食べよう!」


「お、祐介。ちょうどいい所に来たな」


そういうと茜は祐介に右腕を突き出して 握っていた拳を開く


「・・・え?ナニコレ」


俺の手には茜ちゃんの手から転げ落ちた500円玉が乗っていた


「焼きそばパンとコーヒー牛乳。」


確かにそう言った


「・・・はぁ?」


「だから、焼きそばパンとコーヒー牛乳買ってきてくれ」


いやいやいや、意味がわかんないッス姉貴。


「え、なんで?」


祐介はきょとんとしている


「なんでって、男は好きな人にに尽くすのが普通ではないのか?」


「尽くすのベクトルが違う!!」


俺は慌てて訂正した


「そ、そうなのか?」


「そうだよ!なにこれパシリじゃんか・・・」


茜はすこし申し訳なさそうにしている


「すまない、恋人とかそういうのはまだよく分からなくてな・・・」


茜は頭を下げた

祐介もさすがにそこまでされると困ってしまった


「い、いいよ・・・もう気にしてないから。それより、パンほしいなら一緒に買いに行こう?」


「そうだな。」


俺は茜ちゃんと購買へ向かった。




















怪しい。

恵は教室を出て行く祐介達を見ながら弁当を頬張る


あの時ぶつかったのは間違いなく霧生さんだ、しかもあれは絶対教室に向かっていた。

昨日なぜか一人で教室に居た祐介、そして一人で教室へ向かっていた霧生さん 今日の2人の距離感。

それら全てを踏まえれば、だんだん話の辻褄があってきた。


やっぱり、そういうことなのかなぁ・・・。


「はぁぁ・・・」


恵はため息をつく。


「どうしたのメグちゃん、元気ないねぇ もしかして、失恋ですかァー?」


うぅ、カナはこういうことじゃ無駄に勘がいいな・・・。


(みなみ) 香奈(かな)

中学生の時に知り合ってから女の子の友達では一番仲がいいかもしれない

兄が野球をやってるとかで野球の話をよくしてくるけど、正直内容は理解できない。


「そ、そんなんじゃないよ!?」


「あれあれぇ?この反応は図星ですかな!?」


「あーうるさいうるさい!ほっといてよ!!」


「ごめんごめん、メグちゃんがため息とかただ事じゃないって思ってついね!」


「あ、あたしだって落ち込んだりもするよ・・・」


「あー、やっぱ落ち込んでるんだ?」


カナはパックのいちごミルクを飲み干してストローをくわえる


「で、で?恋の相手は誰かな?五十沢君とか?あの人かっこいいからねぇ!ま、私のストライクゾーンではないけど?」


「だ、だからそんなんじゃないっていってるでしょ・・・!!」


動揺した恵は思わず声をあげる。クラスの注目がこちらへ向いた

恵はあわてて目をそらす。


「ちょっと恵、落ち着きなって!まぁ、私も深くは聞かないけど?相談したくなったらいつでもおいで!私こういうの得意だし!」


「あーはいはい、あてにしてますよカナちゃん様」


・・・それにしても、やっぱりあの2人・・・付き合ってるのかなぁ・・・?

祐介のことなら誰よりも知ってる自信あるし。あたしだって、祐介のことが・・・


恵はそんなことを考えながらパックのりんごジュースにストローを突き刺す。
















はぁ・・・やっと帰ってこれた・・・。

購買って、昼はあんなに込み合うのか・・・


「茜ちゃんって毎日あの購買でお昼買ってたのか?」


なぜそう思ったかというと

茜ちゃんがこの1ヶ月、弁当を持ってきて食べたのを見たことはないからだ

ストーカーじゃない。


「まぁな。おかげで昼食を手に入れるだけで一苦労だ」


「弁当は?」


「私は料理などしたことないからな。」


「お母さんとかは?」


「母は忙しい。」


「でも、毎日パンじゃ飽きるだろ」


「そうだな、でももう慣れてきた」


そういうとアカネは、買ってきた焼きそばパンにかぶりつく


「ふーん。」


俺も自前の弁当のおかずを口に運ぶ


ちなみに俺の弁当は自前だ。

父は俺が物心つくまえに離婚してしまったからあまり記憶がない

母は朝から働きにでているので家族の食事はほとんど自分で。弁当も自分で作るようにしている。



「じゃあさ、俺が茜ちゃんの分まで弁当つくろっか?なんつって」


ま、余計なお世話だよな


「・・・本当か?」



「・・・えっ?」


「弁当。つくってくれるって・・・」


喰いついてきた!!


「いいけど 味は保障しないぞ?」


「構わない。作ってるれるという行為だけでありがたい。ぜひ頼む・・・」


茜は照れ臭そうに言った



へぇ・・・茜ちゃんってそういうの受け入れないタイプかと思ってたけど、案外そうでもないんだな。


「おう、まかせとけ!」


こうして俺は、茜ちゃんの毎日の弁当を作ることになった。

なんかだんだんやってる事が恋人というより召使っぽくなってきてる気がするが

まぁたぶん気のせいだろう。そういうことにしておこう。









♪♪








はぁ。


祐介はため息をついて机に伏せる 時計の針は7時半過ぎを指していた

教室にはまだ誰も居ない。校庭で朝練をする陸上部と野球部の掛け声だけが教室に響いていた


茜ちゃんに言われて早く学校に来てみたが、この時間は教室に誰も居ないんだな・・・

今なら何をしてもバレないんじゃないか・・・?いや、特に面白いことは思い浮かばないけど

それにしても暇だ、暇すぎる!!8時には来てるって言ってたからここは当然先に学校に

到着しておくのが当然だとは思ったけど ちょっと早く着きすぎたな・・・


そういえば、この学校って何の部活があるんだっけ?

就職神学とかって部活やってると有利って聞いたし、なんかやったほうがいいのかもなー・・・


祐介は自分の鞄から部活動一覧と書いた紙を取り出した。


「運動部はダメだな、ダルいし。」


運動は別に苦手じゃないけど、普通にメンドいから却下だ。

えーっと・・・文化部は・・・


書道部、茶道部、芸術部、囲碁部、コンピュータ研などなど・・・

うっへぇどれもメンドくさそうだなぁ・・・。

名前だけで入部して幽霊キメ込むのも手だけど、後からぐちぐち言われるのも嫌だしな・・・

どうしようか・・・迷うなぁ・・・



ガラッ


教室のドアが開いた


「おはよ、茜ちゃん」


教室に入ってきたのは茜だ


「おはよう。来てたんだな」


「まぁね」


茜ちゃんは自分の席に着いて目線をこっちへ向けた こっちに来いという事だろう

俺はアカネちゃんの机の横に座り込んだ


「って言うか 本当にいつもこんな時間に来てるのか?誰も居ないじゃん」


「そうだな、もう何分かすれば人が集まりだす頃だ」


「へぇ・・・茜ちゃんは時間の支配者か何かなんだな」



「はぁ?なんだそれは」


マ ジ レ ス で す か ぁ


「ごめん忘れてくれ・・・」


「うむ、そうする」


そういえば、茜ちゃんは部活動とか入らないんだろうか、イメージ的には帰宅部なんだけど


「そうだ、祐介は何か部活動に参加するのか?」


「えっ?な、何で!?」


祐介は思わず挙動不審になる


「な、何でって、部活動紹介書を眺めてたらそう思うだろう普通」


そ、そういう事か・・・


「な、なんだ・・・てっきり心を読まれたのかとおもったよ・・・」


「ん?」


「あ、いや何でもない!」


「そうか、まぁいい」


「で、部活だよね?」


うむ。と茜は頷く。


「それが、まだ入るかどうかも決めてないんだよ・・・」


「ほう?」


「茜ちゃんは何か入んないの?」


すると茜は祐介の手に持っていた部活一覧表を取り上げて言った


「というか、もう私は部活に入ってるからな」


「マジで!?何部なの?」


「演劇部だ。」


意外!それは演劇部ッ!


「へぇ 茜ちゃん演技とか好きなんだ?」


あれ、でも。と祐介は続けた


「部活一覧に演劇部なんてなくないか?」


茜は顔を顰めて言い返す


「何言ってるんだ・・・よく見ろ。この芸術部というのは 漫研 演劇 文芸 の3項目があるんだぞ」


「マジだ・・・」


「それに、私は演技がしたいわけじゃない。小道具作りを担当している」


なるほど。


「へぇ・・・そういうの作るのすきなの?」


「まぁ、小物作りは私の趣味だな」


ふむふむ、意外と女の子っぽい趣味持ってるんだな・・・


「じゃあ俺も演劇部に入ろうかな・・・」


祐介がそう言うと 茜は祐介の肩を強く掴んだ


「本当か!?」


「えっ、そのつもりだけど・・・そんなに驚くことか?」


「あ、いや つい。すまない」


茜ちゃんはたまにいろんなことに過敏に反応するよなぁ


「いや、いいけどさ」




「ところで、祐介は道具作りと演技、どっち志望なんだ?」




「できれば道具作りかな・・・演技とかやったことないし」


まぁ茜ちゃんがいるってのが決め手だしな


「そうか、わかった。」


「じゃあ、放課後演劇部の部室に案内してくれないか?」


「了解だ」


ふと周りを見渡すと 会話に夢中で気づかなかったが、もうクラスメイトが大分揃っていた

時計に目をやると、チャイムが鳴るまで数分だった

生徒は全員揃ったんだろうか いつものように騒がしい教室だ。




ガラッ



「おーいお前ら、席に着けー」


「アサミちゃんおはよー!」


「五十沢お前は何度言えばわかるんだ!」


何度目だよこの2人のこの会話・・・


キーンコーン。チャイムが鳴った。











        -昼休み-











「むむむ・・・」


恵は飲みかけたリンゴジュースのパックを眺めながら顔を強張らせた


「おうおうおう!また何か悩んでんのかいお嬢さん?」


「カナ、今日はやけにテンション高いね・・・別に何でもないけど」


昼休みも恵は自分の席を立たずにそのまま昼食を食べているが

そこに毎回のように香奈がやってくるというのが定番となっている。


「いやいやー、メグちゃんのその顔は何か悩んでる時の顔なんだってー!それにーこのテンションは私のノーマルですよノーマル」


恵は鞄から弁当を取り出した


「どんな顔よ・・・」


相変わらずの謎テンションだ、この子は・・・相手をするのは疲れるけど、まぁ慣れたものよね


香奈も机の上にビニール袋を置く。


「あれ?そういえばカナ、今日はコンビニでご飯買ったんだ」


「そうなんだよー、お母さん、ご飯炊き忘れたんだって」


へぇ。と言いつつ恵は弁当箱のふたをあけた


「それでね!コンビニで何かお弁当でも買おうかと思ったんだけど・・・」


そういいながら香奈は袋からパンの包みを取り出す


「あれ?弁当買ったんじゃなかったの?」


「ふっふっふ・・・これを見るのだ!」


香奈は包みを開けて中のパンを取り出した


「なにこれ。」


どうやらハンバーガーらしいソレには、なぜか大量にチーズのようなモノが挟んであった


「フィフスバーガーだよ!知らないの?」


「知らないよ・・・」


「駅前にさ、『こけしバーガー』っていう、謎が多いけど、食べ物がとにかく美味しい!って話題になってる

ファストフードのお店があるって噂を聞いてたんだよ。特にこのフィフスバーガーはヤバいって聞いてたんだ~

そんな時にさ、これを見つけちゃったワケ。こりゃ買うしかないでしょ!?」


との事だ。香奈は得意げに『こけしバーガー』について語ってきたが、恵は特に興味も無かったので適当に頷いてみせた


「あ、ところでさー。」


香奈はフィフスバーガーとかいう物体にかぶりつく


「ほっほははひはっはへはほ?」


「飲み込んでから喋りなよ」


香奈は親指をグッと立てた。たぶん「OK任せろ!」という意味だろう


口に頬張ったそれをいそいそと飲み込むと、再び続けた


「で、何を悩んでたのかな?お嬢ちゃんは」


ずっと思ってたけど、この子はなんだ アホなのか?


「いや、まぁ悩みというか。祐介とさ、霧生さん?って付き合ってるのかなぁって」


「えっ、メグちゃん知らなかったの?」


香奈は意外そうに恵を見つめる


「えっ、じゃあやっぱり・・・」


「うん、どこの誰情報かはわかんないけど そういう話が広まってるよ ゆーくんもついに彼女持ちですよぉ」


ところで香奈は祐介を中学生の頃から『ゆーくん』と呼んでいる


「へ、へぇ・・・そうなんだ・・・」


祐介が・・・ね。


「あ!!・・・なるほどねえ。ゆーくんが取られちゃってくやしいと?」


香奈はフィフスバーガーと一緒に買ったであろうミルクティーを飲みはじめた


「そ、そんなんじゃないわよ!」


「またまた~!中学の時ずっと一緒だった私にわかんないわけないでしょ??YOU言っちゃいなYO!」


「だからあんたの今日のそのキャラはなんなのよ!!」











「祐介、焼きそばパン買うからついてきてくれ。」


昼休みの始まりのチャイムが鳴ると、茜はすぐこっちに向かってきてこう言った


祐介は首を傾げた


「え?」


「え?とはなんだ、行かないのか?」


あれ、これも素なんですかねぇ


「いや、だってほら・・・これ。」


祐介は自分の鞄から弁当箱を2つ取り出した


「・・・あっ。」


思い出したようだ


「す、すまない。私としたことがすっかり忘れていた・・・」


「気にすんなって。はやく食べようぜ?」


そ、そうだな。そういうと茜は自分の机に戻っていく

祐介も自分の椅子を持って茜の席へむかった。


祐介が弁当箱のフタを取ると、茜も少々申し訳なさそうに弁当箱を開いた


「い、いただきます・・・」


そういって茜はおかずを頬張る


すこしだけ間があったが 小さくつぶやいた


「・・・おいしい。」


「そりゃよかった」


アカネは弁当の中身を次々と平らげていく

それにしてもすごい食べっぷりだ。


「しかし、まさか本当に作ってきてくれるとは思わなかった・・・すこし驚いたな」


「そりゃー作るって言ったしな。ま、気に入ってくれたならいいんだけど」


話しているうちに茜は弁当の中をカラにしてしまった


マジでどうなってんだ茜ちゃんの胃袋・・・!?


「・・・ごちそうさま。」


茜は満足そうにそう言った


「お、おそまつさまでした・・・。」


茜ちゃんも正面から向き合ったら結構女の子っぽいところが多いし

見てるだけじゃわからないかわいいところもたくさんあると 祐介は思っていた


祐介は茜に出会ったとき そして一昨日の告白のとき

それ以上に茜に夢中になっていた




キーンコーン。昼休みを終えるチャイムが鳴った。

ちなみに


♪ は場面の分かれ目


♪♪ は翌日(または大きな時間の経過)


です(たぶん)

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