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そらのきせき  作者: 八生
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#002

「……知らない天井」


 なんて言ってみたものの、実際は天井なんて無く綺麗な青空が見えるだけだ。この点に関して色々と言いたいことがあるが、もっと大事なことがある。


「俺は……俺は! 中二病じゃなかった!!」


 あの夢を見た限り、もはや夢ではなかったかもしれないが、俺は異世界に転移したのだろう。轢かれた後に起きた場所が建物1つ見えない外とかありえないし。


 あの深海じゃない神界で話した病んだ神(仮)もしくは最高神との約束が本当なら、俺はこの世界の最強だった奴の数万倍の力を持つことになる。それがもし魔王とかだったら勇者以前に俺が魔王になってしまいそうだ(笑)。


 まあ争いはないって指定したしただたんにモンスターがいるだけだとは思うが用心に越したことはない。無論、俺がビビリってわけではない。絶対にそうだ。


「東に1時間ね……俺方位なんてわからんぞ?」


 そう考えたと同時に、自分が向いている方向が北だと頭に響く。一瞬驚いたものの、最高病神(決定)が色々とくれるとか言ってたのを思い出し、これもその1つだろうと考える。最高病神にしてはなかなか気の利いた能力じゃないか!!


 能力を使って東の方向に歩きながら、異世界に来た時にすべきことを実行する。知識源は色々なファンタジー小説である。


 まず始めにすべきは前世の記憶の有無だろうか。これに関してはスラスラと出てくるので問題ない。次に持ち物の確認。見たところ服は旅人の着そうな厚手の服。特に上質な素材を使っているわけでも無さそうなので、最高病神がこの世界の一般的な旅人の服でもくれたのだろう。そして最高病神にゲーム風の異世界といったのを思い出し、それっぽく行動する。


「ステータス」


 ちょっと思いついただけだが何気なく言ってみると、目の前に定番のステータス場面が現れた。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


名前:ソラ


職業:旅人


レベル:999

HP:999/999

MP:999/999

攻撃力:999

防御力:999

STR:999

DEF:999

INT:999

AGL:999

DEX:999

CRI:999


スキル

剣の心得/剣士入門/剣士中級/剣士上級/剣豪/剣聖/剣神/魔法の心得/魔法入門/魔法中級/魔法上級/魔法師/賢者/世界人/槍の心得……製造(薬)/製造(武器)/製造……etc.



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「スクロールが追いつかねえ!!」


 あまりにも多すぎるスキルの欄にうんざりしながら、ほとんど読むこと無く下へ下へと動かす。だいたい千種類ほどのスキルはあるのだろうか……途中で飽きて消してしまった。


「アイテム……出ないか。バッグ、道具、ストレージ!!」


 最後のストレージと同時に、これまたテンプレ的なアイテム欄が表示される。今表示されているのは「キリシアとは」という本だけ。服はアイテムに入らないのか確認しようと考え、上着を脱ぐ。


「収納」


 持っていた服はストレージに収まり、そのタブを触って操作すると出てきた。次に手には持たず意識だけを向けながら収納というと、さきほどと同じように成功した。ためにし着ているものもやってみたら同じように収納された。ズボンをやってしまったので恥ずかしい格好になったのは言うまでもない。

 なぜ記憶装置の総称を言ってアイテム欄が出るのかは疑問だが、それを頭の片隅に追いやり「キリシアとは」を読む。それを読みながら歩くこと1時間。ようやく街の姿が見え始めた。どうやら読みながら歩いていたために遅くなってしまったらしい。


「結構でかいな……」


 最初は田舎の街かと考えていたが、どうやらそこそこ大きい街のように見える。馬鹿げた視力のお陰で建物も見ることができ、ほとんどが石で立てられている。所々木でできた建物も見えるが、和風といった感じではない。

 街を発見して5分。これもまた新事実なのだが、どうやら俺には体内時計が組み込まれているらしく、今の時間が手に取るように分かる。現在の時刻は10時30分。最高病神は相当細かなサービスを心がけているらしく、先ほどの「キリシアとは」を読むと、時間の単位や距離の単位はほとんど同じらしい。最も、通貨などはさすがに変わっている。言葉も変わっているようだが、スキルに言語理解が入っていたので大丈夫だと思う。

 やることもなく、ただただ歩くことさらに5分。とうとう起こってはいけない、けれどもこれまたテンプレ通りの展開が起こる。そう、モンスターに囲まれました。


「ガルルル」


 泣き声から分かる通り、ありがちなウルフ君の登場。その数10体。ちなみにこれもまたスキルによる効果で、たぶん精神安定と戦況理解が使われている。ちなみに実のところ接近にはサーチで気づいていたし、実力も能力看破で分かっている。格下ということすらおこがましいスライム以下の存在だ。例え何万のウルフに囲まれようとも、ただ眠っているだけでも生存できるレベルだ。


「まったく……実力を知れ!!」


 襲いかかってきたウルフ達を見ながらどうやって倒すか考える。第一案は魔法。しかし最強の力を持つ俺が気軽に使っていいのだろうか? 否、しれはならない。使い方などは頭に浮かんできるのだが、威力の想像まではできない。軽く使って地面がえぐれました!! そんな展開は嫌すぎる。次に剣などの武器での対応。しかし思いついたと同時に却下。前提条件として武器がないのだから仕方がない。最終案としては殴り殺すこと。最も簡単かつシンプルな答え。相手の動きは止まってみると言ってもいいほどよく見えるし、それ以上の動きをすることも可能だ。これは思いついたと同時に実行。先に近づいていた3体のウルフもボクシング選手顔負けのパンチで倒す。たぶんこれは徒手格闘とかなどのスキルでも発動してるのだろう。

 殴った痛みすらも感じず、また生き物をころしたことに対する感情の揺れもほとんどなくあっという間に戦闘は終了した。かかった時間は10秒ほど。考えるのに5秒ほどつかったから実質5秒だろう。


「お前たちが弱いんじゃない。俺が強……」


 戦闘の時にはかかなかった汗が背中に流れる。あのまま台詞を続ければ、俺は中二病確定の存在となってしまう。危なかった……ナイス俺の判断力。おかえり、俺の真っ白な心。


 ウルフ達はゲームのように、倒されて少し経つとアイテムのようなものに変わり、皮や肉、骨といったものにかわる。解体しなくていいようなので安心した。それを全てストレージに収納し、またゆっくりと街へと歩く。この分ならあと数十分で街に着きそうだ。


 




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