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ミッドナイト・アゲート──五歩で寄り添う商店街交渉術

作者:輝
 深夜、シャッター通りになりかけた柳鳩商店街の片隅で、歩と結月はひそやかな相談所〈ミッドナイト・アゲート〉を開く。方針は簡単――相手の立場へ“ちょうど五歩だけ”近づくこと。踏み込みすぎない優しさは、百円の湯のみ茶と豆菓子を差し出す“ワンコイン接待”から始まる。看板犬るりが見守る中、境界線トラブル、行列の苦情、相続でもつれた暖簾の行方まで、ふたりは「留保掲示」「合意三行」「対案A/B/C」の角丸パネルで、笑いとため息のあいだに合意点を探していく。

 やがて再開発の波が街をのみこもうとし、公開ヒアリングと住民投票が迫る。雨夜、喧嘩ののちに肩が並ぶ“甘い時間”を経て、歩は過去の失敗を語り、無愛想な結月は自分の不器用さを言葉に変える。正しさを競うのではなく、暮らしを“育てる”選択肢を提示するために。夜明け前、濡れたアーケードに灯りが連なり、るりが小走りに先導する。五歩だけ近づいた心と心が、六歩目を相手に委ねたとき、商店街は静かに舵を切る――「また五歩先で、会いましょう」。
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