04-王様side-
王様視点です!
面倒だ。なぜ俺がこんな面倒なことを。
目の前に座り込む少女を見て、俺はただそう思った。
アルメタニア王国。この国には国の繁栄を願って異世界から人を、人間の女を召喚するという習わしがある。
なぜ国の繁栄が、異世界の人間と繋がるかというと、以前やって来た人間が様々な知恵を授けたとされているから。
そうして呼ばれた女は、側妃または、王妃になる。
冒頭に戻るが、今俺の目の前にいるのは、小さくてどこか頼りない少女だ。
この国では珍しい、茶色の肩につくくらいの髪は、ふわふわしている。
瞳の色も髪と同じ茶色。顔立ちは普通だ。目立つのは、髪と瞳だけで、肌は白いが他に特徴も見当たらない。この程度なら何処にでもいる。しかも、どことなく影が薄い。明日には忘れてしまいそうな顔だ。
一言も喋らないこいつはもしかしたらそうとう馬鹿なのかもしれない。
つまらん。
ただのガキじゃないか。子供はこの国には必要ない。
また違う人間を召喚するだけだ。もし、駄目なら異世界からきた者など妃にしなければいい。必要なのは、役に立つ人間だ。
俺は気持ちのままに殺せと命令した。そして、隣の側近に目をやり退出を促す。そうして、最後の挨拶を述べようとしたときそれは起こった。
少女がゆっくりと立ち上がって、こちらに向かってきたのだ。
兵士たちがすぐさま少女を取り囲む。少女は一言だけ言った。
「どきなさい」
よく通る声に威圧感を滲ませて。兵士たちは、驚き少女の為に道をあけた。
少女が目の前にやって来る。先程の平凡な空気を纏っていた少女は、妖艶な笑みを浮かべていた。
どうして、さっきはわからなかったのだろうか。
少女はよく見ると整った顔立ちをしていた。茶色の瞳はガラス玉のように透き通って、色の白い顔にバランスよく配置されている。唇は桜色。
何処からどうみても、美少女だ。
そして先程までとは違い、まるで大人の女のような艶やかな空気を纏っている。
そう、少女は美しかった。意思の強い目が真っ直ぐにこちらに向けられたとき俺は思った。
こいつが欲しい。
きっとこいつは役に立つ。
王様はまだまだ恋に落ちてませんよ~
利用する気満々です(笑